動物病院を経営しているなかで、商品やサービスを勧めたお客様に断られた経験は、決して一度や二度でないですよね。最初から獣医師の言うことをすべて受け入れて、購入してくれる人ばかりではありませんから。
ここで重要なのは、断られないようにすることではなく、断られた後のフォローです。断られて「そうですか」で済ませるのではなく、一度や二度再説得を試みてはいかがでしょうか。ただし、その際には説得力があるセールストークが求められます。今回はセールストーク力を高める、反論つぶしテクニックについてお話ししたいと思います。
反論つぶしテクニックは顧客フォローにマスト
飼い主さんから、商品やサービスの提供を断られた時の経験を思い出してみてください。おそらく多くの飼い主さんは
- 「お金がないから」
- 「自分には必要ないと思うから」
- 「今は買うタイミングではないから」
など、さまざまな理由をつけて断っているのではないでしょうか。断り文句をそのまま受け入れてしまうと、「さほどおすすめできない商品なのかな」と思われてしまうことも。そうではなく、そこで一言、飼い主さんの立場に寄り添ったセールストークができると、ワンランク上の営業力を身につけられます。そのためには、あらかじめ飼い主さんから断られる理由を想定して対策を練ると良いです。
飼い主さんが断る理由
動物病院に来る飼い主さんが、商品やサービスを断る理由はいくつかあります。
- お金がない
- 動物病院に通える時間が取れない
- 既に持っている
- 他院と付き合いがある
- 他の動物病院の商品やサービスに魅力を感じている
などが代表的な理由です。ひとつの商品やサービスを扱うときには、それを断られる理由を想定し、反論トークを考えておきます。
例えば、お金がないことを理由に断られるようであれば、「今、期間限定で、〇%引きの価格で販売しています」「2つ以上買うとセット割がきくのでお得です」などと伝えます。一言添えるだけで飼い主さんの反応は変わるはずです。もしタイミングを理由に断られるようでしたら、早期予約特典サービスを設けて勧めてみると、早い段階で予約してもらえることがあります。
お得なプランを提案したからといって、必ずしも飼い主さんが購入してくれるわけではありません。一言添えるだけで売れれば、誰も苦労はしないはずです。しかし、最初のアプローチですぐに引き下がってしまうのは少々寂しいもの。反論つぶしテクニックをやんわり取り入れるだけで、飼い主さんの反応が変わる可能性は十分にあります。
飼い主さんの言葉の後ろに隠された真意を探る
飼い主さんがサービスや商品を断る時に、必ずしも本当の事を言っているとは限りません。お金がないことを理由にしつつ、内心ではあなたの動物病院の商品やサービスを気に入っていない可能性は十分にあります。それも獣医師本人を目の前にして、「気に入らないから、もう買いたくはありません」とはなかなか言えないものです。時間やお金は単なる口実かもしれません。
断られた時には、本当にお金や時間が理由なのかどうかもじっくり考えてみてください。たとえ反論つぶしテクニックを身につけたところで、提供するサービスや商品の質が良くなければ集客力は上がっていきません。飼い主さんの態度や来院頻度を見て、原因がどこにあるのか考えるのも、経営者の務めです。
飼い主さんの意見や本音を引き出すには、アンケートが有効です。面と向かっては言えない本音も、アンケートを介することで引き出すことができます。なかなか商品やサービスの売り上げが上がらないという時には、モニター制度を設けて、本音を聞いてみるのも良いです。その反応によって、セールストークはまた変わってきます。
買った方が良い理由より買わなかったときのリスクを伝える
人は安心感よりも危機感に対して敏感になるものです。いくら診療サービスをおすすめしても、今ペットが健康であれば、「今は健康だから大丈夫」と断られがちです。しかし、それも「今このサービスを利用しなければ、病気になってしまうかもしれませんよ」など、購入しなかった場合のリスクを伝えると、真剣に検討してもらえる可能性大です。一方的に「これは絶対に良いから買ってほしい」と押せ押せ状態になるよりも、少し引いた姿勢を見せてみるのはいかがでしょうか。
強引なセールステクニックは NG
セールステクニックは重要ですが、水掛け論になるようなトークは絶対に避けましょう。「どうして買わないの?こんなに良いのに」「こんなに勧めているのに」など、追い討ちをかけると飼い主さんがプレッシャーに感じて、二度と来なくなってしまうことも。 反論潰しテクニックは一回に抑えて、何度もセールステクニックで相手を追い詰めないようにしてください。
「買わない理由をつぶす」と言うと少し強引な印象を受けますが、飼い主さんの立場に寄り添って考えることで、結果的に飼い主さんに対して質の高いサービスや商品を提供できるようになります。一度飼い主さんに断られる理由を考えて、じっくり改善策を練ってみましょう。視点を変えるだけで、ずいぶん変わってくるはずです。