今回のブログではブランディングについて説明していきたいと思います。ここ数年よく聞かれるようになったブランディングという言葉、よく知らなくてもブランドという言葉から何となくのイメージはついているという人も多いかもしれません。
ブランディングとは、消費者が抱くイメージと企業の商品やサービスによって提案したい、ブランド独自の価値を近づけて一致させる活動です。
誰でも、一度や二度「人からこういうふうに見られたい」と思い、それらしい人物に自分を近づけるため、見た目や発言を意識的に変えたことがあるのではないでしょうか。それもひとつのブランディングです。
ブランディングは、さまざまな企業で用いられる戦略のひとつで、動物病院も決して例外ではありません。今回はブランディングの大切さとポイントについて紹介していきたいと思います。
1、ブランディングのメリット
ブランディングのメリットは、動物病院側にも飼い主様側にもいくつか存在します。
動物病院側にとっては、自分たちの存在をアピールし、宣伝・広告機能を期待できるところにあります。また、飼い主さんが自分の通う病院の品質を評価するよりどころとなる点もメリットです。
また、飼い主さん側にとってはブランディングされた動物病院を見ることで、診療内容や獣医師を確認できるようになり、他の動物病院と比較したうえで決定しやすくなります。また、高い評価を得ている動物病院や影響力のある動物病院を利用することで、満足度を高めることができるのです。
ブランディングをすることで動物病院側と飼い主様側の間で起こりうるミスマッチを防ぐことができ、ひいては無駄をなくすことにつながります。
2、動物病院で見られるブランディングとポイント
動物病院で最も多いブランディングはおそらく広告による手法ではないかと思います。チラシ広告やホームページを打ち出す時に、自分たちの目指すイメージに合わせてデザインや文章作成を行っているのです。
この時のポイントとして考えたいのは、「自分たちがどう見られたいのか」ということです。誰でもおしゃれで洗練されていて、最新設備が完備されているような動物病院に憧れているかもしれません。しかし、誰もが憧れるようなハイソな動物病院は、建築費や設備投資に大きなお金が発生します。おしゃれな広告を打てば、さらに負担は増しますよね。すべての獣医師が、この理想を叶えられるわけではないでしょう。
しかし、だからといってブランディングを諦める必要はありません。外観が多少古かったとしても、獣医師の診療技術が高かったり、院内が清潔に保たれていたり、スタッフの対応が良かったりする病院には自然と飼い主さんが集まってくるはずです。そういった飼い主さんの多くは「この病院は地域密着型の病院で立ち寄りやすい」、「ここの病院はスタッフが優しい」と考えて、立ち寄っています。つまり、自分たちがブランディングをしているつもりがなくても、飼い主さんからはブランディングをされているものなのです。そのことを踏まえたうえで、ブランディング戦略を練る必要があります。
3、ブランディングの落とし穴
ただし、このブランディングにも落とし穴があります。最も怖いのが自分たちの病院の長所や魅力を誤って認識し、間違った方向へブランディングすることです。「アットホームで誰でも気軽に立ち寄りやすいところが魅力」と思われていたのに、高級路線に切り替えたことで、これまで懇意にしてくれた飼い主様が離れてしまったというのはよくある話です。もちろん高級志向の飼い主さんによる利用が増える可能性はありますが、リピーターを逃してしまうのは大変もったいないこと。「わざわざ高いお金を出して、イメージを一新しなくても、これまでの通りでよかったじゃないか」ということになりますよね。
反対に高級路線で売っていた動物病院がいきなりアットホーム感を出すと、「経営が苦しいから値段を下げてきたのでは」とか「高級病院に通っているっていう優越感がよかったのに、他の病院と変わらなくなってしまった」と思われることがあるのです。
そのようなことがないように、今の自分たちのイメージをきちんと把握しましょう。当事者であるとどうしても自分たちの状態が見えなくなるものなので、飼い主さんにアンケートをお願いしたり、口コミサイトを見たりして、客観的な自分達の評価を確認しましょう。
自分たちの動物病院の魅力を聞かれたときに、「特筆すべきものは何もありません」と伝えるほど寂しいものはありません。高級路線でもなく、アットホームでもなく、何の特徴もない病院はリピーターもつきにくく、一回限りで飼い主さんが離れてしまう可能性があります。自分たちの強みを認識し、改善できそうなポイントは直していきつつ、自分の動物病院をブランディングしていきましょう。動物病院が増加している今、適切なブランディングをして他の病院と差別化を図るのが成功のコツです。