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ビジネスの世界では当たり前のように使われている「仕組み化」という言葉。業務を滞りなく進められるようなマニュアルを作成することで、「その人でなければできない仕事」の発生を最小限に抑えられます。以前のブログでもご紹介した「仕事を一人で抱え込んでしまいがちな方」も、仕組み化を動物病院内に取り入れることで、仕事の偏りをなくすことができるでしょう。

しかし、仕組み化の行き過ぎも危険であると私は考えます。動物病院を経営するうえではどのような仕事を仕組み化して、反対にどの仕事を属人化したら良いのでしょうか。今回は本当に効率の良い仕事の割り振り方について考えたいと思います。

業務の効率化については、以下の記事もぜひ参考にしてください。

関連記事:「やらないことリスト」を作成して仕事にゆとりを持たせよう

すべてを仕組み化したことで起こりうるトラブル

過去に農林水産省 消費・安全局が行った「獣医療に関するアンケート(動物病院を選ぶときの基準)」によると、飼い主さんが動物病院を決めるときの優先順位は「医療技術のレベル・質が高い(42.2%)」や「評判が良い(44.1%)」を上回り、「獣医師やスタッフが信頼できる(48.5%)」がトップに。

この結果からわかるように、飼い主さんは、一所懸命にペットを診て、自分の話を聞いてくれる獣医師、そして動物病院を求めているものです。この事実を知らずに、全てを仕組み化してマニュアル的な対応しか取れなければ、「冷たい」という印象を持たれ、敬遠されてしまう可能性があります。

決して仕組み化が悪いというわけではありません。むしろ、効率的なシステムを設けておくことで業務の負担が減り、スタッフが心に余裕を持って飼い主さんに寄り添う時間が生まれやすくなります。

ただ、効率を重視するあまりに仕組み化に走りすぎるのはいささか危険です。仕組み化する業務と属人化する業務の選択を誤らないようにして、魅力のある動物病院経営を目指しましょう。

また、飼い主さんとの信頼関係を築く方法については、以下の記事で深く触れていますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:飼い主さんから信頼される獣医師になるためには話し方が重要!

参考:過去の飼育者へのアンケート及び結果(概要)|農林水産省

仕組み化をすべき3つの業務

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ここからは仕組み化をすべき業務と、属人化すべき業務について考えていきたいと思います。まず動物病院で仕組み化して効率性の向上を目指す業務としては

・電話・窓口応対や入力作業などの事務業務
・清掃や備品・在庫チェックなどの管理業務
・会計業務

の3つが挙げられます。これらの仕事は覚えれば誰でもできるものですし、複雑なマニュアルはほとんど必要ありません。それでも油断は禁物です。こういった事務的な作業は毎日発生する作業であり、ちょっとしたミスが大きなトラブルに発展しかねない業務でもあります。取りこぼしがないように完璧なマニュアルを作成して院内で共有しましょう。ひとつの業務に対して教育担当者や管理担当者をつけると、見落としを防ぐことができます。

他にも院内の展示物やスタッフのシフト表の作成、また朝礼や会議の司会なども仕組み化できる業務です。すべてを仕組み化する必要はありませんが、仕組み化すべきだと思うものは少しずつ移行していきましょう。

また、仕組み化したからにはスタッフ全員が一定以上のクオリティで業務をこなせる体制を整えなければなりません。一人のスタッフに任せるのではなく、日替わりで担当者を決めると、誰がこなしても同程度のクオリティを期待できます。

シフト表の作成や会議といったルーティンワークの見直し方については、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:ルーティンワークこそ見直して業務効率化を図ろう

属人化すべき3つの業務

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「この獣医師さんでなければダメなんだ」、「あの看護師さんがいるから好き」と思われている動物病院は強いものです。競合の存在や不景気のあおりを食わない、絶対的な信頼感があります。そのように思われる動物病院を目指すためには、属人化する業務をしっかりと決めて、それに集中すべきです。

属人化しなければならない業務と言えば、まずはやはりペットの診療サービス。最近は便利な機器も増えていますが、やはり生き物の体は生身の人間に診てもらいたいと考える飼い主さんが圧倒的多数です。特に、難病の症例検討や、飼い主さんの精神的ケアを伴うカウンセリング、外科手術などには、豊富な知識と高度な技術が求められるもので、獣医師の腕の見せどころです。どんなに多忙であっても、目の前のペットや飼い主さんに向き合って、真摯に対応しましょう。

看護師の業務にしても同様です。診療だけではなく、電話や受付応対、書類整理などの事務作業に追われている看護師も少なくありませんが、そういった業務こそ仕組み化をして、診療サービスに集中させてあげてください。予約システムを導入すれば受付業務が効率化されますし、電子カルテを活用すれば書類作成の手間が省けます。

また、経営に関わる重要な商談は院長・経営者であるあなた自身が担当しましょう。その代わり、日常的な情報交換や消耗品の発注などは、各スタッフに権限委譲すると、チーム全体の成長が促されます。

ただし、属人化が進みすぎると、特定のスタッフに業務が集中し、その人が不在時に業務が滞るリスクや、知識や技術が共有されず、組織全体の成長が阻害されやすいものです。仕組み化・属人化それぞれのメリット・デメリットを比較したうえで、システムのバランスを調整しましょう。仕組み化によって効率を生み出し、その結果として生まれた時間や心の余裕を属人化すべき業務に還元することを意識してみてください。

動物病院を経営するなかでは、ペットや飼い主さんと真摯に向き合う姿勢とともに、冷静な判断力が求められます。このふたつを混同してしまうと、属人化すべき仕事と仕組み化する仕事を判別しづらく、失敗するおそれがあります。独断に走りすぎないように、スタッフからの意見も仰ぎながら、あなたの動物病院にとって最適な業務効率化を考えてみましょう。

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