獣医師として診療に向き合いながら、動物病院の経営やスタッフ教育、飼い主さんとのコミュニケーションについて学び続けている先生は多いのではないでしょうか。
しかし、せっかく勉強していても、知識を増やすだけで終わってしまうと、実際の経営改善や現場の判断にはつながりにくいものです。動物病院の経営には、診療のように明確な正解があるわけではありません。スタッフとの関わり方、飼い主さんへの説明、サービスの見直しなど、その時々の状況に合わせて考える力が求められます。
そこで大切になるのが、物事の原理・原則を学ぶ姿勢です。今回は、動物病院経営者が学びを成果につなげるために意識したい考え方についてお話しします。
なお、学びに対する姿勢については以下の記事もぜひ参考にしてください。
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原理・原則の学びはなぜ大切か?
たとえば、スタッフがなかなか指示通りに動いてくれないと感じたとき、単に「もっと厳しく伝える」「マニュアルを増やす」といった対処だけでは、根本的な改善につながらないことがあります。なぜ伝わらないのか、スタッフは何に不安を感じているのか、院長自身の伝え方に問題はないのか。そこまで掘り下げて考えることで、はじめて教育やマネジメントの本質が見えてきます。
飼い主さんへの説明も同じです。医療的に正しいことを伝えていても、相手が理解できなければ納得にはつながりません。知識を持っていることと、相手に伝わる形で説明できることは別の力です。だからこそ、動物病院経営では表面的なノウハウではなく、人との関わり方や判断の軸となる原理・原則を学ぶことが大切になります。
物事の本質を学ぶためには

物事の原理・原則の学びは非常に重要ですが、公式と違って明確なものがなく、勉強しづらいことも確かです。「何を学べば良いのか、どこに着眼したら良いのかわからない」という人も多いでしょう。そのようなあなたには、まず本質について説かれた書籍を読むことをおすすめします。
特に以下の2つの書籍は、物事の本質を学ぶために非常に有効といわれているため、ぜひ目を通してみてください。なお、本質の学び方については以下の記事も参考になりますよ。
「人を動かす」
「人を動かす」は、スタッフとの関係づくりや飼い主さんへの説明に活かしやすい一冊です。院長として正しいことを伝えているつもりでも、伝え方によってはスタッフが萎縮したり、飼い主さんに不安を与えたりすることがあります。相手の立場を理解し、信頼関係を築きながら伝えるという視点は、動物病院経営においても非常に重要です。
- 人を動かす三原則
- 人に好かれる六原則
- 人を説得する十二原則
- 人を変える九原則
- 幸福な家庭をつくる七原則
この目次を見てもわかる通り、いずれも原則に則ってコツが解説されているため、人間関係を築くうえでの基礎をすぐに学べます。汎用性も高く、書籍を読んで学んだことを実践でも活かしていけるでしょう。パートごとにササっと読むことができるため、時間がないあなたや、読書の習慣がないあなたにもおすすめです。
「7つの習慣」
世界中で4,000万部以上、日本でも240万部以上のベストセラーを記録している「7つの習慣」。初版が販売されたのは今から30年以上前のことですが、日本では数年前に読みやすい漫画版が販売されたため、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
この「7つの習慣」では、長期的・継続的に結果を得るためには原則があると考えた著者のスティーブン・R・コヴィー博士が、その原則を体系的にまとめています。「7つの習慣」を読むときに意識していただきたいのは、課題は自分を取り巻く周辺環境にあるのではなく、自分自身のなかにあるということ。それを理解し、7つの習慣を身に付けていくことで、成功の原則にも気づいていけるはずです。
この本を読むことが、経営者自身の考え方や行動を見直すきっかけにもなります。スタッフの問題、売上の問題、飼い主さん対応の問題などをすべて外部環境のせいにするのではなく、自分が変えられることに目を向ける姿勢は、院長としての判断力を高めるうえでも役立ちます。
原理・原則の学びを身に付けるためには基礎知識も重要

物事の原理や原則を理解するためには、その分野に関する基礎知識も身につけていなければなりません。例えば動物病院の診療サービスの課題を考える際に、診療項目の内容や料金体系を知らなければ、そもそもの原則を理解することはできませんよね。暗記ばかりしていては本質に気づくことができませんが、十分な専門知識を身に付けている人は、物事の原理・原則への気づきや習得もスムーズにいくはずです。
周りの意見にも耳を傾けて物事の本質を意識しよう
今回は、動物病院経営者が学びを深めるうえで大切にしたい「原理・原則」についてお話ししました。
経営や人間関係、スタッフ教育、飼い主さん対応には、常にひとつの正解があるわけではありません。だからこそ、表面的なノウハウや一時的な成功例だけを追いかけるのではなく、物事の本質に目を向ける姿勢が重要になります。
もちろん、原理・原則を理解するためには、現場での経験や基礎知識も欠かせません。日々の診療やスタッフとの関わり、飼い主さんからの声のなかにも、経営者として学べるヒントは多くあります。
本を読み、周囲の意見に耳を傾け、学んだことを自院の現場に置き換えて考える。その積み重ねが、院長としての判断力を高め、動物病院経営の成長にもつながっていくのではないでしょうか。
