動物病院の経営を安定させるためには、新しい飼い主さんに来院してもらうだけでなく、すでに利用している飼い主さんとの関係を大切にすることも欠かせません。
一度来院した飼い主さんに「また相談したい」「今後もこの病院に任せたい」と感じてもらえれば、必要な予防や再診を継続しやすくなります。動物の健康状態を長期的に把握できるため、病気の早期発見や適切な健康管理にもつながるでしょう。
既存の飼い主さんとの関係を維持し、継続的な利用につなげる取り組みは「リテンションマーケティング」と呼ばれます。今回は、動物病院で取り入れたいリテンション施策と、実践する際の注意点を紹介します。
なお、リテンションマーケティングの方法については、以下の記事を参考にしてください。
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リテンションマーケティングとは
リテンションマーケティングとは、すでに商品やサービスを利用した人との関係を維持し、継続的な利用につなげるための取り組みです。
動物病院では、診療後の経過確認や再診の案内、予防接種や健康診断の時期を知らせる連絡、飼い主向けの健康情報の発信などが該当します。
目的は、必要のない来院を促して売上を増やすことではありません。動物の状態や受診履歴に応じて、必要な診療や健康管理を適切なタイミングで案内し、飼い主さんが安心して通院を続けられる環境を整えることが重要です。
一般に、新規の飼い主さんに動物病院を知ってもらい、初めて来院してもらうためには、広告費や情報発信など多くの労力がかかります。一方、すでに来院経験のある飼い主さんとは、診療を通じて一定の関係が築かれています。
既存の飼い主さんからの信頼を積み重ねることは、動物の継続的な健康管理だけでなく、動物病院経営の安定にもつながります。
なお、優良顧客についての考え方は、以下の2記事を参考にしてください。いずれも新しい気付きがあるはずです。
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飼い主さんとの関係を深める3つの方法
ここからは飼い主さんとよりよい関係を築くために押さえておきたい3つの方法を紹介します。
リピーターのつくり方については、以下の記事でも触れていますのであわせてお読みください。
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診療後や再診前のフォローを行う
手術や処置、投薬を行った後は、必要に応じて動物の経過を確認すると、飼い主さんの不安を軽減できます。また、再診予定日が近づいたときに案内を送れば、受診忘れを防ぎやすくなります。
ただし、すべての飼い主さんへ同じ内容の連絡を行う必要はありません。治療内容や動物の状態に応じて、誰に、いつ、どのような連絡をするのかを院内で決めておきましょう。
電話やメールだけでは状態を判断できない場合には、早めに来院を案内することも大切です。スタッフによって対応が変わらないように、連絡時の確認項目や受診を勧める基準を共有しておくと安心です。
必要な時期に健康管理情報を届ける
予防接種やフィラリア予防、健康診断、定期検査など、動物に必要なケアの時期に合わせて情報を届ける方法もあります。
単に「来院してください」と知らせるだけでなく、なぜその予防や検査が必要なのか、どのような病気の早期発見につながるのかを分かりやすく説明しましょう。飼い主さんが必要性を理解できれば、納得したうえで受診を検討できます。
また、季節ごとに注意したい病気や、家庭で確認したい体調の変化などを発信するのも有効です。一方的に案内を送り続けるのではなく、配信する内容や頻度を調整し、飼い主さんにとって役立つ情報を届けることを意識しましょう。
飼い主向けのセミナーや相談会を開く
歯みがき教室やシニア期の健康管理、肥満予防、災害時の備えなどをテーマにしたセミナーも、飼い主さんとの関係づくりに役立ちます。
診療時間内には十分に説明しきれない内容を伝えることで、飼い主さんの理解が深まり、家庭での健康管理にもつながります。また、病気になったときだけでなく、日頃から相談できる動物病院として認識してもらうきっかけにもなるでしょう。
参加者を来院回数や利用金額だけで限定するのではなく、動物の年齢や健康課題に応じて案内することが大切です。
特別扱いではなく必要に応じたフォローを
リテンションマーケティングを取り入れる際に注意したいのは、一部の飼い主さんだけを優遇しないことです。
診療の質や説明の丁寧さ、緊急時の対応は、来院回数や利用金額にかかわらず公平に提供しなければなりません。そのうえで、慢性疾患のある動物や手術後の動物など、継続的な確認が必要なケースには、状態に応じたフォローを行います。
また、メールや電話で情報を届ける場合は、連絡先を利用する目的を明確にし、飼い主さんの同意を得ることも重要です。誰にどのような案内を送るのか、配信を停止したい場合にどう対応するのかなど、院内のルールを整えておきましょう。
リテンションマーケティングの目的は、売上の大きい飼い主さんを特別扱いすることではありません。必要な診療や予防を継続しやすい環境をつくり、動物と飼い主さんとの信頼関係を長く育てることです。
まずは、診療後のフォローや再診案内など、自院で無理なく始められる取り組みから見直してみてはいかがでしょうか。
