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みなさんは「パレートの法則」についてご存知でしょうか。これはイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが1896年に発見したもので、「売上の80%はロイヤリティの高い上位20%の顧客によって購入されている」ことを示す法則です。

社会の不平等度を表す法則である一方で、企業では利益を最大限に引き上げるためのマーケティング手法として使われています。

 

確かに、格差社会といわれる日本、いや世界では「なぜこんなにお金を持っているのだろう?」という人と、日々の生活にもいっぱいいっぱいの人が両極端であり、この法則が生まれたのも至極当然のような気がします。

パレートの法則を知っておくことで、自身の動物病院の経営にも何か役に立つことがあるかもしれません。

今回はパレートの法則に基づいたビジネス論について考えていきたいと思います。

パレートの法則を動物病院に当てはめてみると…

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まずは、みなさんが経営する動物病院のなかにもパレートの法則が存在するかどうか、確認してみてください。よく来院される方と一回しか来ていない来院者様でどれだけ年間の支払額が違うか比較してみると、きれいに8対2に分かれなくても、それに近い比率になるのではないかと思います。

一般的な動物病院では7対3くらいです。何度も足を運んでくれる来院者様はその分支払金額が増えます。また、足しげく通っていただくことで獣医師と来院者様の間に信頼関係が芽生え、こちらが勧めたものを購入してくれたり、サービスを受けてくれたりすることが珍しくありません。反対に一度きりの診療で終わってしまった来院者様のことを考えると、やはりアプローチややりとりが足りなかったのかなと、反省するところがあります。

支払金額と来院回数、またそれぞれの来院者様との関係を振り返ると、それぞれに因果関係があることにきっと気づくはずです。

露骨な区別はかえって顧客離れを招くもと

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パレートの法則を利用して、安易なマーケティング対策をとる企業が少なくないと聞きます。すなわち上位20%の顧客や来院者様にだけ待遇を厚くして、それ以外の顧客には一般的なサービスで済ませるというものです。代表的なものが百貨店で、ロイヤリティの高いお客様には外商がつくと言われていますよね。

そうはいっても、百貨店と動物病院は違います。同じ金額を支払っていただいている以上、同じ診療やサービスを提供しなければなりません。「あの来院者様は来院回数が少ないから」といって、診療の質を下げることは、獣医師の風上にもおけないものです。

しかし、贔屓にしてくださる来院者様に、少しでも感謝の意を示したいという気持ちは人情でしょう。それであれば診療だけではなく、ちょっとしたプレゼントをロイヤリティの高いお客様に提供すると効果的です。ここで気をつけたいのは、他の80%の来院者様に知られないようにこっそりとサービスをすること。反対にロイヤリティの高い来院者様に、「あなたは特別」とアピールする姿勢が求められます。そうすることで上位20%の来院者様は気分が良くなりますし、残りの80%の来院者様は気を悪くしないで済みます。

上位20%は入れ替わることもしばしば

パレートの法則のおそろしいところは、上位20%の来院者様が常に上位20%であり続けるわけではない、ということです。ある日いきなりロイヤリティが高い来院者様が来なくなる、ということもあるでしょうし。反対に80%の来院者様のなかから贔屓にしてくださる来院者様が出てくる可能性も十分にあります。その時、「自分がよく通うようになったら(通わなくなったら)対応が露骨に変わった」という印象を抱かせないように、あくまですべての来院者様に同じ接客態度やサービス内容を提供するように心がけましょう。

ビジネス全般に通用するパレートの法則

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パレートの法則は、ロイヤリティの顧客の比率だけではなく、ビジネス全般に使える話だと言われています。代表的なものに「8割の働きアリの法則」というものがあります。アリの集団の中でも、真剣に働いているのはわずか2割で、残りの8割は平凡なアリであるという、有名な法則です。では、優秀な2割のアリだけ残せばいいかと言うとそうではなく、またそこから8割の普通のアリが出てきてしまうと言われています。

他にも、会社のトラブルの8割は全システムのうちの2割に原因があるなど、仕事の8割は就業時間の2割の時間以内に終えているというものです。この法則を鑑みると、優秀な人材やロイヤリティの高い来院者様が豊富だからといって、必ずしも経営がうまく機能するわけではないと言えるでしょう。

ただし貢献してくれている2割の人が損をしないように、また残り8割の人がもう少し奮起してくれるように、バランスをとりながらコントロールしていく手腕が経営者には求められています。言うは易く行うは難しですが、まずは一度来院者様の見直しから始めてみてはいかがでしょうか。

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