このブログでも何度か希少性マーケティングをお勧めしてきました。
初めて読む人のために説明すると希少性マーケティングとは限定品を打ち出すことで飼い主さんの購買欲をそそる手法のことです。
この希少性マーケティングには大きく分けて、
- 「季節限定」「期間限定」などの一定期間だけ販売している「時間軸」
- 「地域限定」「特定の店舗限定」などの特定のエリアでだけ販売している「地理軸」
- 「個数限定」などの「数量軸」
の3つに分けられます。
今回はこのうちの「数量」を軸としたマーケティング手法について徹底的に考えていきたいと思います。
数量軸の希少性マーケティングが有効な理由
物が溢れている今の時代に、「希少性を訴えるマーケティングは時代遅れでは？」と思う人も少なくありません。しかし、実際は真逆です。物が溢れている時代だからこそ、人は希少性が高く、他の人が持っていないものを欲しがる傾向にあります。
現に店頭販売されているスナック菓子の限定品は全体の中でも3割、フタを開けるだけでそのまま飲めるアルコール飲料においては2割を限定品が占めています。
このように限定品というのは、消費者の購買意欲をそそる非常に有効なフレーズと言えるのです。
「時間軸」「地理軸」、そして「数量軸」のなかで希少性をより強く感じてもらうためには、数量限定品のリリースがおすすめです。季節限定や期間限定の商品は、期間に余裕がある印象で、「今すぐに購入しなくても、また暇な時に買えばいいや」と思われてしまうことも。結局限定品の存在を忘れられてしまうことも珍しくありません。
また、店舗限定や地域限定品は、よほどその商品のファンでなければ、わざわざ消費者は現地まで足を運ばないものです。一方、個数限定品は誰でも数を認識できるため、「すぐに買いに行かなきゃ」と、消費者を行動に駆り立てやすいと考えられます。動物病院でもシャンプーやトリートメントなどのペットアイテムを個数限定にしたり、診療サービスを先着10名様限定などとすると、飼い主さんの流れが変わってきます。
数量限定を打ち出すときのポイント
数量限定と言うと、「100名様限定」や「先着10名様」、また「数に限りがございます」などといったフレーズが思い浮かびますが、これだけではありきたりで単調な印象です。また、「先着100名」など、微妙に多い数の商品を打ち出すときには、「すぐに売り切れることはないだろう」と思われ、飼い主さんがすぐに足を運ばない可能性があります。
数量限定品を打ち出した際には、ただ商品を店頭に並べて終わりにするのではなく、リリース後も残数や販売累積個数を伝えてあげると、「それしか残っていないのであれば、今すぐ購入しなきゃ」という気持ちになってもらえます。残数は定期的に更新するよりも、極力売れたタイミングですぐに更新するほうがベターです。毎回こまめにカウントするのは大変な作業かもしれませんが、残数が少なくなればなるほど消費者の焦燥感も駆り立てられるもの。さらには、「きちんと在庫管理をしている、信頼性できる動物病院」という印象を持ってもらえるはずです。
ターゲットを選定する
いくら数量限定キャンペーンを実施したとしても、その商品が飼い主さんから求められていなければ販売個数は増えていきません。キャンペーン用に仕入れた在庫が残ってしまうと、赤字になってしまいますよね。それを避けるためにも、キャンペーンでピックアップする商品にはこだわりをもって選びましょう。
一体どのような飼い主さんに手に取ってもらいたいかを考えて、その飼い主さん像に合った商品をクローズアップしてください。猫よりも犬の来院数が多い動物病院であれば、ドッグフードやシャンプー、トリミングの利用が増えている病院であればトリミング料金の割引券がおすすめです。
また、ターゲットもさることながら、キャンペーンを打ち出すタイミングも重要です。フィラリアの予防は春から秋にかけてが一般的であるのに、冬に予防割引キャンペーンを打ち出しても、効果は見込めませんよね。そういった事情も考えながら、キャンペーン商品や時期を設定しましょう。
複数の訴求要素を盛り込む
希少性マーケティングは、マーケティング手法のなかでもしごく一般的といえます。期間限定や個数限定商品を売りにしている動物病院は、きっとあなたの病院だけではないはずです。そのなかで、数量限定だけを売りにしても、やや訴求力が弱いです。さらに引きを強くするためには、「数量限定プラスアルファ」を意識すると良いでしょう。「顧客満足度99%の商品」や「あの先生も絶賛の商品」などのフレーズとともに打ち出すと、より引きが強くなります。「数量限定」のフレーズだけに頼らないようにしましょう。
数量限定マーケティングは、誰でもすぐに始められるマーケティング手法です。しかし、個数を確保しなければならないため、うまく売り出さなければ在庫を抱えてしまう可能性もあります。そのようなことがないように、「必ず売り切る」という意志のもと、キャンペーンの打ち出し方を工夫をしましょう。
