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動物病院による広告の打ち出しが珍しくない時代になりました。ビラやダイレクトメール、Web広告に自分の動物病院の商品を紹介することもあるでしょう。

それ自体は悪いことではありませんが、広告には景表法・薬機法・獣医療法・医療広告ガイドラインなど複数の法律があります。

ひとつでも違反していると表示の差し替え措置命令はもちろん、最悪の場合は課徴金を命じられることも。

これでは広告効果どころか、自分の動物病院の信用失墜につながってしまいます。

動物用医薬品や栄養補助食品を取り扱う動物病院であればなおさらです。

今回は広告を打ち出す際に知っておきたい法律を徹底的に解説します。

景表法(景品表示法)

景表法は、一般消費者の利益を保護するために存在する法律です。

そのため、消費者からの誤解を招くような宣伝や事実とは異なる内容の記載、誇大広告は絶対にしてはなりません。

景表法は主に「優良誤認表示」「有利誤認表示」「その他誤認されるおそれのある表示」の3つに分けられます。

たとえば「このサプリメントを飲めば、ワンちゃんは確実に痩せます」という表現は、必ずしもすべてのワンちゃんに言えることではありませんので、記載NGです。

また、本当は30%しか配合されていない成分を「70%配合」などと記す行為もいうまでもなくNG。事実無根の虚偽といえます。

ほかにも他社名を取り上げて「〇〇社よりもこれだけ優れている」と表記する行為も景表法違反です。自分の動物病院の魅力をアピールしたいがあまり、他院を貶めることがないように気を付けましょう。

これらは優良誤認表示にあたりますが、本当はキャンペーンを実施していないのに「キャンペーン期間中は50%オフ」、アフターサービスを行っていないのに「アフターサポート制度充実」などと謳う行為は「有利誤認表示」にあたります。

最後の「その他誤認されるおそれのある表示」は、たとえばワンちゃん向けの商品でないにも関わらず、パッケージに犬のマークを記載して、まるで犬用の商品と認識させる方法です。

いずれも非常に悪質な行為ですので、キャッチフレーズや広告文を考える際には十分すぎるほどに注意をしましょう。

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)

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薬機法は日本国内の医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器および再生医療等製品に関する運用について定めた法律です。おそらく動物病院を経営していて聞いたことがない人はいないかと思います。医薬品などの製造販売や表示などの取り扱いについて規制していて、第66条では

       ①何人も

  ②医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の

  ③名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、

  ④明示的であると暗示的であるとを問わず、

  ⑤虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

として、虚偽・誇大広告等の禁止をしています。

私たちがついつい書いてしまいそうな以下の文言も、使用禁止です。

  • 「最高」「日本一」「最大」などの最大級表現
  • 即効性をうたう表現
  • 「副作用がない」など、安全性表現
  • 「各種」や「数種」など、不正確かつ誤認させやすい配合成分表現

薬機法違反が発覚すると、違反広告の中止や再発防止策の公示といった措置命令が。また、違反を行っていた期間中における対象商品の売上額×4.5%の課徴金が発生する可能性があります。ちなみに景表法違反時の課徴金は対象商品の売上額×3.0%であるため、薬機法違反のほうが重罰といえます。

獣医療法

こちらでも広告の制限は謳われています。

この法律は普段からなじみの深い法律ですので、ここでの詳しい説明はあえて割愛します。

医療広告ガイドライン

医療広告ガイドラインは、自分の動物病院のホームページを制作するときに意識をしておきたい法律です。令和3年4月1日に改正されているので、必ず新しいものを確認しておきましょう。

この法律でもやはり、虚偽広告や誇大広告、比較優良広告、また公序良俗に反する内容の広告の打ち出しを禁止しています。

景表法や薬機法に共通している項目も多く記載されていますが、医療広告ガイドラインでは、掲載OKな広告の具体例を紹介しています。初めて広告を打ち出すことになったけれども、法律が多くて何が良いのかわからないという方は、まずはこの医療広告ガイドラインから目を通すと良いでしょう。

法律違反にならない広告を打ち出すためには

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広告を一度打ち出してから法律違反を受けたとしましょう。たとえ措置命令で済んだとしても、広告を作り直すコストがかさみますし、なによりも信用を失うことになります。決して勧告を受けることがないように、自信がない方は広告代理店やその道に詳しい弁護士などに依頼をしてチェックを受けましょう。大々的に打ち出す広告であればなおさらです。また、今回紹介した法律はビラやダイレクトメール、Web広告など、広告媒体に関わらず適用されるものであることを覚えておきましょう。

 

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