「タイムイズマネー」という言葉がよく知られている通り、時間はお金と同等、もしくはそれ以上の価値があるものです。
お金は増やすことができますが、時間は増やすことができません。
どんな人であってもです。
しかし、お金を出すことで業務を短縮化し、時間を節約することは可能です。
結果的にその行為は「時間をお金で買った」ということができるでしょう。
しかし、時間と同様にお金にも限りがあります。
不要なところにお金をかけて時間を買ったと思っていても、効率化につながらなければ、ただの浪費に終わってしまいます。
どのようにして時間をお金で購入すれば良いのでしょうか。
今回は時間をお金で買う方法について考えてみたいと思います。
時間をお金で買うときに失敗しない考え方
前述の通り、いたずらにお金をかけて時間を購入すれば良いわけではありません。失敗を避けるためには、まず今あなたがかけている無駄な時間を可視化する必要があります。本業の診療業務以外で、どのような業務に時間をかけていますか?精算業務、清掃、スタッフとのミーティングなど、思い当たる節がある方も多いでしょう。まずはその業務と、なぜそんなに時間がかかっているのか、理由を考えてみてください。
そこまでできたら、次にその無駄な時間を購入できるかどうかを検討してみましょう。診療業務をはじめ、あなたでなければ対応できない業務もあるはずです。また、あなた自身ではなくても、院内で手の空いているスタッフに頼んで済む話であれば、わざわざお金をかける必要はありませんよね。
お金をかけるべきだと判断したら、最もあなたの要望に応えてくれそうなサービスやツールを探しましょう。多少時間がかかってしまうかもしれませんが、その後大幅に業務を効率化できると思えば、この部分は妥協すべきではありません。
最後にお金を払ったことで生まれた時間をどのように活用すべきかを考えましょう。意外とこのフェーズをみな忘れがちです。残業をカットする方向でも良いですし、スタッフの研修時間に充てるのも良いでしょう。せっかく買った時間なのですから、有効に生かしたいものですね。
時間をお金で購入する事例①業務に必要な物品を定期購入する
業務に必要な事務用品や薬剤、医療品、ペット用アイテムはどのように購入されていますか。毎回毎回業者と打ち合わせをしてオーダーしたり、わざわざ店舗まで出向いて購入したりする行為には、かなりの時間がかかるはずです。日常で使用するものであれば、定期購入制度を利用したり、まとまった量を一括購入したりしましょう。最初に多くの費用がかかってしまうかもしれませんが、長い目で見ればお得になるはずです。また、購入にかかる時間を節約することができます。
時間をお金で購入する事例②アウトソーシングを利用する
例えば経理や清掃などは、アウトソーシングしやすい業務と言えます。その道のプロに委託することでクオリティの高いサービスを受けられ、ミスの発生によるやり直しも防げるでしょう。もちろん業務委託するとなれば委託費用が発生しますが、確実に空き時間は増えます。ただし、アウトソーシングを多用するとコストがかさみすぎるため、本当に必要な業務1~2つ程度に絞って依頼をかけましょう。
時間をお金で購入する事例③研修制度を導入する
あなたの動物病院に、今ひとつ技術・知識が不足していて、満足な働きができていないというスタッフはいませんか?また、今ある程度のレベルに達していても、より能力を上げて経営改善を図りたいと考えている方もいるかもしれませんね。
スタッフのレベルアップを図りたいときには、あなた自身や他のスタッフが教育を行う方法が一般的です。しかし、研修を行うと時間がかかりますし、教育のプロでなければうまく伝えられないこともあるでしょう。それならば外部講師に研修を実施してもらったり、外で行われている研修にスタッフを参加させたりしてみてください。資料や研修プログラム作成から、実際の研修までにかかる時間を大幅に短縮できます。プロの講師が教えてくれるので、期待通りにスキルアップできる可能性大です。
ただし、研修を受けただけで終わりになっていては意味がありません。受講したスタッフが確実にレベルアップできるように、終了後はレポートを提出させたり、報告会を実施したりして、必ず進捗を確認しましょう。
時間をお金で買うメリットは、業務の効率化だけではありません。人には「すでに支払ってしまったコストを何とかして取り戻そうとする心理」が備わっています。これは「サンクコスト効果」と呼ばれるものです。サンクコストにこだわりすぎると合理的な判断ができなくなる危険もありますが、「お金をかけたからには、必ず経営改善を成功させたい」という想いが生まれれば、それが仕事へのモチベーションになるはずです。この記事をきっかけに、一度時間をお金で購入するメリットを考えてみてください。