今回は「ブランド経験」の大切さについてお話をしたいと思います。
ブランド経験とは、その名の通りブランドの世界観を飼い主さんに感じてもらうことで、「ブランド体験」と呼ばれることもあります。
「自動車やアパレルと違って、動物病院にブランドなんてないよ」と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
質の良い診療やトリミングやホテルなどのサービス、また人気の高い商品の提供をしていること自体が、あなたの動物病院のブランド価値を高めていっているものです。
あなたやスタッフが日々自信を持って提供している商品やサービスがブランドとして認めてもらえたら、こんなにうれしいことはありませんよね。
ブランディングはかなり前から注目されているマーケティング手法であり、ぜひあなたの動物病院にも取り入れていただきたいと考えます。
ただし、あなた自身が何もしないでブランドとみなされるほど、ブランディングは甘くはありません。
ブランドとして認知してもらうためには、まずターゲットを定め、上手に利用・購買へと導くカスタマージャーニーを思い浮かべる必要があると考えます。
どんなに良いものであっても、実際に利用していただかないことにはブランドが育っていかないからです。
そこで今回はカスタマージャーニーの一環であるブランド体験のあり方について考えていきたいと思います。
なぜ今ブランド経験が求められるのか?
成熟社会と呼ばれる今、私たちが望むものはある程度手に入るようになりました。自動車に洋服、食べ物にサービス…。動物病院についても同じことで、今やどの地域にも複数の動物病院が存在します。他の動物病院と変わらないサービスを提供していると、無個性とみなされ、あっという間に乗り換えられてしまうことがあるでしょう。
そのようなことがないように、飼い主さんと長く、良好な関係を築いていくためにはブランド経験が必須です。あなたの動物病院の魅力に気づく「経験」を飼い主さん自身にしてもらうことで、あなたの動物病院がその飼い主さんにとって唯一無二の存在になれるのです。
サービスや商品においては今の時代、似たものがいくつでも出てきますが、ブランドの世界観というのはそう簡単にマネできるものではありません。「この動物病院じゃないとダメなんだ」と言ってもらえるような、ブランドイメージを確立しましょう。
大手企業に学ぶブランド経験の提供方法
いきなりブランド経験の提供と言われても、何をしたらよいのかわからないという方も多いでしょう。しかし、ブランド経験というものはさほど難しいものではありません。例えばサンプルやオファーの提供はどの企業も取り組んでいるように見えますが、これは立派なブランド経験です。自社商品を体験していただくことで、ブランドのイメージアップにつなげています。
また、キャンペーンの実施もブランド経験のひとつです。お得な価格で商品やサービスを提供することで、ブランド経験へのハードルが下がり、飼い主さんの認知向上に効果的と言われています。
しかし、それだけでは他社との差別化が難しいことも事実です。もう少し目立つブランド経験を提供してみたいということであれば、大手企業のブランド経験を参考にしてみましょう。
例えば無印良品を展開する株式会社良品計画は、ブランド体験型施設「MUJI HOTEL」を銀座にオープンしています。この建物内には無印良品のほぼすべての商品がそろっており、上層階のホテルには無印良品の家具が使用されています。食堂のメニューももちろん無印良品オリジナルです。
また、ハンドクリームが有名なL’OCCITANE(ロクシタン)では、スマホでのシアバター作り体験や花々から集めたオイルづくり体験など、自社のコンセプトに沿った体験を提供しています。顧客はこれらの体験を通じて、そのブランドの世界観に触れることができるのです。
もしブランド経験を考えているのであれば、飼い主さんが実際にあなたの動物病院のコンセプトに触れられるイベントやキャンペーンを企画してみてはいかがでしょうか。院内の一角に体験コーナーを設けるのもおすすめです。
ブランド経験を考えるときの注意点
ブランド経験はファンを増やすための非常に有効な施策と言えますが、注意点も少なからず存在します。まず、ブランドイメージを固めたうえで飼い主さんに経験をしていただくこと。あなたの動物病院のイメージとブランド経験の内容がかけ離れていると統一されていない印象で、ブランディングも失敗に終わってしまいます。
また、できればブランド経験はSNSなどで飼い主さんが発信したくなるような、見栄えのするものを中心に考えましょう。高級感のある新商品の開発や、おしゃれな内装リフォームを行うことによって、「ブランドを体験している」とより強く感じていただけるようになるはずです。内容もさることながら、見栄えに力を入れることが大切です。
ブランド経験を多くの飼い主さんに促すことによって、あなたの動物病院のイメージが変わっていくかもしれません。新規顧客の獲得を考えている方はぜひ実行してみてください。