コロナ禍で日本全体が大きな経済ダメージを受けている現在、後ろ向きな気持ちになっている人がいても珍しくありません。動物病院経営者にしても思ったように売上が伸びずに、がっかりしている人もいるのではないでしょうか。
期待していた結果が出なかったり、努力が報われなかったりすると、どうしても人は後ろ向きになりがちです。しかし、経営者たるもの後ろ向きな気持ちばかりではいられません。大黒柱である経営者がネガティブな心持ちでいると、院内のスタッフや飼い主さんにも鬱々とした雰囲気が伝わり、モチベーションが下がってしまいます。今回は、ネガティブ思考に陥っている経営者を励ます、いくつかの方法を紹介します。
できない理由ばかりを考えてしまう原因
経営がうまくいかないと、ついネガティブな思考に陥りがちです。売上が上がらなかった理由もきちんと分析できずに、「景気が悪いから」の一言で片付けたり、新しい施策を考える努力もせずに「どうせ失敗するから」と言い訳に終始してしまったりします。自分でも言い訳だとわかっていても、どうしてもネガティブワードを口にしてしまう。なぜこのような思考に陥ってしまうのでしょうか。理由をいくつか考えてみました。
①仕事へのモチベーションが低下している
失敗が続くと、どうしても自己肯定感が低くなり、仕事へのモチベーションも低下してしまいます。モチベーションは人に言われて、上がるものではありません。最近仕事に身が入らないと感じているようであれば、思い切って少し休暇を取り、リフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
② 失敗を極度に恐れている
成功事例に乏しいと後ろ向きになり、「どうせうまくいかないから」「これをやっても結局こうなってしまいそうだから」とネガティブな考えばかりが思い浮かぶようになります。この状態が続くと、新しいことへのチャレンジにも躊躇するようになり、どんどん時代に残されてしまいます。動物病院も日々進化しているため、情報を常にアップデートしていかなければなりません。気持ちを切り替えて、新しい施策にチャレンジしていける環境を整えましょう。
③相談できる人が周りにいない
動物病院経営者といえども、一人で考えられる範囲には限界があります。一人で悩みを抱えていると自分の考えに凝り固まってしまい、孤立してしまうかもしれません。院内のスタッフでも同業者でも良いので、気軽に自分の悩みや課題を相談できる壁打ち相手を見つけると良いでしょう。
④ リソース不足の案件に取り組んでいる
どんなに良い施策を立てたとしても、人手が足りなかったり、予算が限られていたりすると実現できないことがあるでしょう。目標を達成するためには現状を把握し、身の丈にあった施策を計画してください。大きな計画ばかり立てていると、計画倒れになる可能性大です。その結果、できない理由ばかりを考えてしまい、さらなる悪循環にはまっていきます。
自分の動物病院に合う施策を考えるためには
失敗したり、読みが外れてしまったりしても、言い訳を口にしないようにしてください。時には反省も大切ですが、過去を振り返ってばかりでは前に進むことができません。それよりも、目標を達成するために必要な要素をじっくり考えてみましょう。
まずは小さな目標から立ててみる
月に300人程度の飼い主さんが来院する動物病院で、いきなり1,000名を目標に掲げると、ハードルが高すぎて挫折する可能性があります。こうなると、「また失敗してしまった」と自己嫌悪に陥りかねません。そのようなことがないように、まずは小さな目標から立ててみましょう。月間の平均来院者数が300人程度であればまずは400人を目指し、それを達成したら次は500人…といった具合に、少しずつ目標を高めていくと自信につながります。
コストを抑えた施策を考える
施策にコストをかけすぎるとプレッシャーが大きくなって、空回りしてしまいます。高額な機器を導入して来院者の増加を狙うようなリスクの高い施策よりも、原価100円程度の無料オファーを50人に配るなどして、コストを抑えた施策のほうが気軽かつ気楽です。肩に力を入れすぎることなく目標にチャレンジできますし、ダメだった時でも経験を次に活かすことができます。
スタッフと定例ミーティングを開く
同じ動物病院で働くスタッフは、自分の仕事を理解してくれる大切な存在です。 そのスタッフを時には頼ることも大切ではないでしょうか。自分一人で考えた独りよがりの施策よりも、スタッフからアイデアを募って、有効と思える施策をどんどん試してみてください。互いに協力し合うことで院内のチームワークも強化されますし、トリマーや受付担当者など、獣医師とは違う立場から、有益なアドバイスを受けられるかもしれません 。
できない理由を考えることは、自分を追い詰めることにもつながります。周りの力を借りつつ、有効な目標を立てられるように、一度考え方を改めてみてはいかがでしょうか。気がつけば、ポジティブ思考が身に付いているかもしれません。