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動物病院の経営者であるあなたは、自院が提供している商品や診療サービスの価格を設定する機会も多いかと思います。

この価格の付け方は悩みどころであり、高くしすぎても、低くしすぎても、デメリットが出てくるものです。

適切な価格設定をするために、利益率を重視して決める経営者も少なくありません。

確かに利益率が高い商品には、少ない労力でしっかり稼げるというイメージがあるかもしれませんが、重視しすぎると思わぬ失敗を犯してしまうことも。

今回は適切な価格の設定方法と、利益率と利益額のどちらを重視すべきかについてお話ししていきたいと思います。

利益率は高く設定しているのに、経営状況が改善されていないとお悩みの方にぜひ読んでいただきたいと思います。 

利益率が高い商品の落とし穴

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A:10%の利益率で1,000万円の売上を上げている商品

B:30%の利益率で300万円の売上を上げている商品

あなたはこのふたつのうち、どちらが儲かっているように思えますか?答えはAの商品です。確かに利益率だけで見たら、Bの商品のほうが儲かっているように思えるかもしれません。しかし、売上は300万円に過ぎず、Aの売上1,000万円と比較すると差は歴然です。

利益率ももちろん価格設定をするうえで重要な要素ですが、それだけに気を取られていると同業他社の類似製品よりも高額な設定になってしまい、選ばれなくなる可能性があります。

また、利益率を下げる要因のひとつとなる人件費の過度な抑制にも要注意です。確かに人件費を安く抑えると商品・サービスの利益率を手っ取り早く上げることができますが、低賃金で働く従業員のモチベーションが下がって労働力が低下するおそれもあります。長い目で見れば、優秀な人材の喪失は動物病院にとって大きなマイナス要因です。利益率を重視しすぎる経営者は、大きなウェイトを占める人件費を節約しようと考える傾向にありますので、注意をしましょう。

利益額が多いことのメリット

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たとえ利益率がイマイチでも、利益額が多い動物病院はそれだけ稼ぐ力があるとみなされ、金融機関からの融資も得やすくなります。もちろんきちんと利益を出していることが前提となりますが、利益額を重視して商品・サービスを展開するようにしましょう。

サービス・商品の回転率を上げて利益を確保しよう

「薄利多売」というと少し言葉が乱暴かもしれませんが、たとえ利益率が低くても、たくさんの人からの需要がある商品は安定した利益を見込むことができます。反対に利益率が高くて、手には取ってもらいにくい高額商品は購入する人が限られているものです。一回購入されたら終わり、というケースも多いでしょう。そのため、あなたの動物病院で商品・サービスを新発売する際には利益率を抑える代わりに、たくさんの飼い主から需要がありそうなものを推していくことをおすすめします。ひとつひとつの利益率は低くても、数を積み重ねていくことで安定した利益額を確保できるようになります。

安定した経営を継続するために知っておきたい利益率と利益額の考え方

ここまで利益額の大切さをお伝えしてきましたが、決して利益率を軽視して良いというわけではありません。経営において重要なのは、「最終的にいくら院内に残るのか」ということです。私たちは普段どうしても売上額にばかり目がいってしまいがちですが、そこから必要な仕入れ額や経費を差し引いた残りのお金(=利益)を意識することによって、経営の方針を固めることができます。

 

そのためには改めて利益が生まれる仕組みを理解しておくことが重要です。まず、ひとつの商品を販売する場合に仕入れや発送費など、商品を販売するうえで発生する「変動費」が発生します。売上額からこの変動費を引いたものが「限界利益」と呼ばれるものです。

さらにこの限界利益から人件費や家賃などを引いて残ったものが「経常利益」となり、最終的な利益となっていきます。少しでも利益を上げていくためには、この構造を理解して削減できる部分がないかどうかを考えていくことが重要です。

 

経営者のあなたはこの構造をご存知であるかと思いますが、経営者ではないスタッフは意外と知らないことが多いものです。また、知っていても「経営者ではない自分には関係のないこと」と思われている可能性があります。しかし、動物病院全体で売上の底上げを考えていくのであれば、あなた一人だけではなくスタッフ全員で売上改善施策を考えるべきではないでしょうか。

 

一度バランスシートをスタッフに共有するなどして経営状況を周知し、そのうえで利益額や利益率を改善する施策を考えてみましょう。削減できそうな経費をピックアップしたり、仕入れ額を抑える方法を考えてみたりすることで、利益率・利益額ともに改善されていくかもしれません。

 

今回は利益率と利益額の大切さについて解説しました。いずれも経営をするうえで重要な要素ではありますが、まずは利益額を最優先して経営の見直しを図りましょう。新商品・サービスを打ち出す際にもぜひ参考にしてください。

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