「あなたのどうぶつ病院のライバルはどこですか?」と聞くと、多くの方は近隣の動物病院を思い浮かべるかもしれませんね。
それ自体は決して間違いではありませんが、動物病院だけがライバルと思い込むのはやや視野が狭いと言えます。
ペット関連のサービスは国内でもどんどん拡大してきていて、動物病院だけではなくペットホテルやトリミングサロン、またペットアイテムを販売する店舗やECサイトも広い意味ではライバルといえます。
このように同業他社ではないものの、自社商品やサービスと同じものを提供しているライバルを「間接競合」と呼びます。
間接競合の存在を無視していると、知らない間に商品の売上が低下してしまうかもしれません。
そこで今回は間接競合に差をつけるためのポイントを紹介します。
動物病院の間接競合と対策
①トリミングサロン
動物病院の間接競合相手として、一番にトリミングサロンを思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。トリミングサロンを併設している動物病院は全体の3割程度と言われていますが、実際にサロンも経営している動物病院にとって、トリミングサロンは大きな間接競合相手と言えるでしょう。トリミングサロンはペットのトリミングサービスを主軸にしているところがほとんどであり、その分動物病院よりもサービスに力を入れている施設が珍しくありません。おしゃれな内装や物販に力を入れているところも多い印象です。
しかし、価格面で見ると実は動物病院のトリミングサービスのほうが比較的安価であることをご存知でしょうか。東京都練馬区で営業している動物病院とトリミングサロンの施術料金を調査したところ、動物病院の平均額は6,719円、対するトリミングサロンは7,652円であり、1,000円近くもの差があることが分かっています。
もしあなたの動物病院がトリミングサービスを提供しているのであれば、この間接競合相手の平均額を飼い主さんに提示してみてはいかがでしょうか。「サロンよりもリーズナブル」と感じて、ペットのトリミングを依頼してくれるかもしれません。
また、言うまでもなくトリミングサロンでは、ペットのトリミングはできても何かあった時に動物の診療をすることは不可能です。ペットに病気の症状が見つかった場合や、万が一ケガをしてしまった場合にも、すぐに対応できるのは動物病院ならではの良さと言えます。その点もアピールして、どんどん飼い主さんを呼び込みましょう。特に持病のあるペットや高齢のペットを飼っている飼い主さんには響きやすいと考えます。
動物病院の間接競合と対策
②ペットアイテムの店舗・ECサイト
ペット用のシャンプーやトリートメント、ペットフード、またペットのおもちゃなどを受付で販売している動物病院は少なくないかと思います。しかし、動物病院はペットの診療サービスがメインであるため、取り扱える商品も限られていますよね。そのため、物販にはあまり力を入れていないという動物病院も少なくありません。
しかし、売れてもいない、売る気もない商品をいつまでも置き続けるのは問題だと私は考えます。せっかく販売するのであれば、間接競合相手であるペットアイテムショップやECサイトに負けないくらいの工夫をしましょう。大量仕入できる店舗や、地代や人件費がさほどかからないECショップのほうが価格面では有利と思われがちですが、動物病院にも有利な点はあります。それは動物の専門家である獣医師が販売しているという点です。まったく同じ商品でも、アルバイトや顔が見えない販売員がおすすめするよりも、専門家であるあなたが、みずからおすすめしたほうが説得力は増すはずです。
そのため数を限定してでも、本当に自信を持っておすすめできる商品だけを充実させ、積極的に飼い主さんに声をかけましょう。一部の商品だけでも、大量仕入れをすることで、ディスカウントができるはずです。どうしても価格設定でライバルに負けてしまうようであれば、診療サービスの割引券などを特典につけて、商品に付加価値をつけましょう。
動物病院の間接競合と対策
③ペットホテル
旅行や出張などの都合で、一時的にペットを預かってもらいたいときに利用するペットホテル。最近はトリミングサービスだけではなく、ホテルサービスも提供している動物病院が増加しています。大変便利なペットホテルですが、ワクチンを接種していなければ利用できないというデメリットがあります。
それも動物病院に併設しているペットホテルであれば、院内でワクチンを打ってからお預かりするということも可能です。「大切なペットを守るためには、受け入れ体制が充実している動物病院のほうがおすすめ」と伝えることで、飼い主さんの反応が変わってくるかもしれません。
ペット関連の間接競合相手は今後も増えていきそうですが、獣医師がいる動物病院ではライバルにはできないサービスの提供が可能です。値段だけにとらわれることなく、あなたの動物病院ならではの良さをどんどんアピールしていきましょう。