
エモーショナルマーケティングでは、飼い主さんの「欲しい」「利用してみたい」という感情を動かすことが大切です。
前回のブログでは、必要性を伝えるだけでは商品のインパクトが弱く、実際に手に取ってもらうためにはウォンツ(Wants)も重要だとお伝えしました。
しかし、ウォンツだけを重視すればよいわけではありません。特に、ペットの健康や命に関わる動物病院では、飼い主さんが抱えるニーズ(Needs)を正しく捉えることが重要です。
例えば、「愛犬の歯を健康に保ちたい」というのがニーズだとすれば、「毎日簡単に使えるデンタルケア商品が欲しい」というのがウォンツのひとつです。
つまり、飼い主さんが本当に必要としていることを把握し、その解決策を「欲しい」「利用してみたい」と感じてもらえる形で提案することが大切なのです。
今回は、ニーズとウォンツの両方を意識した、動物病院の商品・サービスの考え方について紹介します。
ニーズだけ・ウォンツだけでは選ばれにくい
ニーズとは、飼い主さんが抱えている課題や必要性です。
「愛犬の肥満が気になる」「愛猫の健康状態を定期的に確認したい」「できるだけ健康な歯を維持したい」などが挙げられます。
一方、ウォンツは、そのニーズを満たすための具体的な欲求です。
例えば「愛犬の肥満を改善したい」というニーズに対して、「健康管理をしやすいフードが欲しい」「食事について獣医師に相談したい」といったウォンツが生まれます。
商品やサービスを長く利用してもらうためには、どちらか一方ではなく、「必要だから利用する」と「利用したい」の両方を満たすことを意識しましょう。
iPhoneに学ぶ「必要性+欲しくなる体験」

ニーズとウォンツの両方を考える際に参考になるのが、2007年に登場したiPhoneです。
初代iPhoneは、携帯電話、音楽プレーヤー、インターネット通信端末という複数の機能をひとつにまとめた製品として発表されました。さらに、大型のマルチタッチディスプレイを採用し、指で直感的に操作できる新しいユーザー体験も打ち出しました。
単に「携帯電話に多くの機能を搭載した」というだけではなく、便利そう、使ってみたい、これまでとは違う体験ができそうと感じさせる価値まで提示した点は参考になります。
動物病院の商品やサービスでも同様です。
「健康のために必要です」だけで終わらず、「自宅でも簡単に続けられます」「毎日のケア時間を短縮できます」など、飼い主さんが利用後のメリットをイメージできる伝え方を考えてみましょう。
飼い主さんの声からニーズとウォンツを探ろう

新しい商品やサービスを考えるとき、まず確認したいのが飼い主さんの声です。
アンケートだけでなく、診療中や受付でよく聞かれる質問にもヒントがあります。
「歯磨きを嫌がってできない」
「シニア期になって何を気をつければいいのか分からない」
「どのフードを選べばいいのか迷う」
このような相談には、飼い主さん自身が感じているニーズやウォンツが隠れています。
また、SNSの投稿への反応、ホームページでよく閲覧されているページ、商品を購入した飼い主さんの感想なども参考になります。
大切なのは、病院側が売りたいものから考えるのではなく、飼い主さんが困っていることから考えることです。アンケートの取り方については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:動物病院の正しいアンケート調査の方法は?回答率を上げるコツを紹介!
競合の少なさより「自院ならではの価値」を考える
「ほかの動物病院がやっていないサービスなら売れる」と考えてしまうこともありますが、競合がいないからといってニーズがあるとは限りません。
まずは、「そのサービスを必要としている飼い主さんがいるのか」を考えることが重要です。
そのうえで、「シニア犬の健康管理に力を入れている」「デンタルケアを継続的にサポートする」「フード選びを丁寧に相談できる」など、自院だからこそ提供できる価値を明確にしていきましょう。
ニッチな分野でも、特定の悩みを抱えている飼い主さんに深く応えられるのであれば、十分な強みになります。競合に対する考え方については、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:ターゲットの見直しで競合他社に差をつける!今注目すべき飼い主さんとは?
「売り込む」より分かりやすく情報を届ける
どれだけよい商品やサービスでも、飼い主さんに存在やメリットを知ってもらえなければ利用にはつながりません。
そこで重要になるのが情報発信です。院内POPやパンフレット、ホームページ、SNSなどを活用し、「どんな悩みに役立つのか」「どんなペットにおすすめなのか」などを分かりやすく伝えましょう。
ただし、動物病院が診療サービスについて情報発信する際には、通常の商品広告と同じ感覚で考えるのは禁物です。獣医療広告にはルールがあり、農林水産省も飼育者が獣医療サービスを正しく理解し、適切に選択できる情報提供を求めています。
価格の安さだけで興味を引くのではなく、必要性や特徴、利用するメリットを正しく伝えることを意識しましょう。
関連記事:動物病院の広告ではキャッチコピーを何よりも大切にしよう
エモーショナルマーケティングでは、「欲しい」「利用してみたい」という感情を動かすことが重要です。まずは飼い主さんがどんな悩みや不安を抱えているのかを知り、その課題を解決できる商品・サービスをつくりましょう。「これなら続けられそう」「うちの子にも利用してみたい」と感じてもらえる形で伝えることも重要です。
ニーズとウォンツの両方を意識することで、一時的に目を引くだけではなく、飼い主さんから長く選ばれる商品やサービスにつながっていくでしょう。
