今回は飼い主さんの声を集める方法の第三弾をお届けしたいと思います。
第一弾ではアンケート、第二弾ではインタビューを紹介しましたが、第三弾となる今回はアンケートとインタビューを同時に実践できる交流会の開催をおすすめしたいと思います。
あらかじめ開催日時と参加者を決め、あなたの動物病院内で開催すると、新しい気づきを得られるはずです。
交流会によってどのような効果を得られるのか、またどのような手順で開催すべきかについて順番にお話していきます。
なぜ交流会をすべきなのか
アンケートやインタビューだけでも飼い主さんの声は十分に集められますが、交流会を開催することで、このふたつでは得られない効果を感じることができます。例えば新商品をリリースしたいときには、実際に試供品を用意し、自分たちの目の前で飼い主さんに使用していただくと、リアルな反応が返ってきます。ぱっと見の印象や使用感などは、交流会で実際に手にしていただいたときの反応がもっとも真実に近いはずです。
また、交流会をすることによって、飼い主さんとの距離をぐっと近づけることができます。診察中のコミュニケーションは、どうしても事務的になりがちですが、業務とは少し離れたところで飼い主さんと関わることによって、普段はなかなかできない話ができたり、お互いの意外な一面を発見できたりすることがあります。交流会を盛り上げるためにも、当日はお茶やお菓子を用意して、カジュアルな雰囲気を作り出すと良いでしょう。
最後に、交流会に招待することによって、飼い主さんはあなたの動物病院に親近感を抱く可能性が高まります。ファンになってもらえれば、これからもリピーターとして、あなたの動物病院に通ってくださるはずです。
このように交流会の開催にはさまざまなメリットがあります。飼い主さんの声を集めても今ひとつどれも同じと感じている方や、新商品のリリースを考えている方は、ぜひ交流会を開いてみてください。
交流会を開くときのポイント①目的を明確にする
交流会というと、座談会やパーティーのようなイメージを抱く方がいますが、ただおしゃべりしているだけでは、有益な情報は集まりません。飼い主さんのリアルな声を引き出すためには、交流会を開く目的を明確にして、それをスタッフや参加者全員にお知らせする必要があります。目的の明確化が必要であるのは、インタビューやアンケートと同様です。
目的を知ってもらい、有益な情報を引き出すためには、交流会を前半・後半に分け、前半で会の趣旨を院長であるあなた自身が説明すると、場が引き締まります。あまりに堅すぎると飼い主さんも緊張して、発言にも遠慮がちになりますが、カジュアルにしすぎると井戸端会議になってしまいます。このあたりのバランスは、スタッフと話し合いながら調整しましょう。
交流会を開くときのポイント②スタッフにも同席してもらう
参加する飼い主さんの多くは女性になるかと思います。あなたが男性である場合、視点の違いから話が噛み合わないという事態も考えられます。それであれば、看護師や受付事務、トリマーなど、さまざまな女性スタッフにも同席してもらいましょう。同じ動物病院でも、違う立場から意見を出し合うことによって、飼い主さんも共感を覚えやすくなります。飼い主さんと動物病院のスタッフの数のバランスを見て調整しましょう。
交流会を開くときのポイント③ターゲットの選定は慎重に
例えば犬用の新商品についての意見を募りたいのに、猫の飼い主さんを集めても意味はありません。交流会の趣旨に合った参加者をピックアップし、開催予定日の1か月前を目安に声をかけていきます。声のかけ方はダイレクトメールや診察室・受付、また電話でも構いません。
平日の日中はどうしても参加できる人が限られてくるため、土曜日の日中がおすすめです。どうしても平日になる場合は、平日に参加できそうな主婦にターゲットを絞りましょう。
交流会を開くときのポイント④交流会終了後にアンケートを取る
交流会で出た意見だけを参考にするのではなく、終了後にはアンケートを取り、そこから出た意見も参考にしましょう。交流会では言えなかった意見や、あとから思いついた意見を確実に集めることができます。そうは言っても、交流会から日を空けるとアンケートが返ってこない可能性がありますので、交流会が終了した時点でアンケート用紙を配布し、その場で書いてもらいましょう。面と向かっては言いづらい意見を書いてくれるかもしれません。
一度交流会を開催してみて、うまくいったら定期的に開催すると飼い主さん同士の仲も深まって、ひとつのコミュニティへと成長していくでしょう。飼い主さんの声を集めるためにも、あなたの動物病院のファンを増やすためにも、ぜひ交流会を企画してみてください。