動物病院に限らず、経営者に悩みはつきものです。思ったように売上が伸びずにがっかりしている人や、スタッフの教育がうまくいかずに落ち込んでいる人も少なくないのではないでしょうか。
期待していた結果が出なかったり、努力が報われなかったりすると、どうしても人は後ろ向きになりがちです。しかし、経営者たるもの後ろ向きな気持ちばかりではいられません。大黒柱である経営者がネガティブな心持ちでいると、院内のスタッフや飼い主さんにも鬱々とした雰囲気が伝わり、モチベーションが下がってしまいます。今回は、ネガティブ思考に陥っている経営者を励ます、いくつかの方法を紹介します。
できない理由ばかりを考えてしまう原因
経営がうまくいかないと、ついネガティブな思考に陥りがちです。売上が上がらなかった理由もきちんと分析できずに、「景気が悪いから」の一言で片付けたり、新しい施策を考える努力もせずに「どうせ失敗するから」と言い訳に終始してしまったりします。自分でも言い訳だとわかっていても、どうしてもネガティブワードを口にしてしまう。なぜこのような思考に陥ってしまうのでしょうか。理由をいくつか考えてみました。
①仕事へのモチベーションが低下している
失敗が続くと、どうしても自己肯定感が低くなり、仕事へのモチベーションも低下してしまいます。モチベーションは人に言われて、上がるものではありません。最近仕事に身が入らないと感じているようであれば、思い切って少し休暇を取り、リフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
② 失敗を極度に恐れている
成功事例に乏しいと後ろ向きになり、「どうせうまくいかないから」「これをやっても結局こうなってしまいそうだから」とネガティブな考えばかりが思い浮かぶようになります。この状態が続くと、新しいことへのチャレンジにも躊躇するようになり、どんどん時代に残されてしまいます。動物病院も日々進化しているため、情報を常にアップデートしていかなければなりません。気持ちを切り替えて、新しい施策にチャレンジしていける環境を整えましょう。
失敗を恐れないマインドの身につけ方については、以下の記事で触れていますのでぜひ参考にしてください。
③相談できる人が周りにいない
動物病院経営者といえども、一人で考えられる範囲には限界があります。一人で悩みを抱えていると自分の考えに凝り固まってしまい、孤立してしまうかもしれません。院内のスタッフでも同業者でも良いので、気軽に自分の悩みや課題を相談できる壁打ち相手を見つけると良いでしょう。
④ リソース不足の案件に取り組んでいる
どんなに良い施策を立てたとしても、人手が足りなかったり、予算が限られていたりすると実現できないことがあるでしょう。目標を達成するためには現状を把握し、身の丈にあった施策を計画してください。大きな計画ばかり立てていると、計画倒れになる可能性大です。その結果、できない理由ばかりを考えてしまい、さらなる悪循環にはまっていきます。
リソース不足に悩んでいるあなたは、ぜひ以下の記事を参考にしてください。ヒントが見つかるかもしれません。
関連記事:リソース不足を感じたら今ある経営資源を見直してみよう
今注目される「レジリエンス」を身につけよう
ここ数年で注目されているビジネス用語「レジリエンス」とは、元々回復力・復元力といった自発的治癒力を表す言葉でしたが、現在はビジネスにおいても逆境や困難を乗り越える力として注目されています。労働環境が大きく変化している昨今ですが、一般的にレジリエンスがある人は逆境に遭遇してもうまく乗り越えられると考えられています。
柔軟かつ多面的に物事を捉えられるようになると、どのような状況であってもポジティブに解釈し、最適なアクションを見つけ出せます。また、多面的な思考ができるからこそ周囲のさまざまな意見にも耳を傾けられるようになり、周囲との信頼をうまく構築できるのです。
このレジリエンスを身につけるためには、問題が発生した際にも人のせいにはせず、自己責任の原則を重視する姿勢や 顧客目線で物事を考えようとする思考癖を意識しなければなりません。経営者である以上、 資金管理を徹底して動物病院の財務健全性を保とうとする姿勢も重要です。
ネガティブシンキングから今一つ抜け出せないという方は、ぜひこのレジリエンスを意識してみてください。今あなたがやるべきことが見えてくるはずです。
自分の動物病院に合う施策を考えるためには
失敗したり、読みが外れてしまったりしても、言い訳を口にしないようにしてください。時には反省も大切ですが、過去を振り返ってばかりでは前に進むことができません。それよりも、目標を達成するために必要な要素をじっくり考えてみましょう。
まずは小さな目標から立ててみる
月に300人程度の飼い主さんが来院する動物病院で、いきなり1,000名を目標に掲げると、ハードルが高すぎて挫折する可能性があります。こうなると、「また失敗してしまった」と自己嫌悪に陥りかねません。そのようなことがないように、まずは小さな目標から立ててみましょう。月間の平均来院者数が300人程度であればまずは400人を目指し、それを達成したら次は500人…といった具合に、少しずつ目標を高めていくと自信につながります。
目標の立て方のコツについては、以下の記事がきっと参考になるはずです。ぜひ目を通してみてください。
感情論と完璧主義は禁物
物事をポジティブに捉えられるようにするためには、一時の感情に任せて物事を決めてしまう行動と、ひとつの隙も許さない完璧主義は避けましょう。
意思決定にあなた個人の感情が深く入り込んでしまうと、客観性が損なわれ、偏った判断や短絡的な決定につながりかねません。冷静さを保てるように、感情が先走りそうなときには深呼吸や瞑想を行いましょう。適度な運動と休息も効果的です。
完璧主義は一見良いことのように思えますが、スタッフのストレスの原因にもなり、結果的にあなたのストレス増幅につながる可能性があります。完璧主義に走りがちなあなたは、目標設定時には現実的な数値を掲げて、進捗を定期的に評価し、必要に応じて調整しましょう。失敗を学習の機会と捉えられるマインドを持てば、ポジティブ思考になれるはずです。
コストを抑えた施策を考える
施策にコストをかけすぎるとプレッシャーが大きくなって、空回りしてしまいます。高額な機器を導入して来院者の増加を狙うようなリスクの高い施策よりも、原価100円程度の無料オファーを50人に配るなどして、コストを抑えた施策のほうが気軽かつ気楽です。肩に力を入れすぎることなく目標にチャレンジできますし、ダメだった時でも経験を次に活かすことができます。
スタッフと定例ミーティングを開く
同じ動物病院で働くスタッフは、自分の仕事を理解してくれる大切な存在です。 そのスタッフを時には頼ることも大切ではないでしょうか。自分一人で考えた独りよがりの施策よりも、スタッフからアイデアを募って、有効と思える施策をどんどん試してみてください。互いに協力し合うことで院内のチームワークも強化されますし、トリマーや受付担当者など、獣医師とは違う立場から、有益なアドバイスを受けられるかもしれません 。
スタッフとのミーティングを開くポイントについては、以下の記事がきっと参考になるはずです。一度読んでみてください。
関連記事:【プレゼンのルール】動物病院の会議は基本的に全員で行うこと
できない理由を考えることは、自分を追い詰めることにもつながります。周りの力を借りつつ、有効な目標を立てられるように、一度考え方を改めてみてはいかがでしょうか。気がつけば、ポジティブ思考が身に付いているかもしれません。