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動物病院の新規顧客をリピーターにするためには、初回来院時のアプローチが何より大切です。特に有効なのは、会計時に次回の予約を取り付けること。次回の予約を前もって行うことで、他の動物病院への離反を防ぐことができます。

そこで今回は、動物病院で来院予約をするメリットと、方法について紹介したいと思います。

次回の来院予約は、動物病院のためではなく飼い主さんのために

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「飼い主さんの来院予約を取ることが、リピーターの獲得につながる」と冒頭でお話しました。もちろん、次回の来院予約にはそのような目的もありますが、なによりも飼い主さんの大切なペットを守ることにつながります

たとえば歯医者やスポーツジムなど、「行かないといけないとわかっているのに、いろんな理由をつけて、全然通えていない」ということはありませんか?「いつかは行く」を理由に足が遠ざかってしまった経験をお持ちの方は、決して少なくないと感じます。

動物病院もそのような施設のひとつです。目に見えてわかる病気にかかっているペットや、こまめに通ってくださる飼い主さんは、きちんと来院する傾向にありますが、そうでない飼い主さんも多く存在します。実際、私の動物病院のリピーターさんのなかにも、予防接種のときにしかいらっしゃらない方や、年に一度しか来院しないという方がいらっしゃいます。

しかし、これではペットたちが病気やケガにかかっていたとき、諸症状の発見が遅れてしまいます。本来は軽症で済んだ動物たちが、重い病や痛みに苦しむことになるのは、あまりにもかわいそうなことです。

 

トリミングサービスにしても同様です。長期間、カットしてない犬や猫の毛はボサボサで、ノミ・ダニが繁殖しやすい状態になってしまっています。ノミ・ダニはペット自身はもちろん、飼い主さんなどの人間や住居にも悪影響を及ぼすため、必ず定期的なトリミングを呼びかけるようにしてください。

病気・ケガの早期発見・予防に努めるためにも、飼い主さんには定期的に動物病院へ通うことをおすすめしましょう。そして、次回来院時の予約を取るようにしてください。飼い主さんも次回の来院日があらかじめ決まっていれば、予定を空けて来院してくれる可能性大です。

リピーターの獲得の重要性については、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:動物病院のリピーターは新規顧客の獲得よりも低コスト

まずは満足のいくサービスの提供を心がける

基本中の基本ですが、飼い主さんが満足できなければ、再来院のチャンスはありません。診療内容や価格、スタッフの対応、院内の清潔感、ペットへの態度など、意識しなくとも飼い主さんはチェックしているものです。

次回の予約のことを考える前に、診療中はまず診察に集中しましょう。ペットの状態をしっかりと確認し、次も来ていただくためには、どのような提案をすれば良いのかを真剣に考えてみてください。そして、それを伝えることによって、無理に次回予約へと誘導しなくても、飼い主さんに「次も見てもらいたいな」と感じていただけるでしょう。

写真やカウンセリングシートなどの資料を使って、わかりやすい説明を心がけると、飼い主さんも再来院の重要性を認識しやすくなります。

飼い主さんに感動を与えるコツについては、以下の記事が参考になります。

関連記事:顧客満足を超える「顧客感動」の大切さとは

次回予約を取ってもらうようにするためには

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まずは、来院予約の取り方を工夫することから始めてみてください。「次回のご予約はいかがされますか?」では、決定権がすべて飼い主さんにゆだねられてしまいます。「また電話する」「ちょっと考えてみる」などと、サラッと流されてしまうかもしれません。

ほんのちょっとした違いですが、私は「次の診察は●か月後がおすすめです。ご都合いかがでしょうか?」と、来院を前提で飼い主さんのスケジュールを伺うようにしています。こうすることで「じゃあ●日にしようかな」と、上手く誘導できるようになるのです。

また、「早めに予約しなければ、すぐにスケジュールが埋まってしまう」など、さりげなく急かすセリフも定番ですが、効果は大です。獣医師やトリマーの指名制を採用している動物病院であれば、「●●獣医師(トリマー)は、この日なら空いていますよ」と、呼びかけてみるのも良いでしょう。

しぶる来院者様には特典をつけて次回予約を促す

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「仕事が忙しくて、いつ来られるかわからないなあ」と、飼い主さんに答えられることがありますが、そのときには「一旦予約いただいて、あとからキャンセルしていただくことも可能です」の一言を付け加えるようにしています。

しかし、あまりに積極的な勧誘は、どのような飼い主さんからも嫌がられるものです。そこで私は、さりげなく「次回来院いただいた飼い主さんには、ペット用シャンプーを○○円引き」など、特典を設けて自発的な来院予約を促進するようにしています。これだけでかなりの効果があるものです。

また、私の動物病院で非常に効果が高いのが「来院チケット」制度です。これはトリミングや予防セットをチケットとして販売するスタイルで、2回目以降の料金は30%オフの料金設定にしています。チケットは前払いになるため、飼い主さんは一度購入してくれたら必ず来てくれます。「また来るから」と、口約束だけになってしまうことはほとんどありません。何回か来院してくださると、自然に獣医師と飼い主さん、そしてペットとの関係性が深まり、次回以降の予約もスムーズに運ぶようになります。おすすめの方法ですので、ぜひ取り入れてみてください。

新しい飼い主さんに良い印象も持っていただくコツについては、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事:新規の飼い主さんをフォローアップするために押さえておきたいポイント

その場で予約が取れなくても諦めない

もちろん、すべての飼い主さんがその場で次回予約をしてくれるわけではありません。あまりしつこく勧誘するとかえって離反を招くもととなりますので、難しいと判断したらすぐに手を引きましょう。

ただし、それで終わらないように、来院していただいたら、翌日までにはお礼のDMとともに次回予約を促すメールを送ることをおすすめします。このとき、テンプレートのテキストになってしまわないように、飼い主さんやペットに合わせた文言を一言添えて送ると特別感が出て、好感を持ってもらえるでしょう。

このメールを送る際には、予約サイトのURLを記載しておくとスムーズな導線になります。まだネット予約ではなく、電話対応しているのであれば、Web予約の導入を検討してみてください。今は無料で利用できるサービスもあります。

 

今回は、次回予約の必要性を紹介しました。動物病院の数が増えているにも関わらず、ペットの数自体は減っている昨今、ひとりでも多くの飼い主さんを獲得するためには、次回予約にも工夫が必要です。また、次回予約をされなかった飼い主さんが少しでも来院しやすいように、ホームページ上に予約システムを導入しておくこともおすすめです。ぜひ試してみてください。

 

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