動物病院とマーケティング

今現在動物病院が全国にいくつあるのか、ご存知でしょうか。2015年に行われた農林水産省の調べでは、全国に15,000院以上の動物病院が存在することが分かっています。
ちなみに最も動物病院の数が多いのは東京都と北海道で、1,000院以上存在します。これは2005年の調査の時に比べると約2,000院増えていて、年々増えていると言って間違いありません。

しかし、日本の人口減少にともなってペットの飼育頭数が減っていることも事実です。動物病院の数は増えているのに、飼育頭数は減っている…。
これって経営が厳しくなる原因に十分なりえますよね。すでに飼い主さんの奪い合いになっている動物病院も少なくないと聞きます。

これまでは、「本当に良い病院であれば何もしなくても飼い主さんは来てくれる」という考えがまかり通っていましたが、今の時代その考え方は少し甘いような気がします。
一定のリピーターを確保し、安定した動物病院経営をするためには、ただ待っているだけではなくこちらからも攻めなければいけません。今回は買い手の立場で飼い主獲得を進める方法を紹介していきたいと思います。

1、動物病院にもセールスが必要な時代です!

動物病院に限った話ではありませんが、営業担当者をおいている病院はほとんど存在しないのではないでしょうか。個人経営の動物病院であればなおさらです。
そのような動物病院では、どのような集客方法がとられていると思いますか。ほとんどの動物病院は顧客獲得行動をほぼ起こさず、開業時に看板を立てたりチラシを撒いたりしている程度が現状です。これでは開業時に注目を集めたとしても、じきに注目されなくなっていきます。

特に新しい動物病院ができるとどうしても飼い主さんはそちらに目が行きがちで、よほど高い技術や専門性、知名度がない限り顧客が奪われていってしまいます。
冒頭で説明した通り、今は動物病院が飽和状態にあります。長年勉強を続け、高いリース代を支払って、ようやく開業できた動物病院経営を続けるためにも、一度集客方法について考えてみてはいかがでしょうか。

2、「良いものは売れる」時代はもう終わり

動物病院の宣伝をおろそかにしている経営者にその理由を聞くと、
・忙しくて宣伝をしている時間がない
・広告以外のアピールの方法がわからない
が代表的なものに挙げられます。同時に「自分の技術力に自信があるから、わざわざ宣伝を行う必要がない」と考える経営者も非常に多いものです。

なにもこれは動物病院の経営者に限った話ではありません。まだ日本が裕福だった頃、「本当に良い商品は何もしなくても売れる」としきりに口にする人がたくさんいました。
確かにインターネットも何もなかった時代は、地元の人の口コミで存在を知ってもらえたかもしれません。しかし今はどうでしょう。ネット社会になり SNS で簡単に広告が打てるようになったことで、広告を出している病院とそうでない病院の知名度の差が大きく広がるようになりました。どんなに良い病院であっても、知名度の差から他院に取られてしまう可能性は十分あるのです。

そもそも、自分たちの病院を「良いもの」と知ってもらうためには、実際に来てもらわなければ伝わりませんよね。そのため、「売る気」になるよりもまずは消費者の視線に立って、存在を知ってもらうことが重要と考えます。

3、買い手視点に立って、買ってもらうためには

買い手視点に立って物を買ってもらうためには、まず飼主の気持ちを把握しないことには始まりません。
どんな動物病院だったら来たいと思ってもらえるのか、どんな診療を望んでいるのか、予算はどれぐらいかなど、顧客の本音を引き出すことで経営改善につなげられます。
マーケティングの方法はさまざまですが、まずはやはり顧客の声をひとつでも多く集めること。そして、それをもとに自分の動物病院の改善点を的確にピックアップすることが大切です。

それでも、どうしても改善できないところってありますよね。動物病院の立地や高額な費用が発生する設備の購入などが、それに当たると思います。そのような点が多ければ、逆にそれを補ってアピールできる要素を考えましょう。
自分の動物病院の強みがあれば、それを打ち出すのも有効ですが、まずは買い手視点を重視して、その強みが本当に世間一般から求められているものなのかを考えてみる必要があります。

もちろんマーケティングだけで終わりにしてはいけません。改善点を周りに知ってもらえるように新しく広告を打ち出すなど、新しいことにチャレンジしてみることをおすすめします。
そのときには「自分たちの動物病院が変わったんだ」という点をしっかりアピールしてみてください。広告も今はInstagramやTwitterなどのSNSを使えば、簡単に無料でアピールできるのでぜひ使ってみてください。
若いスタッフさんがいる動物病院であれば、アドバイスを求めてみましょう。若い年代ほどSNSに長けているので、思わぬヒントがもらえるかもしれません。
口コミサイトを有効活用するのもおすすめです。

いかに買い手視点に立ったマーケティングが大切かということが、おわかりいただけたかと思います。動物病院が増加している今、ただ待っていても飼い主さんが集まるわけではありません。一方で広告を出しやすくなったという点は、今の時代ならではのメリットです。使いやすいツールを駆使して、時代にあった戦略を立てていくのが今の動物病院に求めれることではないでしょうか。

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