動物病院に関わらず、ビジネスにはリスクがつきものであり、慎重な判断が求められます。
その一方で、スピードも重要であるため、思い切りの良さが求められる機会もしばしばあるでしょう。
決断を迫られて迷うとき、最終的に自分の直感で決めることは決して悪いことではありません。
あなたがこれまで積み上げてきた、獣医師として、そして経営者としての経験をもとにした直感であれば、成功する見込みは十分にあると考えます。
今回はこの直感の大切さや重視すべきタイミングについてお話しします。
なぜ経験に基づく直感は大切なのか？
動物病院業界や市場に関する知識や、あなたが成功と失敗から身につけることができた洞察、さらには動物病院を運営していくなかで発見したベストプラクティスなどは、すべてビジネスの経験に基づいた知識であり、経験則と呼べるものです。これらの経験則があることで、ビジネスにおいて以下のような行動が取れるようになるでしょう。
ビジネスにおけるリスクの軽減
過去の経験から得た知識や技術は、同じ誤りを繰り返さないようにするために役立つものです。失敗が起きる理由や、発生した課題に対処する方法をあらかじめ知っていることで、リスクを最小限に抑えることができます。万が一トラブルが起きても迅速に対応できるようになるでしょう。
緊急時のトラブルにも対応できる
ビジネスは流動的であり、緊急かつ予測不可能な状況に陥ることも珍しくありません。そのような場で即座の判断が求められるとき、最終的な決め手となるのは過去の経験や学習から得た直感です。冷静な対応を取れることで正しい判断ができるだけではなく、スタッフや飼い主さんから信頼を得られるでしょう。
スピーディーな意思決定ができる
経験則に基づいた知識があれば、迅速に意思決定ができるだけではなく、柔軟な対応が取れるようになります。Aのプランがダメだと思ったときにも、BやCの代替案を直感的に用意できることで、状況に応じた柔軟かつ効果的な対策を講じられるようになるでしょう。
さらなる学習と成長の糧となる
あなたやスタッフが経験を積むことによって、院内には知識や技術が蓄えられるようになります。それはあなたの動物病院にとって、かけがえのない財産になっていくでしょう。ノウハウが蓄積されればされるほど仕事のクオリティが上がり、新たなステップアップを図れるようになります。信頼性の高い判断や戦略の立案が可能となり、成功と失敗から得た経験を、将来の取り組みにおいて活かせるのです。
直感を活かせるビジネスシーンとは
経験則に基づいた直感は侮れませんが、やはり基本的にビジネスでは綿密な計画が必要です。そのことがわかっているからこそ、不確定要素の多い勘に頼るのが怖くなってしまう人が少なくないのです。ここからは直感を信じるべきビジネスシーンについて説明します。
不確かな情報しかなく即決を迫られた場合
例えば「今日購入を決めれば、半額になる」という謳い文句の商品があったとしましょう。その商品が実際にはどれくらい価値があるものか、評判はどれほどのものなのか、調べる時間はありません。そうなると最終的にはあなたの勘頼みとなってしまいます。仕入れなどの場においては慎重な判断が必要となりますが、説明を聞いて「他にはない魅力がある」「どうしても欲しい」と思ったら、試しに一度購入してみるのもいいかもしれません。
複雑で抽象的な問題が発生した場合
問題が複雑で、多くの要素が絡んでくるとなると、意思決定の前にまず課題の理解に苦労をすることがあります。専門的な知識や技術を要することであればなおさらです。そのようなときでも、経験から得た直感が問題の本質を理解するのに役立つことがあります。あまりに問題が複雑な場合、一度直感で大まかな方向性を決めてみてはいかがでしょうか。問題の本質が見えてくるかもしれません。
感情や人間関係の問題が発生した場合
飼い主さんと獣医師、スタッフと看護師など、さまざまなところで人間関係のトラブルは起こるものです。人間関係の問題で一番厄介なのは「正解がない」ということ。その人の性格や立場によって最適な解決方法は変わってくるでしょう。そのようなときこそ、経験則に基づいた直感の出番です。感性や共感を通じて状況を理解し、過去のトラブルを省みて、適切な判断を下すことが求められます。
人は経験を通じて学び、パターンを認識し、それをもとに未知の状況に対処する能力を身につけられる生き物です。こうして養われた直感は、時に非常に有益であり、信じる価値があります。過去の経験や知識に基づいた直感は、決して軽視できない存在です。
ただし、直感が完璧な予測や正確な判断を下すわけではありません。誤解や偏見に影響された直感は、間違った結論へと導くことがあります。また、時代や環境が変化すれば、古い知識で養われた直感は意味を成さなくなります。そのため、直感で動く前は努めて冷静になりましょう。直感を鵜呑みにせず、冷静かつ論理的に考えてバランスを取ることが重要です。
