もしもあなたが自動車を購入することになった際、ディーラーから見積もりを提示されますよね。
そこには自動車の本体費用から車両保険代、車検代などの内訳が書かれているはずです。
もしこの明細がなく、いきなりトータルの支払い金額だけを突きつけられたらどのように感じますか。
おそらくほとんどの人は価格の妥当性がわからず、購入をためらうのではないかと思います。
動物病院の商品・サービスにおいても、これとまったく同じことが言えます。
どんなに経済的余裕のある飼い主さんでも、納得できないものは購入しません。
手に取ってもらうためには、価格を分解して商品・サービス価格の妥当性をお伝えすることが重要です。
それではどのように価格を見せていけば良いのでしょうか。
今回は価格を分解することの大切さについてお話ししたいと思います。
価格の分解が必要な理由
あなたがご存知の通り、どのようなものであっても、ひとつの商品を作るためにはさまざまなコストがかかっています。人件費や輸送費、また商品を作る工場の地代や備品代など、挙げていけばきりがありません。それにもかかわらず、スーパーマーケットで販売されている食品や日用雑貨品といったコモディティ商品には、価格の内訳がついていませんよね。この理由を考えたことはありますか?
答えは日用品や食品は私たちの生活に根付いているものであり、わざわざ内訳を調べなくてもおおよその相場というものが無意識に理解できているためです。一方で自動車や住宅といった大きな買い物は一生のうち数回ということも多く、価格の妥当性が読みにくいものです。そのため売り手が価格を分解して、何にどのようなコストがかかっているのかを説明する必要があります。
動物病院の商品やサービスも、すべての人に馴染みがあるわけではありません。特に初めて来院してくださった飼い主さんに勧めるときには、何にどのような費用がかかっているのか、価格を分解して見せてあげると説得力が増すでしょう。
判断基準は飼い主さんにある
このブログでも何回かお話ししていますが、価格の高さ・安さを判断するのは獣医師やスタッフではなく、飼い主さん自身です。あなたがリーズナブルと思っているものでも、ある飼い主さんには高く感じるかもしれません。反対に少し高額かなと思っていても、経済的に余裕がある飼い主さんには安価なものと思われる可能性があります。
何にどれほどの価値があるのかを判断する基準は人それぞれであるため、商品の価格は分解して、その価値の判断は飼い主さんに任せましょう。明細を見せることであなたの価値基準を示すことができ、うまくいけば飼い主さんもその商品の価値に同意してくれるかもしれません。決してあなたから「この商品は安いですよ」「ちょっと高いかもしれませんね」などと価値基準を押し付けないようにしてください。
1日あたりの価格に換算して価値を伝える
価格の分解が必要な理由として、小さな金額を見せることで、「これなら私も購入できそうだな」と思ってもらいやすい点が挙げられます。例えばひと月で1万2,000円かかるペット用サプリメントは、飼い主さんから高額だと思われる可能性があります。しかし、それを1ヶ月30日で割れば、わずか400円の負担で済むわけです。「わずか1日400円の負担で続けられますよ」と言えば、飼い主さんも「それだったら無理なく続けられそう」と、手に取ってもらいやすくなります。これはすでにさまざまな商品で使われている有名な交渉テクニックです。
動物病院でもさまざまな商品やサービスで応用できるため、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。1年間をかけて行う予防接種のセットプランでも、1ヶ月単位や一週間単位で日割りした金額を提示してあげると、飼い主さんも前向きになってくれるはずです。
分割購入制度を取り入れる
数万円単位の高額商品を販売するのであれば、分割制度を取り入れるのもひとつの手です。何十万円、何百万円という金額をポンと出す決断ができる飼い主さんは限られてきます。それも、動物病院側から分割案を提案してあげることで、「これなら支払いが苦しくならない」と、勢いづいて購入してくれる飼い主さんが増えるはずです。
この場合、一括購入価格を安価におさえてあげることで、経済的に余裕がある人はお得に購入でき、どのような人もメリットを感じられます。
高額な金額を提示されればされるほど、飼い主さんは購入をためらってしまうものです。購入の検討期間が長くなると、忘れられてしまったり、他院が選ばれてしまったりする可能性が上がります。これでは飼い主さんの離反を招くことになるでしょう。なるべくでしたら、勧めたタイミングで決めて欲しいものですよね。即決してもらうためには、価格の分解が非常に有効な手段となります。高額商品やキャンペーンを打ち出す際には、ぜひ検討してみてください。