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あなたの動物病院が新商品を発売する際や、価格の見直しをするとき、あなたはどのようにして新価格を決定していますか?

ひとつひとつ設定するのが煩わしく、どのような商品でも同じ割合だけ値上げしているという人も多いかもしれませんね。

しかし、この決め方では商品の売れ行きに偏りが生まれてしまう可能性があります。

同じ動物病院で取り扱っている商品のなかにも、ペットの日常に必要な「予防商品」や「日用品」もあれば、おもちゃや洋服といった「嗜好品」もあるはずです。

 

予防・日用品と嗜好品それぞれの価格を設定する際には、「需要の価格弾力性」を意識して価格を決定し、売れ行きに差が出ないように工夫する必要があると考えます。

この需要の価格弾力性とは一体どのようなものでしょうか。

今回は商品のタイプ別に価格を決定することの大切さについて触れていきたいと思います。

需要の価格弾力性とは?

ボールペンを持ってノートに書く人

最初に「需要の価格弾力性」の意味を説明します。これは商品やサービスの価格が変動したときに、それらの需要がどのように変動するかを示す数値のことです。基本的にどのようなものであっても、価格が上がれば消費者の財布のひもは固くなり、需要も下がる傾向にあります。しかし、食品やトイレットペーパーなどの生活必需品であれば、多少値上げしても購入せざるを得ず、需要は極端に下がりにくいと考えられます。この状態を「需要の価格弾力性が低い」と表現できます。

 

反対にタバコや酒類といった嗜好品、またジュエリーや高級自動車などの贅沢品は生活になくても支障がないことからニーズが下降しやすくなります。この状態を「需要の価格弾力性が高い」と呼んでいるのです。

この需要の価格弾力性は感覚だけではなく、きっちりと数値を割り出すことができます。計算式は以下の通りです。

需要の変化率=(価格変更後の売上数ー価格変更前の売上数)÷価格変更前の売上数

価格の変化率=(変更後の価格―変更前の価格)÷変更前の価格

需要の価格弾力性=需要の変化率÷価格の変化率

 

ちなみに価格弾力性は絶対値における評価となりますので、仮に計算式で出した数値がマイナスだとしても、プラスとみなす必要があります。そして価格弾力性の基準は「1」であり、1を下回ると価格弾力性が小さい、上回れば大きいということができます。

 

需要の価格弾力性は商品の価格を決定する際に非常に役立つ指標となるため、ぜひ覚えておくようにしてください。

動物病院に嗜好品を増やすべき理由

需要の価格弾力性だけに着目すると、嗜好品は価格を上げにくく、動物病院では取り扱いにくいような気がしますよね。しかし、私は「ペットの生活に絶対必要なものだから」と言って、予防商品やペットフード、シャンプーなどの日用品ばかりを増やすことに対して危機感を覚えます。なぜならこれらの商品はすでに多くの動物病院が取り扱っているものであり、希少性が薄いものであるためです。どの動物病院でも取り扱っているものであれば、当然のことながら飼い主さんは少しでもリーズナブルに販売している病院で購入しようとしますよね。結果的に価格競争に陥り、利益の少ない商品ばかりのラインナップになってしまうのです。他院の差別化という意味でも失敗と言わざるを得ません。

 

一方、嗜好品や高級品は日用品ほど需要が高くありませんが、一定の層からは支持されていて、多少価格が上がったとしてもファンからは購入してもらえる可能性が高いでしょう。飼い主さんの需要を見極めたうえで、偏りがないように商品をそろえ、適切な価格をつけることができれば、経営者として成長したと言えるのではないでしょうか。

既存の商品を嗜好品として販売してみよう

白と青のラベルの付いたボトル

たとえばペット用のシャンプーやトリートメントは、一般的にペットたちの身体をきれいにするために欠かせない日用品と考えられますよね。しかし、1本1万円近くするシャンプー・トリートメントとなるといかがでしょうか。おそらく多くの人は、「日用品」ではなく「嗜好品」としてみなすのではないでしょうか。効果はもとより、ブランド名や香りなどの付加価値にお金を出して購入する飼い主さんが圧倒的に多くなるためです。

 

動物病院というと、どうしてもペットの健康を考えた日用品や予防商品の取り扱いがメインとなるイメージがありますが、嗜好品を扱うことはまったく悪いことではありません。一定のニーズがある高級品を求めて、来院してくださる飼い主さんが増える可能性は十分にあります。嗜好品を扱うことで、他の動物病院と差別化ができるようになり、ブランド力の向上につながっていくでしょう。「動物病院で取り扱うべき商品はこれ!」と今決めてしまっている方は、一度ぜひラインナップを見直してみてください。

 

今回は需要の価格弾力性とあわせて、動物病院で取り扱うべき商品について改めて考えてみました。動物病院は人間が通う病院と比較すると取り扱える商品も幅が広いので、ぜひ遊び心を感じられる嗜好品の取り扱いも考えてみてください。あなたの動物病院のイメージが変わってくるはずです。

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