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私は常日頃から動物病院を経営する獣医師である以上、飼い主さんにも院内のスタッフにも自信を持って意見を伝えなければならないと考えています。たとえそれが時として人を傷つけてしまうものであったとしても、言わなければならないことはきっぱりと伝えるようにしています。それが飼い主さんやスタッフ、出入り業者など、全方位からの信頼の獲得につながると信じているからです。

しかし、自由に意見や主張をすることに、まったくためらいがないわけではありません。「こんなことを言ってしまって、本当に良いのだろうか」と、内心感じることもあります。今、「自分の意見を思うように言えていない」と感じている人の多くは、おそらく私と同じ気持ちを抱いているのではないでしょうか。謙虚が美徳とされる日本で円滑な人間関係を築くためには、無難な発言にまとめるのが確実だからです。

それでは、人を不用意に傷つけることなく自分の意見を主張するためには、どのような姿勢を心がけたら良いのでしょうか。今回は意見の効果的な発信方法について考えてみたいと思います。

八方美人な人はファンを増やせない

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周りに敵をつくるのが怖くて、誰にでもいい顔をしてしまう。いわゆる「八方美人」はかえって敵をつくりだすことになります。「いつも同じことしか言わない」「誰にでも調子の良いことを言う」といった印象を与えてしまうためです。いつも同じこと、相手にとって都合の良いことしか言わない獣医師は、「どうせ何を聞いても同じだから」と信頼を損ねてしまう可能性があります。信用失墜は言い過ぎでも、少なくとも「この先生なら信頼できる!」とファンになってくれる飼い主さんは、まずいないでしょう。

無理やり厳しいことを言う必要はありませんが、自分の意見を主張したいときには相手の顔色を窺うことなく、きっぱりと伝えましょう。獣医師は動物の命を預かる、大きな責任を担う仕事です。だからこそ、ときには厳しい意見や見解も毅然とした態度で伝えなければなりません。

自分の意見を主張することで感じられるメリット

自分の意見を強く主張することで、人を怒らせたり、傷つけたりする可能性は否定できません。それは自己主張のデメリットのひとつです。しかし、自己主張をするメリットとデメリットを比較した場合、メリットのほうが多いことに気づきます。

自分の意見をはっきり伝えると、相手も自分を正しく受け取ってくれます。婉曲的に伝えるよりも、よほど効果的かつ効率的です。業務効率の改善にもつながります。さらに自分の意思を伝えることで、相手はあなたのキャラクターを理解し、それに合った対応をしてくれるようになるでしょう。こうなれば意見のぶつかり合いでギスギスすることなく、円滑な人間関係を築けます。

日頃から堂々とした態度で、きっぱり意見を伝えられるようになると自信がつき、失敗を恐れなくなります。これは大きなメリットと言えるでしょう。飼い主さんも大切なペットは、信頼できる獣医師に診てもらいたいと思っているものです。自分に自信を持つことで、飼い主さんに安心感を与えられる獣医師へと成長できるでしょう。

不快感を与えることなく自分の意見・主張を伝える方法

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自分の意見をきっぱりと伝えることも重要ですが、その際に極力相手を傷つけないようにしたいものです。特に男性獣医師が女性と接する際、毅然とした態度を威圧感と捉えられ、怖がられてしまうおそれがあります。こうなると飼い主さんの離反を招いてしまうこともあるでしょう。ここでは良好な人間関係を築きつつ、相手に自分の気持ちを届ける方法を紹介します。

①相手に合わせた話し方をする

例えば相手が女性であれば、柔らかい話し方を心がけましょう。荒々しい言葉を避け、「~ですね」「~ますよね」など、文末に「ね」をつけるように意識すると、同じ内容でも印象は随分と変わってきます。また、難しい専門用語や敬語の多用は無機的な印象を与えるため、専門知識がなくても理解できる、平易な言葉を使いましょう。

②断定的な言葉を避ける

「絶対に」など、断定的な言葉は相手に威圧感を与えます。「意見を押し付けられている」と感じる人もいるでしょう。「あくまでこの意見は私個人のものであり、考え方は人によって違います」と一言添えると、いくぶん穏やかな印象になります。

③話す姿勢にも気を配る

言葉は穏やかでも、足や腕を組んで話をする人には偉そうなイメージがあります。癖でつい足組みをしてしまう人もいますが、意見を主張するときには控えて、態度を改めましょう。また、人の目を見て話さない人は不信感を与えます。相手にまっすぐ向き合い、気持ちを込めつつ落ち着いたトーンで話をしましょう。早口や必要以上に大きい(小さい)声は落ち着きがなく、決して良いものではありません。

意見や主張を発信することは決して悪いことではありませんが、多少なりとも姿勢や話し方に気を配る必要があります。今回お伝えした内容をぜひ実践してみてください。

 

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