ホワイトボードに絵を描く男性

一般企業と同様に、動物病院もしばしば体制を見直して、新しい組織づくりを行わなければなりません。

大きなシステムの変更が生じた際や、スタッフの入れ替わりがあったタイミングであればなおさらです。

 

組織再編の考え方としては、共通のビジネスモデルやビジョンを持って組織全体の最適化を目指す「全体最適」と、一部分や個人の最適化を図る「部分最適」のふたつがあります。

いずれもメリット・デメリットがありますが、経営者であればまずは全体最適を意識した経営を目指しましょう。

今回は全体最適の大切さとともに、進め方について紹介します。

組織再編を検討しているあなたの参考になれば幸いです。

なぜ組織には「全体最適」が求められるのか

全体最適を行うことによって得られるメリットはいくつかありますが、最も大きいのは適切な場所に適切な人員を配置できることにあるでしょう。特定の職種や部署だけではなく、全体を見直すことによって、部署を越えた配置転換を行えるようになり、院内の風通しがよくなるのです。職種が違っても連携がうまくとれるようになり、現場の効率性と生産性の向上を期待できます。

 

もうひとつのポイントを説明します。例えば動物病院で受付事務の体制のみを見直すことで、より多くの飼い主さんを受け入れられるようになったとします。一見これは良いことのように思えますが、その飼主さんに対応する獣医師や看護師の数が不足していれば、飼い主さんを待たせるようになり、信頼を損なうおそれがあります。

 

こういった事態を防ぐためにも、組織の体制を見直すときにはまず全体を見て、新しい施策を考えるようにしましょう。一人ひとりの役割を明確にすることによって、そのスタッフは責任感を覚えるようになり、業務パフォーマンスが上がっていくはずです。業務の無駄がなくなって、コストが改善されるかもしれません。

動物病院を全体最適化する方法

ホワイトボードに絵を描く二人

全体最適の重要性をお伝えしたところで、ここからは動物病院の全体最適化を図る方法をお伝えします。「最近院内の人間関係がぎくしゃくしている」「売上がいつまでたっても上がっていかない」と感じている方は、組織の在り方を見直してみましょう。ちょっとした改善で、劇的に院内の雰囲気が変わることがあります。

 

方針はトップであるあなた自身が決める

院内の全体最適を進める際には、必ず院長であり、経営者であるあなた自身が方針を決めるようにしましょう。全体最適というとスタッフみんなで進めるイメージがありますが、その内容についてはあなた自身が決断を下すようにしてください。スタッフに頼んで改善策を出してもらうと、どうしても部分最適になりがちで、不公平な印象を持たれてしまいます。人員配置や新しいキャンペーンの実施などは、スタッフからの意見を仰ぎつつ、自分で最終決定をすると良いでしょう。

コミュニケーションを活発化させる

院内の雰囲気や業務効率が悪い原因として、しばしばコミュニケーション不足が挙げられます。これは院内のスタッフ同士でも、飼い主さんに対しても言えることです。動物病院にかかわる人たちの本音がわからなければ、全体最適化に必要な課題を見つけることもできないでしょう。正しい全体最適化を図るためには、まず課題の発見が必須です。そのためにはまずスタッフや飼い主さんとのコミュニケーションを取れる場所を見つけて、日頃感じている問題点や不満を聞き出しましょう。それによって新しい施策が思いつくかもしれません。

ITは全体最適にぴったりのツール

組織が全体最適化を進めるうえで、キーワードになってくるのが「IT化」です。Webの予約システムやIT機器の導入は、誰にとっても有益なツールとなります。これといった課題は見当たらないけれど、業務効率が良くないと感じているのであれば、新しいツールを院内に導入してみてはいかがでしょうか。手作業で行っていたものをITに任せることによって、業務効率は格段に改善されます。

全体最適化を行う上での注意点

白いプリンター用紙に黒鉛筆

メリットが多いように思える全体最適化ですが、決してデメリットがゼロと言うわけではありません。ひとつめのデメリットは、職種や役職による対立が生まれてしまう可能性がある点です。全体最適のために特定の職種の人員配置だけ行って、他は行わないという決断をすれば、人事異動が発生しなかった人たちから不満が噴出するおそれもあります。

 

また、新しいシステムを導入し、一時的なコストが発生することを良く思わない人も存在するかもしれません。前述の通り、全体最適は基本的にあなた一人が行うものであるため、不満が集中してのしかかってくることもあるでしょう。

 

このようなデメリットを頭に入れ、全体最適を進める際には人の意見を聞いたり、自らが説明をしたりして、方向性を理解してもらうようにしてください。その他にも全体最適化の成果を示す目標数値を設定して、定期的に成果を公表する手も有効です。あなたが決断した全体最適化が正しいものであるかどうかを数字で確認することで、新しい施策を考えていけるようになるでしょう。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事