今回から3回にかけて、経営で成功できない人の条件についてお話していきます。
世の中にはたくさんの成功者が存在しますし、そういった人々を紹介するテレビ番組や書籍も少なくありません。
そのようなメディアを参考にするのはもちろん有効ですが、反対に成功できない人も何らかの特徴を持っているものです。
失敗しやすい人のクセや考え方を反面教師にすることで、新しい経営のヒントが見つかるかもしれません。
そこで今回は、成功できない人の多くに共通する「一発当てたいと考えるクセ」について考えていきたいと思います。
「一発当てたい」の何が悪いのか?
「一発当てる」とは、具体的にどのような状態を言うのでしょうか。芸能人で言えば、一曲の歌や一発芸をきっかけに全国的に知られる状態を指すかと思います。
動物病院で言えば、新しいペットアイテムを開発・販売して大ヒットを飛ばしたり、トリミングやペットホテルなどのサービスが人気を博したりして、大きく売り上げが伸びる未来を夢見ている獣医師が存在するかもしれません。
しかし、長年動物病院を経営している私が思うに、新しい施策がたった一度のチャレンジでうまくいくとは到底思えません。このブログでも何度か説明した通り、広告を打つにしても、DMを送るにしても、新しいキャンペーンを打ち出すにしても、複数回にわたるトライ&エラーが必要です。
たった一度でうまくいった施策はビギナーズラックがほとんどで、その後は尻すぼみに終わったり、新しい施策を打ち出せなかったりして行き詰まる獣医師を何度も見てきました。
なまじ最初がうまくいっただけに、その施策に固執すぎて、マンネリ化したときの対策を立てることができないのです。
一発芸でブレイクしたお笑い芸人の多くが「一発屋」として消えていくのと同様に、ひとつの施策しか持たない動物病院は、最初は良くてもすぐに飽きられてしまいます。視野狭窄にならないようにするためにも、「一発」は狙いすぎないようにしたいものです。
複数の施策を立てて動物病院を経営しよう
成功者たちの自伝を読むとわかることですが、一度で成功した成功者はほとんど存在しません。蓄音機や電球を開発し、「発明王」と呼ばれているトーマス・エジソンでさえ何度も失敗を繰り返しています。「天才とは1%のひらめきと99%の努力」という彼の言葉はあまりにも有名ですが、「自分が体験したのは失敗ではない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ」という言葉も残しているほどです。
動物病院の経営にもまったく同じことが言えます。特大ホームランを狙って、大きな目玉となる施策を考えるのではなく、小さくてもすぐにチャレンジできそうな施策をいくつか考えて、どんどん試していきましょう。そのなかでうまくいきそうなものがあれば、より良いものに改善し、動物病院の看板にしていきましょう。
意外と「気に入られそうにない」と思っていた施策が受け入れられたり、反対に「いけそうだ」と期待していたものが空振りに終わったりするものです。ガッカリすることもありますが、それもまた経営のおもしろさです。
特にまだ動物病院を開業して日が浅い方は、ひとつの施策にこだわるのではなく、広い視野を持って新しい施策をどんどん試していきましょう。コストがさほどかからない施策であれば、リスクもほとんどありません。
まずはコツコツ続ける習慣を身につけよう
「一発当てることを考えるのはダメ」だとわかっていても、人間はどうしても華やかなものに目を奪われてしまうものです。いつも飼い主さんでいっぱいの動物病院を目にしたり、インパクトのある広告を出している動物病院を知ったりすると、どうしても意識してしまいますよね。
成功している動物病院を参考にするのはまったく悪いことではありません。ただ、それをマネしているだけでは、自分の動物病院のものにはできず、単なる二番煎じに終わります。そして、単なる二番煎じの動物病院に惹かれる飼い主さんはほとんどいません。
他院と同じことをしても薄っぺらい印象になるため、最初はマネであっても徐々に自分の動物病院のスタイルに合わせてアレンジしていきましょう。やがてオリジナリティが出てきて、スタッフにも患者さんにも浸透していくはずです。そのためにもやはり、ある程度施策を継続することをおすすめします。
複数のアイデアがある場合は重要度をランク付けして、上位に来るものはなるべく毎日、長期的に継続しましょう。すべてのアイデアを試すのは難しくても、少しであればさほど難なく続けられるはずです。
「この一発で当てる」と、保険も何もない状態で意気込んでいると、力が入りすぎて空回りしてしまうことも。当たらなかったときのダメージもはかりしれません。無理なく継続して成功をおさめるためには、小さなアイデアを常にいくつかストックしておきましょう。