獣医師はサービス業ではありません。
しかし、動物病院の競争が激しくなっている今の時代にあって、より多くの飼い主さんにリピーターとなっていただくためには、獣医師や看護師のサービス精神が肝になってくると考えます。
飼い主さんのニーズを満たすためにはどのようなサービスを考えたら良いのでしょうか。
今回は動物病院に来院される飼い主さんを喜ばせる方法についてお伝えします。
常に飼い主さんの喜びについて自問する
獣医師と飼い主さん、立場こそ異なりますが、同じ人間であることは共通しています。あなたが飲食店や商業施設で受けてうれしいと感じるサービスは、飼い主さんも同じように感じることが多いものです。
それであれば、あなたが動物病院にあったら良いなと思うサービスをまずは取り入れてみてください。ちょっとした工夫が飼い主さんの喜びにつながるかもしれません。たとえばサブスクリプションサービス。最近さまざまなジャンルのサブスクサービスが誕生していますが、それだけ需要が高い証と言えるでしょう。あなたも動物病院ならではのサブスクサービスを取り入れてみてはいかがでしょうか。例えばシャンプーやコンディショナーの定期購入や、診療のサブスクサービスにはニーズがあり、リピーターを確保することもできます。最近の診療サービスにマンネリを感じている方はぜひ検討してみてください。
キャンペーンを企画する際には飼い主さんの立場になろう
飼い主さんの満足度を高めるために、キャンペーンを企画することは、ひとつの有効手段だと考えます。しかし、独断で決行した、ひとりよがりのキャンペーンはかえって失敗に終わるおそれがあります。
あなたは好きな人にアプローチをするときに、どのようなことから始めますか。おそらく相手の好きな食べ物や趣味を調べて、それを話のネタやデートの誘いに使うのではないでしょうか。動物病院の経営においても、まったく同じことが重要だと考えます。自分の奉仕の心が相手に届くようにするためには、相手が求めることを的確に把握しなければなりません。そのため企画を立てる際には、アンケート調査を実施したり、スタッフから意見を募ったりして、徹底的に飼い主さんの立場に立って考えましょう。
この視点で考えると、バースデープレゼントや来院者様限定のキャンペーンは、飼い主さんを喜ばすことができる有効な手段です。人は誰しも特別扱いされると喜びを感じるものです。その人間心理を突いて、特別感を覚える企画を実施してみてはいかがでしょうか。
誰よりも自分自身が動物病院のファンになる
いくら動物病院の経営のためだからと言って、自分の好きではないものを飼い主さんに勧めるのは難しいです。どこかセールストークやあなたの態度に無理が出てしまうからです。あなたの真心が飼い主さんに届くようにするためには、あなた自身が自分の動物病院の大ファンになる必要があります。
自分が開業している動物病院には思い入れが強いかと思いますが、果たして今の状態を最高、大好きと思えますか?ルーティンワークに追われて、内装やサービスに新鮮さが見られないようであれば、大好きと思えるように院内をリニューアルしてみるのもひとつの手です。
内装が簡素すぎると思ったら、ポップを作って盛り上げてみたり、予算の都合がつけば壁紙を張り替えたりすると、きれいになってもっともっと愛着が湧くでしょう。「どうしたら飼い主さんは喜んでくれるだろう」と考える前に、まず自分がもっと好きになるためにはどうすれば良いのかを考えてみてください。
喜ばせるにはサービスよりもホスピタリティ精神が大切
飼い主さんに喜んでいただけるようなキャンペーンや割引制度の実施も有効ですが、それよりも大切なことがあります。それはあなたやスタッフの接客態度です。どんなに魅力的なサービスを提供していたとしても、愛想がなかったり、飼い主さんやペットの顔を見なかったりする獣医師に飼い主さんはつきません。当たり前の事のように思えますが、これができていない獣医師が意外と多いです。忙しいときにはついつい飼い主さんへの対応が流れ作業的になってしまいますが、来院していただいた飼い主さんが最大限の喜びを感じられるように、接客態度には十分に配慮しましょう。きちんと相手の顔を見て話すこと、聞き取りやすく、わかりやすい言葉で話すこと、そして笑顔を忘れないようにしてください。
飼い主さんを喜ばせる方法は、ソフト面からハード面までさまざまです。どちらかが欠けていても、飼い主さんの心は満たされませんので、今あなたの動物病院で見られる課題を一度洗い出し、どのようにすればお客様の喜びに変えられるかを考えてみてください。そしてこの取り組みを継続することが非常に重要です。絶えず飼い主さんに喜びを与え続けられるような獣医師、そして動物病院を目指してください。