1996年に出版されたスティーブン・R・コヴィー博士著の「7つの習慣」は全世界で3,000万部以上を売り上げ、日本でも200万部のベストセラーを記録したビジネス書です。
出版から20年以上経った現在でも多くの人から愛読されていて、ビジネスマンであれば一度は目を通しておきたい読み物と言えます。
この「7つの習慣」ではタイトル通り、成功のために身に付けるべき7つの習慣を解説しています。
第1の習慣は「主体的であること」、第2の習慣は「終わりを思い描くことから始めること」、そして第3の習慣は「最優先事項を優先すること」です。
第2の習慣で思い描いた目標を達成するためには何を優先すべきかを決めたら、それに集中してやり遂げることが大切だと説いています。
しかし、その最優先事項をうまく決められずに、とりあえず目の前にある仕事から片付けていく人が少なくありません。
それを習慣にしていると、大切なビジネスチャンスを逃してしまうこともあるでしょう。
仕事の優先事項はどのように決めていったらよいのでしょうか。
今回は効率性の上がる仕事の進め方について説明していきます。
ビジネスの優先順位を決めるフレームワークは4つ
もしあなたがビジネスの優先順位をうまく決められないのであれば、フレームワークを利用しましょう。急ぎの仕事を頼まれたり、仕事がたくさん溜まってしまったりすると、つい慌てて目の前のタスクからこなそうとしてしまいますが、フレームワークを用いることによって、冷静にビジネスの優先順位を決められるようになります。ここでは押さえておきたい4つの有名なフレームワークを紹介しますので、あなたに合いそうなものを選んでみてください。
緊急度・重要度マトリクス
緊急度・重要度マトリクスとはアメリカの第34代大統領・アイゼンハワー氏が作成し、7つの習慣の著者であるスティーブン・R・コヴィー博士が改めて整えたフレームワークです。
緊急度・重要度マトリクスは、タスクを緊急性の高いものと低いもの、重要性の高いものと低いものの合計4つの枠に振り分けていくフレームワークです。
以下の図で見るとわかりやすいでしょう。
重要度が高い×緊急度が高いタスク
A |
重要度が高い×緊急度が低いタスク
B |
重要度が低い×緊急度が高いタスク
C |
重要度が低い×緊急度が低いタスク
D |
やらなければならないタスクをA~Dの4つに振り分けたら、A→B→C→Dの順番にこなしていきましょう。BとCの優先順位は迷うところですが、重要性が低い仕事はあなた自身が手掛ける必要はありません。スタッフや外部業者に任せるなどして、重要性の高いBの仕事を優先させましょう。Dのタスクはコストの無駄になり得るため、バッサリ切るのもひとつの手です。
マッキンゼーの優先順位付けアプローチ
マッキンゼーの優先順位付けアプローチとは、コンサルティングファームのマッキンゼー&カンパニーが公開している優先付けのフレームワークです。以下の流れで優先順位を付けていきましょう。
- 課題に対応できる院内のリソース(人手や予算、設備など)がどの程度あるのかを確認します。
- リスクや戦略的重要性など、客観的なルールに基づいて優先順位をつけていきます。
- 必要なタスクに院内のリソースを割り当ててみて、ギャップを理解します。
- 戦略的な評価を行って、優先順位を調整していきます。たとえ即効性はなくても、今から始めておけば、ゆくゆく高い成果を期待できそうなものは優先順位を上げておくと良いでしょう。
- 戦略的な評価をもとに、リソースを分配していきます。
少し手順が複雑になりますが、深く考えていくことで、より優先順位の精度を高められます。
ICEスコアリングモデル
ICEスコアリングモデルは、グロースハックの概念を作り上げたSean Ellisによる優先順位付け手法です。この手法では、目の前のタスクを影響度・信頼度・実現度の容易さの3つで10段階評価し、測定していきます。
3つの評価を掛け合わせ、最も数字が大きいものが優先順位が高いタスクとなります。しかし、この評価方法は主観に走りやすいという欠点もあるため、院内に取りいれるのであれば、スタッフなども交えて話し合うと良いでしょう。
ICEスコアリングモデルの評価方法の例は以下の通りです。
影響度 | 信頼度 | 実現度 | 総合評価 | |
新商品の開発 | 7 | 3 | 5 | 105 |
コンテンツ制作 | 6 | 5 | 6 | 180 |
キャンペーン施策 | 8 | 5 | 8 | 320 |
Value vs. Effortマトリクス
Value vs. EffortマトリクスはICEスコアリングモデルとよく似ていて、シンプルにタスクの価値とそれにかかる労力を10段階で評価し、かけ合わせて優先順位を考えていく手法です。スコアリングしたタスクは以下の4つに分類して考えていきます。
低コストで高い成果が出るタスク
Quick Wins |
価値は高いが実行に時間が掛かるタスク
Big new features |
価値は高くても実行に時間が掛かるタスク
Maybes |
価値は高いが実行に時間が掛かるタスク
Time Sinks |
分類したら実行する価値があるQuick WinsやBig new featuresのタスクを優先して進めていきましょう。
最優先事項を決める方法を4つ紹介しました。フレームワークを実践することによって、あなたが決めた優先事項にも自信を持てるようになり、集中して取り組めるようになるはずです。仕事の効率化を図りたいと考えている方はぜひ実践してみてください。