あまりに大きな仕事を担当することになった場合、一体何から手を付けたら良いのかわからずに、途方に暮れた経験がある方は多いのではないでしょうか。
その際にはまず大きな仕事を細分化(タスクブレイク)して、何からどのように取り組めばいいのかを考えてみることをおすすめします。
「タスクブレイクダウン」と呼ばれるこの手法を、どのように動物病院の経営に取り入れていけば良いのか。
今回は自分自身やスタッフの業務効率が悪いと感じているあなたにおすすめしたい、タスクブレイクダウンの手順についてお話ししたいと思います。
モチベーションを上げるタスクマネジメントとは
ビジネスシーンでよく使われる「タスク」という言葉は、ひとつの仕事のまとまりを指すのではなく、大きなひとつの仕事を構成する実行単位のアクションを意味しています。例えば「ペットの診療」というひとつの業務を取ってみても、以下のようにさまざまなタスクで構成されているものです。
- 問診表の記入のお願い
- 診察
- 治療や投薬
- カルテの記入
- 会計
業務が大きくなればなるほどさらにタスクを細分化することができるでしょう。このようにタスクを分解して見える化して優先順位を決め、その時々の状況や状態に合わせて対応することを「タスクマネジメント」と呼びます。このタスクマネジメントを行うことで、優先順位を決めやすくなり、業務を効率化できます。小さなタスクをひとつひとつこなしていくことで、大きな仕事でも着実にゴールに向けて前進できるでしょう。
もうひとつタスクマネジメントの効果として、モチベーションの向上が上げられます。大きな仕事を目の前にすると、どうしても煩わしさを感じて後回しにしがちですが、タスクに分けてひとつひとつ消化していけば、確かな達成感を覚えられます。残りのタスクを確認するなかで、「ここまで頑張ったのだから、あと少し頑張ろう」という前向きな気持ちになれるでしょう。
タスクマネジメントの方法
タスクマネジメントを行う際にはいくつかの手順があります。それぞれのステップのポイントをおさえて、スキルを身に付けていきましょう。
仕事を分類する
まずはあなたが担当している業務を分類していきましょう。ペットの診療、スタッフの教育、経理など、大枠で整理していきます。最初に大まかな分類をすることで、タスクを挙げやすくなるのです。
タスクブレイクダウンを行う
ここからがいよいよタスクマネジメントの本番です。業務にひもづくタスクを洗い出し、分解することを「タスクブレイクダウン」と呼びます。全体の細かい手順を書き出したら、次に各タスクの所要時間や難易度を自分基準で考え、ひとつのタスクを終えるのにかかる時間を洗い出しましょう。
さらにタスクブレイクダウンは「HIROEN」を意識して行うことで、スタッフとの連携がとりやすくなり、より業務を効率化しやすくなります。HIROENの内容は以下の通りです。
H(Hear)…誰かに確認すべきこと
I(Inform)…誰かに知らせること
R(Request)…誰かに頼むこと
O(Operate)…誰かが行う作業
E(Examin)…調査・検討を行うこと
N(Negotiate)…誰かと交渉すべきこと
優先順位を決める
タスクが決まったら、重要度や緊急度を考慮したうえで優先順位を決めていきましょう。私たちは普段緊急度が高いタスクを優先しがちで、重要ではあるものの緊急度が低いタスクを後回しにしがちです。しかし、ビジネスを成長させていくためには、重要度の高いものも着実にこなしていく必要があります。そのためタスクマネジメントをする際には、緊急度は低く、重要度が高いタスクをどの位置におくのかを慎重に考えましょう。
タスクをこなしていく
ここまでできたら、あとは優先順位の高いタスクからひとつずつこなしていきましょう。もちろんすべて計画通りに進むわけではありません。途中で優先順位が変わったり、緊急のタスクが入ったりすることもあるでしょう。その際には臨機応変に対応し、タスク管理表を修正していけば問題ありません。達成感を覚えるためには、タスクの内容を可視化して、完了するごとに削除していきましょう。
タスクマネジメントのメリット
タスクマネジメントを行うことによって業務効率化が実現されるだけではなく、達成感を覚えられ、仕事へのモチベーションを高められるでしょう。大きな仕事には尻込みしてしまっても、細分化できていることでひとつひとつのタスクに着手しやすくなり、空き時間を有効活用できるようになります。
さらに大きなメリットとして、タスクブレイクダウンでプロセスを詳細に把握することで、作業の抜け漏れを防止できるという点も挙げられます。タスク表を作成することで院内での情報共有や進捗管理もしやすくなり、万が一の抜け漏れがあってもみんなでフォローできるでしょう。