私が経営する動物病院では動物の診療やトリミングだけではなく、ペット関連アイテムも販売しています。動物用のシャンプーやペットのサプリなど種類はさまざまで、商品棚にずらっと並んでいるのを見ると、改めて「たくさん販売してるんだなあ」と実感する時があります。

 

サービスを充実化している動物病院が増えるなか、いろんなペットアイテムを取り入れて販売しようと考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そのアイテムは本当に吟味を重ねて選んだものですか?今回は動物病院で取り扱うペットアイテムの選定方法について紹介したいと思います。

本当に良いと思ったものだけを取り入れて販売しよう

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動物病院が提供する主なサービスは診療であり、あくまでペットアイテムの販売はサブ的な扱いになっていることが多いです。しかしせっかく販売するのであれば、良いアイテムを取りそろえて物販も充実させることをお勧めします。私が経営する動物病院では、スタッフと相談し合って本当に良いと思ったものだけを取り入れて販売しています。

 

動物病院の物販で多いのは、取引業者から勧められた商品をそのまま仕入れて販売するという状態です。確かに取引業者から仕入れた商品はマージンが高い傾向にあり、売れ行きが良ければ、病院の売上高にもかなり貢献してくれます。その取り扱い商品が良いものであれば、ドンドン業者から仕入れてもいいと私も思います。

しかし効果がいまいち感じられないものや、自分で「なんか違うな」と感じたものは、必ずしも販売する必要はありません。獣医師がなんとなく「これ違うな」と思ったものは、飼い主さんやペットも合わないなと感じることが多いからです。

 

それなのに販売し続けていては、「動物向けのアイテムを見る目のない獣医師」と思われかねません。万が一、販売商品が飼い主さんやペットに悪影響を及ぼした場合、クレームになるおそれもあります。そのようなことがないように、販売する前には必ずサンプルを配るなどして反応を伺いつつ、本当に良いと思ったものだけを仕入れるようにしましょう。

 

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取引業者の見直しをするのもひとつの手

かたくなに付き合いのある業者が販売しているものしか売らないという獣医師も、しばしば見かけます。そのような方も、一度しがらみを捨てて、本当に良いと思ったものを仕入れて販売してみてください。たとえ競合他社が販売しているアイテムであっても、良いものであれば売上げが上がり、動物病院への信頼度も増すはずです。

 

今の取引業者から仕入れたものの売れ行きが今ひとつパッとしないという状態が続いているのであれば、その業者の方向性とあなたの飼い主さんの意向が合わない可能性があります。付き合いも大切ですが、思い切って取引業者の見直しを行うことも大切です。

 

例えば、街にある卸問屋やインターネット卸業者であれば、取扱商品の幅が広く、商品のメーカーが固定されることもないため、一度にさまざまな商品を仕入れられます。かつては商社と付き合いがなければ難しかった輸入品の入手もできるかもしれません。

 

取引業者選びはさほど難しいことではありません。日常生活のなかで気になる商品があったり、同業者の間で評判になっていたりする商品があれば、仕入れ先やメーカーを特定してコンタクトを取ることができます。

 

また、動物関連業界の展示会や見本市に行ってみるのもおすすめです。商品のデモンストレーションを行っていれば、その商品の魅力をすぐに理解できます。気になった商品の取引相手がすぐそばにいて、迅速に商談へ進める点は大きなメリットです。

動物病院ならではの販売スタイルを売りにする

yellow chairs and black bar chairs

動物病院では、ペットアイテムだけではなく、診療サービスも積極的に販売すべきだと考えています。ただペットアイテムを購入するのであれば、今の時代オンラインショップでどれだけでもできます。ECショップのほうが、商品が充実していることは事実です。しかし、オンラインショップと差別化をすべく、私の動物病院では商品に説明書をつけ、商品をを渡す時に使い方の説明をするなどして、商品にプラスアルファをつけるように心がけています。

 

動物の扱いのプロである獣医師やトリマーが説明することによって、安堵感を覚える飼い主さんも少なくありません。そのため、動物病院では自社製品か他社製品かということよりも、このプラスアルファの提供が何よりも大切と考えています。 理由付けの大切さについては、以下の記事もきっと参考になるはずです。

関連記事:理由付けをするだけで商品の売上は変わってくる

良いと思った商品には自信を持って値付けしよう

せっかく良い商品を見抜いて仕入れられる「目利き」であるにも関わらず、価格設定時に弱気が出てしまい、低利益に留まっている動物病院を見かけます。つい飼い主さんに気を遣ってしまったり、「高すぎると売れないのでは?」と逃げ腰になってしまうのですね。

しかし、あなた自身がせっかく良いと感じた商品であれば、 自信を持って値付けすべきだと考えます。もちろん、高すぎると手には持ってもらえませんので、競合の医院や業界全体の相場を考慮したうえで、あなた自身も飼い主さんにも納得していただける金額を設定しましょう。広告宣伝費、通信費、人件費などの諸費用も頭に入れて考えるようにしてください。

関連記事:同業他社だけではなく間接競合を意識して値付けをしよう

オリジナルアイテムの製作はリスクが大きい

ミシン, 手芸, 主婦

動物病院ではあまり聞きませんが、自分の病院や組織で作ったオリジナルアイテムを販売しようと頑張っている経営者さんがいらっしゃいます。その姿勢自体はとても良いことですが、必ずしも結果につながるとは限りません。

動物病院でもオリジナルアイテムを販売しようか、スタッフで話し合ったこともあります。しかし、最終的にこの案は却下となりました。なぜなら自社のオリジナルアイテム開発は経験のない人が片手間でできるほど簡単なものではないと実感したからです。

内容はもちろん、パッケージや価格設定などにもこだわらないといけないですし、万が一売れなかった場合大量に在庫を抱えることになります。これはかなりリスクが高いと判断し、最終的に既存のアイテムを販売することになりました。これだけでも、飼主さんに購入していただいたことで、少しずつ売上げが上がるようになり、リピーターも増えました。無理に自社商品を作るらなくても良いと実感した体験です。

この経験をもとに、これからも忖度関係なしで本当に良いものと思ったものだけを飼い主さんに勧めていきたいなと考えています。そして、自社商品を考える時間があれば、その分を診療時間にあてて、より質の高いサービスを提供したいと考えています。 

 

今回は自分の動物病院の商品の販促を行う方法を紹介しました。固定観念にとらわれず、本当に良いと思ったものだけを、飼い主さんやペットにお届けしていきましょう。

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