会議の進行役であるファシリテーターは、どんなに小さな会議でもなくてはならない存在です。
しかし、その役割や重要性を認識している人は多くありません。
パーティーの司会者と混同している人もいるほどです。
そこで今回は、ファシリテーターの意義や重要性を理解していただくために、基本的なファシリテーターの役割と選び方について説明します。
動物病院内の会議に締まりがないと感じている方は、ぜひ参考にしてください。
意外と知らないファシリテーターと司会者の違い
まずは混同されやすいファシリテーターと司会者の違いを説明します。司会者とはその名の通り、会の進行役を司る人であり、パーティーや会議など会全体の流れを円滑にしなければなりません。そういった意味で司会者の役割は大きいと言えるでしょう。
一方のファシリテーターは、ファシリテーションという能力を活用しながら会議などの場で参加者に発言を促したり、話をまとめる役割を担います。会議の進行役という点では共通していても、司会者にこの役割はさほど求められません。その意味でファシリテーターは、司会者とは異なる責任を負うことになります。活発な議論が展開されなかったり、方向性が迷走し始めたりしたときこそ、ファシリテーターの腕の見せどころです。タイミングを見計らって意見を募ったり、まとめたりするようにしましょう。
ファシリテーターの重要性とは
ここ何年かでよく身に耳にするようになった、ファシリテーターという存在。一体なぜ会議の場にファシリテーターを置くと良いのでしょうか。ここからは代表的な理由を4つ紹介します。
アイデアや発言を引き出しやすくなる
特に女性スタッフが多い動物病院は、積極的な意見が出にくい傾向があります。また、後輩スタッフが先輩スタッフに遠慮して、なかなか本音を口にしづらいということもあるでしょう。それもファシリテーターがスタッフからの意見を促すことによって、発言の機会が増えるはずです。限られた人ばかりが発言するということもなくなり、全員が会議を自分ごと化できるのです。
時間管理をしやすくなる
前回までのブログでは、短時間会議を推奨してきました。それも時間の管理をできる人がいなければ、終了時間を忘れて延長することがあるでしょう。ファシリテーターが時間管理をすることで、決められた時間内に会議を終わらせることができます。
目標設定と合意形成をしやすくなる
最初にファシリテーターが目標を設定し、全員に共有することで、議論が円滑に進行しやすくなります。また、会議の終盤でファシリテーターが結論を出せば、合意形成をとりやすくなります。「時間だけ長くて、何も決められなかった」という、日本の会議の悪しき風潮を変えることができるでしょう。
ファシリテーターに適した人物とは
動物病院の会議であれば、通常獣医師であり、経営者であるあなたがファシリテーターになることが多いかと思います。しかし看護師同士での会議や、従業員教育を目的とした会議ではスタッフがファシリテーターになることも珍しくありません。
一度ファシリテーターになってみると、病院全体を俯瞰的に見られるようになり、会議を仕切るテクニックが身につきます。社会人として、身につけておいて決して損がないスキルと言えるでしょう。
しかし、誰しもがファシリテーターに適しているわけではありません。きちんと全員の意見を聞きつつ、適切なタイミングで場を仕切れる、バランス感覚を備えた人が適任です。すなわち、リーダーシップとコミュニケーションスキルを身につけている人は、会議の進行役に向いています。
スタッフにファシリテーションを任せる場合、上席者や勤務年数の長い人が担う傾向にあります。しかし、一度若いスタッフに任せて長期的にスタッフ全体のファシリテーション能力を高めていくのも良いでしょう。
ファシリテーターを置くときの注意点
ファシリテーターは会議になくてはならない存在ですが、負担が大きすぎて人によってはストレスに感じてしまうことも。会議に後ろ向きな従業員をつくらないように、獣医師であるあなたがいくつかの配慮をしましょう。
やむなく長時間会議になるときや、参加人数が多い会議を開催する時には、複数のファシリテーターを用意しましょう。メインやサブのファシリテーターを設けるのもおすすめです。また、ファシリテーターと資料作成者を分けるのもひとつの手です。
特に経験の浅いスタッフをファシリテーターにする場合、サポート役をつけることをおすすめします。ファシリテーターのスキル次第で会議の質が変わってしまうため、一定レベルを保てるように努めましょう。
ファシリテーターを設けることで、会議が円滑に進むようになります。積極的な議論が交わされるようになれば、動物病院の雰囲気が良い方向に変わってくるかもしれません。決してファシリテーター任せにならないように配慮しつつ、役割分担をしてください。