ほとんどの経営者が動物病院の年間計画を毎年きちんと決めています。
もしも「年が変わっても、やることはどうせ毎年一緒だから」と考えているなら、時代の流れに取り残されてしまうかもしれません。
ここ数年、年間計画が同じようになっていたなら、時流に合わせた年間計画へのアップデートを図ってみましょう。
今回は動物病院の年間計画の立て方について考えてみたいと思います。
計画時期は秋がベスト
まず、年間計画を立てる時期ですが、個人的に12月はあまりおすすめいたしません。どうしても忙しくなる時期であり、日常業務に追われて計画立てが後回しになりがちです。早い人はクリスマス過ぎ辺りから仕事納めになります。そうかといって早すぎても、翌年の見通しがつかずに、具体的な計画が思いつかないものです。
そこで私がおすすめしているのは10〜11月のいずれかの時期です。この期間、比較的動物病院は閑散期に当たり、計画を立てる余裕も少なからず持てるようになります。秋が深まると、自然に来年を意識するようになるので、現実感を持って計画について考えられるでしょう。年間計画はなるべくスタッフ全員で考えるのが望ましいです。一度スケジュールを調整して、年間計画を考えるタイミングをつくりましょう。
年間計画を立てる前に知っておきたい2つの違い
年間計画の立て方を説明する前に、実は同じものと思われがちな年間計画とスケジュールの違いを説明しておきます。
年間計画は、「目的を達成するための、1年という中長期の方向性を示したもの」です。一方のスケジュールとは、「その目標を達成するために、誰が何をすべきかを具体的に示したもの」となります。わかりやすい例を挙げると「常にトイレがキレイな状態を保つ」が年間計画であれば、「毎日全スタッフが日替わりで開院前・昼食時・閉院後の3回トイレ掃除をする」がスケジュールになるでしょう。計画という骨組みのためにスケジュールはなくてはならないものですが、年間計画を考えるときにはまず中長期目線に立つ必要があります。このふたつを混同していると、いつの間にか年間計画がスケジュールにすり替わってしまいますので気を付けましょう。
年間計画の立て方
年間計画の大切さを理解したところで、ここからは実際に年間計画を立てる方法を考えてみたいと思います。ここで押さえておきたいのが、「変えるべきもの」と「新しく取り組むもの」の両方をバランスよく取り入れることです。それぞれのステップをひとつずつ見ていきましょう。
来年の目標を考える
年間計画と目標は異なるものですが、切っても切り離せない関係にあるものです。例えば「1年間でこのペット用シャンプーを300個売る」と決めたら、どれくらいの頻度でいくつ販売していくべきか、誰でも考えますよね。
そのため、まずは目標を立てて、その目標を達成するために必要な行動を考えてみましょう。それをどのタイミングで行うべきかを考えれば、年間計画が埋まってくるはずです。あまりに計画がタイトになるようであれば目標設定を少し下げてもいいですし、まだ余裕がありそうなら目標を追加すると、取り組みやすくなるはずです。
定例行事をすべてピックアップする
決算やペットたちの予防接種シーズン、社内会議など、ある程度ルーティン化している行事も少なくはないはずです。そうしたものでも漏れがないようにすべてピックアップし、最初から割り当てておきましょう。繁忙期と閑散期、通常期を最初に明確にしておくことで、新しい計画を取り入れやすくなります。
目的・目標に沿った計画になっているか確認する
動物病院における年間計画とは、すなわち経営改善に必要なものです。たとえばここ数年まったく成果が表れていないのに、定例化している計画を最新の年の計画書にも入れてしまってはいませんか。これでは来年も現状とさせて変わらない状態が続くでしょう。
計画を立ててから実際の管理と業務を決める
前述の通り、計画とスケジュールは混同すべきではありませんが、両方とも目的達成には欠かせないものです。年間計画が決まったらそれで終わりではなく、計画を確実に実行するために必要な業務と、効果測定の指標も考えましょう。その業務をいつやるのか、効果測定はどの程度の頻度で行うのかを突き詰めて考えていくと、年間スケジュールが自然に完成するので一石二鳥ですよ。あとは役割分担を行うことでスタッフも、翌年にそれぞれがやるべきことが明確になり、モチベーションアップにつながります。個々人の目標も立てやすくなるでしょう。
年間計画は動物病院の運営の根幹にあるものです。年に一回しか決めるチャンスはないため、年が変わる前のタイミングで余裕をもって決めるようにしましょう。合わせてスケジュールを決めておけば、新しい1年を順調に切り出すことができるはずです。ここ何年も年間計画を考えていなかったというあなたも、ぜひ来年は年間計画を意識して行動してみてはいかがでしょうか。
