
動物病院では珍しい事例かもしれませんが、商品やサービスを提供する相手が個人ではなく企業や団体などの組織になることがありますよね。これはいわゆるBtoBと呼ばれるビジネスモデルです。大きな取引が動くのはBtoBならではの魅力ですが、企業の名前にばかり目が行ってしまい、個人に目がいかないことも。
しかし、BtoBのターゲットとなる企業も、どのような商品やサービスを取り引きするかを決めるのは、他でもない「個人」です。言ってみれば、BtoBも「人対人」のビジネスと言えるでしょう。そのことに気づかなければ、まとまる話もまとまりません。
そうは言っても、やはりBtoC営業とは勝手が異なるのも事実です。例えば、動物病院の場合、医療機器・薬品・サポートサービスなどを提供する際、決裁を行うのはあなたのような院長や経営者である一方、実際に使用・運用するのは、そこで働く獣医師や看護師です。つまり“会社対会社”ではなく“人対人”の理解を深めることが、成功の鍵を握ります。
今回は企業を相手にセールスする際に注意しておきたいポイントについてお話します。コツを押さえておくことで、組織との商談も進めやすくなります。
BtoBとBtoCの違いについては、以下の記事でも触れていますのでぜひ参考にしてください。
関連記事:BtoBとBtoC営業の違いはどこにある?成功するコツとは
BtoBビジネスのポイント①真のキーパーソンを押さえておく
BtoC営業では「商品を使用する人=購入を決定する人」がキーパーソンとなりますが、BtoB営業の場合は現場で使用する人と購入決定者が異なるケースが往々にしてあります。
多くの場合、購入決定者はその企業の役員や役職者など、使用者の上司にあたります。そのため、商談をする際には窓口の担当者だけではなく、購入決定者にもアピールをしなければなりません。プレゼンの場に同席していただくのが最も有効ですが、難しいようであれば購入決定者の希望を確認し、満足いただけるような商品やサービスを用意しましょう。ヒアリングの段階から最終決定者が誰なのか、どのような商品を希望されているのかを確認するようにしてください。
ただし、あまりに購入決定者の存在ばかりを気にしていると、窓口の担当者の気分を害するおそれがあります。目の前の担当者の意思を尊重しつつ、さりげなくキーパーソンを確認しましょう。
BtoBビジネスのポイント②事前準備をしてからアポイントを取る

企業に新規営業をかける場合、多くの人が最初にターゲットになる企業をリストアップし、手当たり次第にアプローチしています。電話やメールを送る際、個人であれば相手の趣味や嗜好を調べることができますが、対企業となると商談相手がわからないため、同じセールストークをしがちです。しかし、これでは相手に興味を持ってもらえません。メールもほとんど開いてもらえないでしょう。当然アポイントも取れません。
アポイントに取り付けるためには、まず電話やメールの段階から人と接していることを意識し、相手に興味をもってもらえるような内容を考えましょう。業種や職種から1日の仕事の流れを考えて、最もアポイントが取りやすそうな時間帯を指定することも有効です。数よりも質を重視して、一件一件丁寧に営業をかけると相手の反応も変わってきます。
質問の方法や事前準備の方法については、以下の記事で多くの情報を提供しています。ぜひ参考にしてください。
関連記事:質問を想定しておくことが商談をスムーズに進めるコツ
BtoBビジネスのポイント③時間をかけることも重要
BtoB営業では「短期的な成果」よりも、「長期的な信頼構築」が成約の鍵を握ります。特に動物病院のように、導入判断に院長やスタッフ全員の意見が関わる業界では、即決を求めるよりも、時間をかけて関係を育てる姿勢が大切です。
初回訪問で無理に提案を押し込むのではなく、課題を丁寧にヒアリングし、相手が必要とするタイミングで情報を提供するように心がけましょう。その積み重ねが「この人なら任せられる」という信頼を生みます。
また、定期的な訪問やニュースレターなど、継続的な接点づくりも効果的です。商談を“点”ではなく“線”で捉え、時間を味方につけた営業活動を展開してみてはいかがでしょうか。
BtoBビジネスのポイント④商談ではアイスブレイクを忘れない

BtoB営業は個人営業に比べるとどうしてもかしこまった雰囲気になります。ビシッとスーツを着た担当者とオフィス内で話すというシチュエーションに飲まれて、いきなり商談を始めてしまう人も少なくありません。しかし、これでは堅苦しい雰囲気が漂い、お互いが緊張したまま、打ちとけることができないでしょう。繰り返しますが、BtoBも結局は対人ビジネスですので、相手の緊張をほぐして、何でも話せる関係を築くことが重要です。
そのため、商談時はまず雑談でアイスブレイクをして、お互いの間にある壁を取り払いましょう。雑談の中から相手の嗜好がわかり、商談のヒントが見つかることもあります。
営業トークの心がけについては、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:一方的な質問はNG。営業トークの基本はキャッチボール
BtoBビジネスのポイント⑤オンライン商談も“人”を意識する
コロナ禍を経て、BtoB営業におけるオンライン商談は特別な手段ではなくなりました。動物病院業界でも、診療に追われる獣医師にとって「移動せずに情報を得られる」オンライン面談は有効なアプローチです。初回接触や情報提供はオンラインで効率的に行い、信頼構築や契約交渉など重要な局面では対面を活用する“ハイブリッド型”が成果を上げています。
もしあなたがオンラインでの商談を行うのであれば、事前に議題・所要時間・資料を共有し、短時間で要点を伝える工夫が必要です。録画機能や画面共有を活用すれば、複数の関係者にも後から確認してもらえる利点もあります。相手の負担を減らしつつ、商談の質を高めることが次世代の営業スタイルの鍵です。
BtoBビジネスのポイント⑥アフターフォローまで気を配る
商談後のフォローは、信頼関係を深めるうえで欠かせないプロセスです。特に動物病院のように忙しく、導入判断に時間がかかるケースでは、適切なタイミングと内容でのフォローが成果を左右します。
商談直後には、感謝のメールとともに当日の要点や次のアクションを簡潔にまとめて送ると好印象です。その後も、商品の活用事例や最新情報など“相手にとって有益な情報”を定期的に届けることで、「営業」ではなく「パートナー」としての存在感を築けます。フォローの目的は“押す”ことではなく、“思い出してもらう”こと。誠実な対応を積み重ねることが、次の商談や紹介につながる信頼を生み出します。
アフターフォローやケアの大切さについては、以下の記事を参考にしてください。きっとためになるはずです。
関連記事:アフターケアの有無で購入後の商品の評価は大きく変わる
今回はBtoBのポイントをご紹介しました。大きな組織を相手にするとなると緊張しますが、対人ビジネスであることを忘れないようにしてください。目の前の担当者を知ろうとするあなたの姿勢が伝われば、商談がスムーズに進みやすくなります。
