世の中には、形がなく、実際に利用するまで価値をイメージしにくい商品やサービスが数多くあります。このようなものは一般に「無形商材」と呼ばれます。
動物病院でも、診療をはじめ、健康診断や各種検査、トリミング、ペットホテルなど、目に見える「商品」ではないサービスを多く提供しています。
こうしたサービスは、薬やフードのように手に取って比較できるわけではありません。そのため、「どのようなサービスなのか」「利用すると何が変わるのか」が飼い主さんに十分伝わっていなければ、必要性を感じてもらいにくいことがあります。
そこで重要になるのが、サービスの内容や価値をできるだけ具体的に「見える化」することです。
今回は、動物病院で無形商材・無形サービスの価値を伝える際に意識したい6つのポイントを紹介します。
動物病院のサービスはなぜ価値が伝わりにくい?
無形商材の大きな特徴は、購入・利用する前に内容を確認しにくいことです。
例えばペットホテルであれば、飼い主さんが知りたいのは単に「宿泊できる」という情報だけではありません。
「どのような場所で過ごすのか」「スタッフはどのように見守るのか」「体調に変化があった場合はどう対応するのか」など、利用中の様子がイメージできるほど安心して申し込みやすくなります。
健康診断や検査も同様です。検査項目だけを提示するよりも、「何を調べる検査なのか」「どのような病気の早期発見につながるのか」「どのくらいの頻度で受けるとよいのか」まで伝えたほうが、その価値を理解してもらいやすくなります。
無形サービスでは、見えない部分をどれだけ具体化できるかが重要です。
無形商材を販売する際のポイント①購入するメリットを強調する
無形商材を販売するうえで大きな足かせとなるのは、五感で商品の魅力を感じてもらいにくいという点です。そのため商品を紹介しても購入するメリットや効果が伝わりづらく、購入に至らない飼い主さんがたくさんいらっしゃいます。この高いハードルを越えるためには、あなた自身が積極的に商材の魅力を伝えなければなりません。「この商材を購入することでどのような課題を解決できるのか」「商材があることで、QOLがどれくらい上がるのか」を明確に伝えるようにしましょう。
無形商材を販売する際のポイント②写真・図・数字でサービスを見える化する
無形サービスだからといって、ビジュアルで表現できないわけではありません。例えばトリミングであれば、飼い主さんの許可を得たうえで施術前後の写真を掲載すると、仕上がりをイメージしやすくなります。
ペットホテルなら、犬舎・猫舎や運動スペース、スタッフの写真などを紹介するのもよいでしょう。
健康診断の場合は、写真だけでなく、
・検査項目一覧
・受診当日の流れ
・結果表のサンプル
・年齢別の健診内容
・年間予防スケジュール
などを図や表にする方法もあります。
「見える化」は写真だけではありません。
数字、グラフ、チェックリスト、スケジュール、イラストなども、形のないサービスを理解してもらうための有効な手段です。
見えるかの大切さについては、以下の記事もご確認ください。
無形商材を販売する際のポイント③類似商品との違いを明確にする
無形サービスは形やデザインで比較できないため、サービス内容の違いが伝わりにくい傾向があります。同業他社が類似商品を出している場合、差別化しにくいと感じることもあるでしょう。
そこで、「当院ならではの特徴」を具体的に整理してみましょう。
例えば、
「トリミング前に獣医師が健康状態を確認する」
「猫専用の待合スペースを設けている」
「シニア犬向けの健康診断プランを用意している」
「ペットホテル利用中も健康状態を確認している」
などです。
「丁寧な診療」「安心のサービス」といった抽象的な表現だけでなく、「誰が、何を、どのように行うのか」まで示すことがポイントです。
ホームページや院内掲示でも、こうした特徴を写真や図と一緒に紹介すると、違いが伝わりやすくなります。
無形商材を販売する際のポイント④飼い主さんのニーズに合わせて伝え方を変える
同じサービスでも、飼い主さんによって求めているものは異なります。例えば健康診断一つをとっても、若い犬猫を飼っている人と、シニア期の犬猫を飼っている人では関心のあるポイントが違うでしょう。
若齢期であれば「現在の健康状態を把握しておくこと」、シニア期であれば「年齢とともに増える病気を早期に見つけること」が響きやすいかもしれません。
ペットホテルでも、
「仕事や旅行で家を空けることが多い」
「高齢のため体調が心配」
「初めて預けるので不安」
など、飼い主さんによって悩みは異なります。
日頃の診療や会話からニーズを把握し、その人にとってどのような価値があるのかを伝えることが重要です。
無形商材を販売する際のポイント⑤院内・Web・SNSなど複数の場所で伝える
有形商品であれば、院内に置いておくだけでも飼い主さんの目に入ります。しかし、形のないサービスは、存在そのものを知られていないケースも少なくありません。そのため、意識的に情報を発信する必要があります。
例えば、
・院内ポスター
・リーフレット
・ホームページ
・ブログ
・LINE
・InstagramなどのSNS
・メール
などを活用します。
健康診断であれば、「春の健康診断」「シニア健診」といった形で季節に合わせて案内するのもよいでしょう。文章だけではなく、写真や図、短い動画などを組み合わせることで、サービス内容をよりイメージしてもらいやすくなります。
一度伝えただけですべての飼い主さんに届くわけではありません。複数の接点を使って繰り返し情報を届けることも大切です。複数の媒体を利用するメリットについては、以下の記事を参考にして参考にしてください。
関連記事:広告をSNSに頼りすぎるのはNG!複数の手段を採用しよう
無形商材を販売する際のポイント⑥アフターサポートを徹底する
無形商材は適切な使い方がわかりづらかったり、購入したものの存在を忘れられていたりすることが多々あります。そのような状態になれば、次回の購入につながることはまずありません。商材を販売した後には診療時やメール、電話などで感想を聞いてみてください。もし使われていないようであれば、使いこなすコツを伝えましょう。アフターサポートをすることによって、無形商材だけではなくあなたの動物病院の体制への評価も上がります。
アフターサポートのために押さえておきたいポイントについては、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:新規の飼い主さんをフォローアップするために押さえておきたいポイント
「売る」のではなく、価値をわかりやすく伝える
動物病院で提供している診療や検査、トリミング、ペットホテルなどは、利用するまで内容や価値が見えにくいサービスです。
だからこそ、写真や図、数字、具体例などを使い、「何をしてもらえるのか」「利用することでどのようなメリットがあるのか」をわかりやすく伝える必要があります。
無理にサービスを勧めるのではなく、必要性や特徴を十分に理解してもらい、飼い主さん自身が納得して選べる状態をつくることが大切です。
現在あまり利用されていないサービスがある場合は、サービス自体を見直すだけでなく、「価値がきちんと見える形になっているか」という視点から、伝え方を一度確認してみてはいかがでしょうか。
