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ビジネスの世界では当たり前のように使われている「仕組み化」という言葉。

業務を滞りなく進められるような業務マニュアルを作成することで、「その人でなければできない仕事」の発生を最小限に抑えられます。

以前のブログでもご紹介した「仕事を一人で抱え込んでしまいがちな方」も、仕組み化を動物病院内に取り入れることで、仕事の偏りをなくすことができるでしょう。

しかし、仕組み化の行き過ぎも危険であると私は考えます。

動物病院を経営するうえではどのような仕事を仕組み化して、反対にどの仕事を属人化したら良いのでしょうか。

今回は本当に効率の良い仕事の割り振り方について考えたいと思います。

すべてを仕組み化したことで起こりうるトラブル

つい先日、動物病院に関するインターネット調査の結果を目にしました。さまざまな項目がありましたが、最も興味深かったのが「動物病院を選ぶ基準」への回答です。一位の「近所にある」は予想していましたが、二位は「愛犬に親身になってくれる」、そして三位は「飼い主に親身になってくれる」でした。二位と三位を合算すると実質のトップであり、いかに飼い主さんが動物病院に「親身さ」を求めているのかがわかりました。

すなわち多少待たされたとしても、飼い主さんは一所懸命ペットを診て、飼い主さんの話を聞いてくれる獣医師を求めているのです。それにも関わらず、仕組み化によってマニュアル的な対応しか取れない動物病院は「冷たい」という印象を持たれ、敬遠されてしまう可能性があります。

決して仕組み化が悪い、というわけではありません。仕組み化する業務と属人化する業務の選択を誤らないようにして、魅力のある動物病院経営を目指しましょう。

仕組み化をすべき3つの業務

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ここからは仕組み化をすべき業務と、属人化すべき業務について考えていきたいと思います。まず動物病院で仕組み化して効率性の向上を目指す業務としては

・電話・窓口応対や入力作業などの事務業務
・清掃や備品・在庫チェックなどの管理業務
・会計業務

の3つが挙げられます。これらの仕事は覚えれば誰でもできるものですし、複雑なマニュアルはほとんど必要ありません。それでも油断は禁物です。こういった事務的な作業は毎日発生する作業であり、ちょっとしたミスが大きなトラブルに発展しかねない業務でもあります。取りこぼしがないように完璧なマニュアルを作成して院内で共有しましょう。ひとつの業務に対して教育担当者や管理担当者をつけると、見落としを防ぐことができます。

他にも院内の展示物やスタッフのシフト表の作成、また朝礼や会議の司会なども仕組み化できる業務です。すべてを仕組み化する必要はありませんが、仕組み化すべきだと思うものは少しずつ移行していきましょう。

また、仕組み化したからにはスタッフ全員が一定以上のクオリティで業務をこなせる体制を整えなければなりません。一人のスタッフに任せるのではなく、日替わりで担当者を決めると、誰がこなしても同程度の出来を期待できます。

属人化すべき3つの業務

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「この獣医師さんでなければダメなんだ」、「あの看護師さんがいるから好き」と思われている動物病院は強いものです。競合の存在や不景気のあおりを食わない、絶対的な信頼感があります。そのように思われる動物病院を目指すためには、属人化する業務をしっかりと決めて、それに集中すべきです。

属人化しなければならない業務と言えば、まずはやはりペットの診療サービス。最近は便利な機器も増えていますが、やはり生き物の体は生身の人間に診てもらいたいと考える飼い主さんが圧倒的多数です。どんなに多忙であっても、目の前のペットや飼い主さんの目を見て真摯に対応しましょう。

看護師の業務にしても同様です。診療だけではなく、電話応対などの作業に追われている看護師も少なくありませんが、そういった業務こそ仕組み化をして、診療サービスに集中させてあげてください。

個人的には医療機器などの取引業者との打ち合わせも属人化すべきと考えます。インターネットでなんでも気軽に注文できる世の中ですが、豊富な知識量を持つ業者の提案内容は実際に耳に入れておくべきです。看護師に代わりに聞いてもらうのではなく、獣医師である自分自身が向き合って取引先の話を聞きましょう。業者とコミュニケーションを積極的に取ることで、有益な情報を得られる可能性も高まります。

動物病院を経営するなかでは、ペットや飼い主さんと真摯に向き合う姿勢とともに、冷静な判断力が求められます。このふたつを混同してしまうと、属人化すべき仕事と仕組み化する仕事を判別しづらく、失敗するおそれがあります。独断に走りすぎないように、スタッフからの意見も仰ぎながら、あなたの動物病院にとって最適な業務効率化を考えてみましょう。

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