「スタッフの成長にばらつきがある」「教育の仕組みをつくりたいが、何から始めればいいか分からない」。そんな悩みを感じたことはありませんか。
近年注目されている「リカレント教育」は、大人の学び直しとして広く知られるようになりました。転職が当たり前になり、長く働く時代において、継続的なスキルアップは欠かせない要素です。
しかし、動物病院においてリカレント教育を取り入れる際に重要なのは、単に学ぶ機会を増やすことではありません。最も大切なのは「目的を明確にしたうえで、学びを設計すること」です。
今回は、動物病院でリカレント教育を導入する際の考え方と、実践ポイントについて解説します。
なお、学びの姿勢については以下の記事で説明していますので、ぜひ参考にしてください。
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動物病院にリカレント教育が必要な理由
リカレント教育は、個人のスキルアップにとどまらず、動物病院全体のサービス品質を底上げする重要な取り組みです。スタッフ一人ひとりの知識や対応力が向上すれば、診療の質だけでなく、飼い主さんへの接し方や院内の雰囲気にも良い影響を与えます。結果として「また来たい」と思われる動物病院づくりにつながるのです。
また、複数のスタッフが同時に学ぶことで、院内に共通認識が生まれ、チームとしての一体感も強まります。個人任せの学習ではなく、組織として取り組むことに意味があるといえます。
動物病院のスタッフに取り入れるべき学習内容
できればリカレント教育はあなた一人だけではなく、スタッフ全員に推奨すべきと考えています。複数人が学習計画を立て、進捗状況を報告し合うことでモチベーションが上がり、挫折を防ぐことができます。経営者であるあなたにとっても、スタッフのスキルが一様に上がると提供できるサービスのクオリティが上がり、良いことづくめです。
もしあなたから学習を勧めるのであれば、動物病院にとって役立つ内容の学習を取り入れると良いでしょう。おすすめは以下の3つです。
接遇研修
接遇とは、相手の気持ちを汲み取りながら、思いやりをもって対応することをいいます。ホテルや百貨店など、接客能力が求められる職種では、接遇研修が当たり前のように実施されています。
しかし、スタッフのホスピタリティが求められているのは動物病院も同じことです。ペットの体調を心配している飼い主さんの不安を少しでも取り除いて元気づけられる、温かみのあるスタッフは動物病院に必要な存在です。
看護師や受付、トリマーなど、職種に関わらず、全体的な接遇研修を行って、スタッフの接客能力の向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。感覚任せにするのではなく、例えば「受付時の第一声」「診察後の声掛け」などをルール化し、全スタッフで共有することによって、接遇の質を均一化できるでしょう。
セミナーの受講の推奨
最新の動物医療について学べるセミナーやトリマー向けの学習塾が、不定期で開催されていることをご存知でしょうか。獣医師であるあなたも、トリマーや看護師もぜひそういったセミナーに参加してみてください。いつも同じ場所で、同じメンバーと働いているだけではわからない、新しい気づきや施術に役立つ情報を手に入れられるでしょう。他の受講者を目にすることで、仕事へのモチベーションが上がっていくかもしれません。
ただし、参加して終わりでは意味がありません。重要なのは、学びを院内に持ち帰ることです。受講後に共有の場を設けることで、個人の学びを組織全体の成長へとつなげることができます。この仕組みをつくることで、教育の効果は大きく変わります。
仕事の振り返り方については、以下の記事で説明していますので、ぜひ参考にしてください。
IT・情報発信の教育
SNSの影響力は年々増す一方で、SNSを展開している動物病院も増えてきています。FacebookやInstagramの公式アカウントを持っていると身近に感じてもらうことができますし、LINEがあれば予約もしてもらいやすくなるはずです。
しかし、SNSやホームページを展開するのであれば、ITリテラシーをもって対応できるスタッフが必要になってきます。アカウントを作成しても放置したり、炎上させてしまったりしていては、作った意味がないためです。そのようなことがないように、SNSの適切な運用方法などを学ぶ機会を設けると良いでしょう。担当者を決め、投稿内容や更新頻度のルールを明確にすることで、安定した運用が実現します。
リカレント教育を行う際の注意点
リカレント教育は厚生労働省が「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を策定するほど推奨しているものです。チャレンジする意味は十分にあると言えるでしょう。しかし、そんなリカレント教育にも注意点があります。ここからはリカレント教育を実施する際の注意点を紹介します。
目的意識を持つ
「とりあえず学ぶ」では、長続きしません。重要なのは、学習のゴールを明確にすることです。
例えば「3ヶ月で接遇レベルを改善する」「SNS運用を内製化する」など、具体的な目標を設定します。さらに「達成したらどう変わるのか」までイメージすることで、学習の意義が明確になります。目的があるからこそ、継続できるのです。
スタッフにはインセンティブを設ける
最初から積極的に学習に取り組めるスタッフはごく一部と考えたほうが良いでしょう。やる気がないスタッフに対して一方的に課題を押し付けても、今の時代は「パワハラ」と受け取られてしまいます。それであれば、目標達成者にはボーナスや昇給などのインセンティブを与えるなどして、やる気を引き出してみましょう。他のスタッフに対する競争意識も芽生えて、学習意欲が増すかもしれません。
学習にかかる費用や時間をサポートする
学習意欲があっても、セミナーを受講する費用や学習時間の負担が大きく、諦めてしまう人が少なくありません。それであれば、就業時間の一部を学習時間にあてたり、受講費用を負担してあげたりして、学習者の負担を減らしてあげましょう。国の助成制度を活用することも選択肢のひとつです。環境を整えることも、経営者の重要な役割です。
動物病院の成長は「学びの設計」で決まる
リカレント教育は、単なるスキルアップの手段ではありません。動物病院の未来をつくる重要な経営施策です。大切なのは、学びを個人任せにするのではなく、目的を持って設計し、組織として運用することです。
学びの質が変われば、スタッフの行動が変わり、結果として動物病院全体の価値が高まります。まずは小さな取り組みからでも構いません。あなたの動物病院に合った形で、学びの仕組みづくりを始めてみてはいかがでしょうか。
最後に学び始める前の心がけについて説いた記事をご紹介いたします。ぜひこちらも参考にしてください。
