
あなたは最近、本を手に取る時間がありますか?仕事や日常に追われていると、読書は後回しになりがちです。
しかし、読書には普段気づけない学びや、新しいアイデアを得られる力があります。忙しい獣医師でも、少し工夫するだけで効率的に知識を吸収できるのが“目的志向型の読書”です。今回は、その具体的な方法とおすすめの書籍を紹介します。
目的志向型の読書とは
読書離れしている人の多くは、「本を読む時間が取れない」「目が疲れる」といった理由を挙げます。確かに読書はぼーっとしていてはできません。また、読書をしたつもりでも、漫然と文字を追っているだけで、内容がまったく頭に入っていなかったということも。これは読書とは言えません。
このようなことがないように、これから読書をする時には、効率性に着目することをお勧めします。 これは、いわゆる「目的志向型の読書」と呼ばれるものです。この方法では、文字通り「目的を持って読む」ことで、必要な情報を効率よく吸収できます。具体的には、読む前に次のような問いを自分に立てます。
- この本から何を学びたいのか?
- 読むことで業務や経営にどう活かせるのか?
-
得た情報をどのように実践に落とし込むか?
また、
- 「動物病院の最新の診療サービスを知りたい」
- 「売上アップの秘けつを見つける」
- 「飼い主さんと上手にコミュニケーションを取る方法を考える」
といった明確な目的を持って読み始めると、自分に必要な情報が自然と頭に入ってくるのでぜひ試してみてください。
読書への先入観は捨てよう
子どもの頃から、読書をするときには「最初から最後まで読み通さなければならない」と教えられてきたような気がします。確かに、最初から最後まで読み通さなければ内容を理解できない本は少なくありません。小説はその典型ですよね。
しかし、必ずしもすべての本は全ページ読み切る必要がないと思います。特に自己啓発本や参考書は、自分に必要と思われるページだけ読んでも十分に自分の糧になるはずです。何百ページも細かい字が書かれた本を見るだけで、プレッシャーを感じることがありますが、それも「全部読まなくていいんだ」と思えば、手に取りやすくなります。
まずは、目次に目を通して、自分にとって有益な情報を得られそうな章をピックアップします。そこから読んでいき、おもしろければ全体に目を通すと効率の良い読書を実践できます。効率の良い読書を実践できれば読むスピードも上がって、次の本にも取り掛かりやすくなります。
獣医師の目的を持った読書におすすめする書籍3選
ここからは、獣医師が目的をもって読むことができそうなおすすめの書籍を3本紹介します。すでに読んだことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、着眼点を変えてもう一度読み直してみると、また新しい発見があるかもしれません。
「コンサル1年目が学ぶこと/大石哲之」
「コンサル1年目が学ぶこと」は、動物病院に関わらず、業種や業界問わずに使えるベーシックな仕事のスキルが紹介されている一冊です。「はじめに仮説ありき」で思考することの大切さや、「数字」を根拠にして人を納得させるテクニックなどが紹介されています。
「あたりまえ」と思えるようなことが意外とできていないことに、気づく機会となります。外資系コンサル出身者が必ず身に着けていると言われるスキルばかりで、若い経営者におすすめしたい一冊です。
「MY VET HOSPITAL 動物病院のつくりかた/緑書房 企画・広告部」
「MY VET HOSPITAL 動物病院のつくりかた」は、ソフトカバーで8,580円と決してリーズナブルな価格ではありませんが、動物病院の開業に必要な基礎知識や手順、また移転の実例もケーススタディで説明されていて、すべての獣医師におすすめできます。動物病院の競争が激化している現状を、データでわかりやすく解説されていて、この部分を中心に読むと今後の経営戦略を立てられるはずです。全国34の動物病院のデザイン実例が写真付きで掲載されていて、写真集としても楽しめます。
「「獣医師企業家」と「プリモ動物病院」の挑戦 QAL経営/生田目康道」
「「獣医師企業家」と「プリモ動物病院」の挑戦 QAL経営」は、著者・生田目康道氏が掲げる「QAL(Quality of Animal Life)」という理念を軸に、プリモ動物病院グループがどのように成長し、失敗し、再び挑戦を続けてきた歩みを描いた一冊です。動物にも“人間と同じように当たり前の幸せ”を届けるという想いのもと、地域密着型の病院運営、組織づくり、人材育成、さらには救急センター開設や異業種連携など、多角的な取り組みが紹介されています。
経営視点と獣医療の現場をどちらも理解した著者だからこそのリアルな描写が特徴で、開業や組織運営を考える獣医師にとって学びの多い内容です。失敗からの学びや、動物医療を街づくりへ広げる未来構想まで触れており、獣医師としてのキャリアの可能性を広げてくれる書籍といえます。
読書は単なる趣味ではなく、日々の判断や経営のヒントを得る貴重な手段です。目的を持って読むことで、必要な情報を効率的に吸収でき、知識と視野を広げることができます。忙しい日常の中でも、まずは目次をチェックし、学びたいことにフォーカスして一冊を選んでみてください。
目的志向型の読書を取り入れることで、あなたの知識は確実に深まり、経営や診療の現場でも役立つはずです。なお、読書方法については以下の記事でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
