今回は「カリギュラ効果」を利用したセールステクニックについてお話したいと思います。
カリギュラ効果とは、人は禁止されるとかえってそれをやってみたくなる人間心理のことです。
「初めてのお客様には販売していません」「ダイエットの必要がない人には使ってほしくありません」といったキャッチコピーは、このカリギュラ効果を狙っていると言えます。
飼い主さんの興味をそそりたいときに有効なカリギュラ効果ですが、使い方を誤るとかえって逆効果です。
そこで今回は効果的なカリギュラ効果の活用方法について考えていきたいと思います。
ありきたりではなく、少し個性的なキャッチコピーやセールストークを提案したいと考えているあなたはぜひ参考にしてください。
カリギュラ効果を利用したセールスの成功例
カリギュラ効果を利用した商品はいくつかあります。例えば雑誌についている袋とじ記事。その雑誌を購入しなければ中を見ることができないとわかった途端、不思議とその雑誌を欲しくなった、という経験がある方は少なくないはずです。また、大事な部分にあえてモザイクやピー音を入れて興味をそそるテレビショッピングについても同じことが言えます。
有名なところで言えば、一見さんお断りの京都の料亭についても同じことが言えるでしょう。入れない人もいることがわかれば、なんとしてでも自分は入りたいと思ってしまう心理です。このようにカリギュラ効果を狙ったセールスやマーケティングの例は枚挙にいとまがありません。それだけ成功したら大きな効果を狙えると考えられるでしょう。
動物病院のセールスにカリギュラ効果を取り入れるには
カリギュラ効果の内容とセールス事例を理解したところで、ここからはあなたの動物病院に取り入れる方法について考えてみましょう。
まずおすすめしたいのが期間や人数を制限して、商品を販売する方法。期間限定キャンペーンを実施し、その期間だけに購入できる商品を用意すれば、ただ商品棚に並べて販売するよりも格段に購入してもらいやすくなります。ただし、購入対象者に告知しなければ当然のことながらキャンペーンの存在を知ってもらえず、商品の売れ行きもよくならずにキャンペーン期間が終わってしまいます。カリギュラ効果を狙っている以上、積極的に売り込みをかける必要はありませんが、キャンペーンの存在自体はDMやチラシを使って飼い主さんに伝えましょう。
人数を制限するときには新規の飼い主さんや、メルマガ会員に限定したり、先着〇人と決めておいたりすると特別感が生まれます。新規の飼い主さんやメルマガ会員を増やすきっかけにもなるはずです。
「禁止」をキャッチコピーにする方法もおすすめです。ペット用のアイテムを「健康なワンちゃんには使わないでください」「ペットのケアに自信がない人だけが使ってください」など、あえてこちらから禁止を出すことによって、飼い主さんの購買意欲をそそることができます。ただし、こういったキャッチコピーは定番化しているものでもあるため、多用するのは避けましょう。自信のある商品をアピールするときだけに使うことをおすすめします。
カリギュラ効果を取り入れるときの注意点
カリギュラ効果はよく知られた心理学用語であり、すでにマーケティングやセールスにおいて多様されています。そのため、前述の通り「禁止」の回数は最小限にとどめるようにしましょう。
また、この「禁止」を設けるときにも、その強さを調整する必要があります。例えばメルマガ会員限定の商品を販売するとしましょう。そのメルマガ会員に誰もがなれるとわかれば、そんなに特別感がなく、さほどカリギュラ効果も期待できません。入会料金を高く設定して会員になるハードルを上げる手もありますが、高く設定しすぎるとかえって入会を敬遠されてしまいます。弱すぎたり強すぎたりする禁止にはあまり意味がないことを覚えておきましょう。
もうひとつ、禁止や制限をかけるときには同時に説明できるようにしておくことも重要です。ただ「この商品は購入できません」「商品を購入できる人は限られています」と伝えるだけでは、購入できない飼い主さんはおもしろくはありませんよね。禁止のハードルを乗り越えて購入してもらうためには、「なぜ購入できないのか」「どうしたら購入できる権利を得られるのか」を同時に説明するようにしましょう。
カリギュラ効果は消費者にインパクトを与えられるセールス・マーケティング方法として生かせるものですが、禁止や制限などのストレスを与えるものでもあります。そのストレスを受け入れて、購入というポジティブな行動に移ってもらうためには、飼い主さんとあなたの間に信頼関係ができていなければなりません。カリギュラ効果をセールスに取り入れたいと考えているあなたはそのことを忘れず、日々の診療では飼い主さんとのコミュニケーションを大切にしてください。
