新しい予防医療のプランを始めたい、物販を強化したい、シニア犬・シニア猫向けのサービスをつくりたい。動物病院を経営していると、診療以外にもさまざまな新しい取り組みを考える場面があるかと思います。
また、銀行に融資を相談したいときや、経営がマンネリ化していると感じるときにも、ビジネスプランを整理することは非常に重要です。
新規事業計画というと難しく感じるかもしれませんが、魅力的なビジネスプランほど、実はシンプルに説明できるものです。反対に、説明が複雑になりすぎる計画は、飼い主さんにもスタッフにも伝わりにくく、実行段階で迷いが生まれやすくなります。
今回は、動物病院経営者が新しいサービスや取り組みを考えるときに意識したい、シンプルなビジネスプランの作り方と伝え方についてお話しします。
なぜ魅力的なビジネスプランはシンプルに説明できるのか
動物病院の新しい取り組みは、院長の頭の中だけで完結していても意味がありません。スタッフが理解して動けること、飼い主さんが価値を感じられること、必要に応じて金融機関にも説明できることが大切です。そのためには、誰が聞いてもイメージできるほどシンプルに整理されている必要があります。
それでは、シンプルなプランをつくるためには、一体どのようにしたらよいのでしょうか。ポイントは以下の3つです。
ターゲットを絞り込む
「多くの飼い主さんに来てもらいたい」と考えるほど、対象を広げたくなるものです。しかし、誰に向けたサービスなのかが曖昧になると、結果的にメッセージも弱くなります。まずは「どのような悩みを持つ飼い主さんに届けたいのか」を絞ることが大切です。
たとえば今高級路線のペット用シャンプーがベストセラーとなっています。一本1万円前後するシャンプーを手にとってくれる飼い主さんは限られるでしょう。しかし品質はよく、経済的に余裕のある人や、ペット用品にお金を惜しまないという人には確実にアプローチできるのです。ターゲットを絞り込めれば計画も立てやすくなり、魅力的な表現をしやすくなります。そのため、まずはターゲットを絞ることから始めていきましょう。
ターゲットの絞り方については、以下の記事をぜひ参考にしてください。
関連記事:ターゲットの見直しで競合他社に差をつける!今注目すべき飼い主さんとは?
メッセージ性が高い
「ワンちゃんの毛並みをきれいにするシャンプー」や「ネコちゃんの栄養バランスを整えるキャットフード」など、ほとんどの商品には訴求ポイントがあります。このポイントがブレずにしっかりしていると、プレゼンの際にもそのポイントを強調すればよく、シンプルにPRできるはずです。
そのため、新商品やサービスを考える際には、それらを通じて最も伝えたいことを明確にしましょう。コンセプトが一貫している商品は飼い主さんにもわかりやすく、興味を持ってもらえるかもしれません。そしてこのメッセージは多くても3つ程度にまとめましょう。あまりに多いと記憶に残りにくく、短時間で商品を説明することもできません。
実現可能なものだけを採用する
たとえば、スタッフ数が足りていないにもかかわらず、毎日長時間の新サービスを始めようとしたり、利益率を考えずに大幅な割引プランを打ち出したりすると、最初は注目されても継続が難しくなります。ビジネスプランでは、飼い主さんにとって魅力があることに加えて、病院側が無理なく続けられるかどうかも重要です。
「100円でペットフード購入放題」や「予防接種永久無料」など、非現実的なプランは新規事業を考える際に採用するべきではないと考えます。インパクトはあっても継続性がなく、頓挫してしまう未来が、プレゼンされる側にもぼんやりと見えてしまうからです。あまりに現実味のないビジネスプランは、興味や関心を持たれません。そのようなことがないように、「本当にできそう」「ニーズがありそう」と思ってもらえるプランだけを採用するようにしてください。「ありそうでなかった」と思ってもらえるプランが、個人的にはベストと考えます。聞いている人に、「こんなの欲しかった!」と思ってもらえたら、そのビジネスの成功確率は高いといえるでしょう。
プランは複数用意しておくと安心です。そのためのポイントを以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
プレゼンをするときには常に60秒での説明を意識しよう

動物病院で新しいサービスや商品を提案するときは、まず60秒で説明できるかを意識してみましょう。ポイントは、「誰に向けたものなのか」「どのような悩みを解決するのか」「内容や価格はわかりやすいか」「病院にとってどのような効果が見込めるのか」を短くまとめることです。
たとえば、シニア犬向けの健康診断プランであれば、「7歳以上のワンちゃんを対象に、年齢とともに増える病気の早期発見を目的とした検査プランです。通常診療では見逃されやすい変化を確認し、飼い主さんが安心して日常のケアを続けられるようにします」といった形で説明できます。
60秒で説明しようとすると、サービスの強みやターゲットが自然と整理されます。反対に、短く説明できない場合は、ターゲットや内容、価格、訴求ポイントのどこかがまだ曖昧なのかもしれません。
プレゼンのルールについて説明している記事はいくつかありますので、ぜひ目を通してみてください。
関連記事:【プレゼンのルール】重要なプレゼンこそ5分で勝負しよう
関連記事:【プレゼンのルール】プレゼン資料はA4シートにまとめるのが鉄則
スタッフにも飼い主さんにも伝わる計画が、実行力につながる
ビジネスプランは、難しく複雑に考えるほど良いものではありません。むしろ、誰に向けたサービスなのか、どのような価値を提供するのか、病院として無理なく続けられるのかをシンプルに整理することが大切です。
動物病院の新しい取り組みは、院長だけが理解していればよいものではありません。スタッフが内容を理解して動けること、飼い主さんが必要性を感じられること、場合によっては金融機関にも説明できることが重要です。そのためにも、60秒で概要を伝えられるほど、わかりやすいビジネスプランを目指しましょう。
ターゲットを絞り、メッセージを明確にし、実現可能な内容に落とし込む。この3つを意識することで、新しいサービスや商品はより伝わりやすくなります。自院の強みや飼い主さんのニーズを見直しながら、動物病院の成長につながる次の一手を考えてみてはいかがでしょうか。
