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私たちはどのようなタイミングで、モノやサービスを購入しているのでしょうか。

食料品や日用品のように「生活に必要だから」という理由だけで、すべてのモノを購入しているわけではありませんよね。

「キレイだと思われたいから」「周りが皆持っていて、自分だけないのは不安だから」「気分転換に」など、感情的な理由で購入を決断している人は少なくないはずです。

 

その行為自体がいいか悪いかについては、ケースバイケースであるため一旦おいておきましょう。

今回お伝えしたいのは、「人間の複雑な心理を悪用して、商品を売りつける業者には絶対になってはならない」ということです。

経営者である以上、売上をアップさせたいという気持ちは、私にも痛いほどよくわかります。

しかし、誠実さや真摯な姿勢を忘れてしまった動物病院に明日はありません。

そこで今回は、最近よく見かける「コンプレックス商法」を例にとって、説明していきましょう。

コンプレックス商法とは

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今回のキーワードであるコンプレックス商法とは、人の劣等感を煽り立てて、それを解決するツールとして商品を売りつける手法です。

 

  • ダイエットサプリメント
  • 美容整形手術
  • 化粧品や健康食品
  • 育毛剤

 

などの商品広告では、太っていることや毛量が少ないことを過剰に悪と思わせ、コンプレックスを抱く人を巧みに購入へと促す導線を敷いていることが多いです。これらは悪徳商法としてみなされることがあります。

 

ただし、ひとつ注意していただきたいのが、コンプレックス商法が必ずしも悪徳商法とは言えないということです。例えば歯医者が健康的で白い歯を目指すべく、ホワイトニングや歯列矯正を推奨するのは自然な流れですよね。単なる案内や専門家による推奨まで、悪徳商法とみなしてしまったら、世の中のすべての広告は悪ということになってしまいます。

 

この辺りの線引きは大変難しいところではありますが、要は勧める側の誠意にあると私は考えます。誠意がなく、相手の足元を見たビジネスをしてしまうと、思わぬ落とし穴にあなた自身がハマってしまうかもしれません。

コンプレックス商法を悪用したときの危険性

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それではコンプレックス商法を悪徳商法として活用すると、動物病院の経営者であるあなたにどのようなデメリットが生じるのでしょうか。

・見た人に不快感を抱かせる

白内障にかかった犬の目がクローズアップされた犬用の目薬の広告を見たことがありませんか。最近は少なくなりましたが、一時期私のパソコンにはよくポップアップされていました。職業柄、白内障にかかったワンちゃんはたくさん見てきましたが、それでも見ていて決して気持ちの良いものではないと感じています。

 

多くの人はきっと、「愛玩動物であるはずのワンちゃんの病気の姿を大々的に見せて、かわいそうと思わないのかな」「こんな写真を広告に使うなんてセンスが悪い」と感じるはずです。例え自分のワンちゃんが白内障にかかって心配になっても、こんなにセンスの悪い広告を採用する業者を利用したいとは思いませんよね。

 

このようにインパクトを与えることができても、同時に不快感を与えてしまう広告は、ファン離れの原因になります。ペットの病気で悩む飼い主さんの足元を見たつもりが逆効果になるので気を付けましょう。

 

・広告が規制の対象になってしまうことも

オンライン上に散見される過激な広告を規制する向きがだんだん強まっています。2020年4月にはJARO(日本広告審査機構)は広告審査基準を改定し、これまでよりも強い措置を取るレベルを設定したのです。またYahoo!も「一部の身体的な特徴に対して卑下する表現は、ユーザーに不快感を与える」とし、コンプレックス広告を規制しています。

 

相手のコンプレックスを刺激する、広告は今後規制の対象となる可能性が高いことがわかりますよね。せっかくコストをかけて制作した広告が出稿禁止処分となれば、イメージダウンにもつながりますし、なにより予算の無駄遣いになってしまいます。

 

・一回でも誤ると永遠に飼い主さんを失う

コンプレックス商法に引っかかってしまったことに気づいて、後悔している人は大半を占めていると言われています。そのうち、「二度とその業者を利用しない」と考えている人は、全体の6割にも達するという調査結果が消費者庁から出ているのです。

 

飼い主さんの足元を見てうまくビジネスをしたつもりでも、ずっと騙され続けているほど飼い主さんは考えなしではありません。長くファンでいていただくためには、真摯な姿勢を忘れずに、飼い主さんと向き合うようにしましょう。

 

コンプレックス商法の定義と恐ろしさについてご理解いただけましたでしょうか。人情を大切にする日本では、相手の足元を見てビジネスをする人は信頼を得ることはできません。動物の命を守る獣医師であればなおさらです。経営者として、飼い主さんへの真摯な姿勢は絶対に忘れないようにしてください。

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