突然ですが、夏休みの宿題を始業式直前に手をつけていた方はいませんか。
あなたがそのタイプではなかったとしても、ギリギリまでまったく手をつけていなかったという子どもはいまだに少なくないと聞きます。
締切直前に行動するのは、なにも子どもだけではありません。
消費税の増税前や確定申告の提出時期には、期限直前に慌てて買い物や申告をする人が殺到すると聞きます。
一体なぜ人は締切直前に慌ててしまうのでしょうか。
そして、この人間の駆け込み心理を経営に応用することはできないものでしょうか。
今回は人間が共通して持っている「駆け込み心理」について考えたいと思います。
駆け込み電車で考える人間が締切直前に焦ってしまう理由
「駆け込み」という言葉を聞くと、まず電車を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。待ち合わせの時間に余裕があっても、目の前の電車が出てしまいそうになれば、つい焦って乗ろうとしてしまいますよね。駆け込み電車は周りから見れば非常に迷惑な行為ですが、発車ベルに条件反射して、車内に駆け込んでしまう人は後を絶ちません。
駆け込み電車防止のために、JRでは発車ベルを鳴らすのをやめたと聞きます。発車ベルが鳴ると条件的に人は「目の前に提供されているものを諦めたら損をしてしまうのでは」と考えてしまうのですね。この心理は動物病院のキャンペーンにも応用することができます。その方法については、以下で紹介します。
キャンペーンの締切直前に駆け込む飼い主さんの心理
ほとんどの動物病院は、キャンペーンを実施する際に1か月程度の期間を設けています。ちなみに以前から私はこのブログで、キャンペーン期間は2週間前後がベストとお伝えしています。私自身、自分の動物病院で何度もキャンペーンを実施していますが、開始当初に申し込んでくださる人はごく一部。多くの人は締切直前に申し込まれている印象です。事前にキャンペーンを告知していたのに、なぜ締切直前に申し込まれるのでしょうか。
- キャンペーンの存在をすっかり忘れていて、締切直前になって思い出した
- 締切直前にこの機会に申し込んでおかなければ損をすると不安な気持ちにかられた
- 締切直前にもう二度とその商品を手にできないかもしれないと感じた
- 検討していたものの、あとから申し込めばいいやと思い、結果的に申込みが締切直前になってしまった
- 他の人が申し込んでいると知ってやはり自分も欲しくなった
という方がおそらくほとんどかと思います。
このブログではかつて、人は人気があるものに集まりやすいという「バンドワゴン効果」を紹介したことがありました。駆け込み需要も、この心理に似ていると言えます。動物病院としてはなるべく早く申し込んでいただきたいものですが、逆に駆け込み需要を見込んで、購入を後押しする手を考えてみると売上が改善します。
キャンペーンの締切直前には後押しが大切
キャンペーンを告知するダイレクトメールやチラシは、当然のことながらキャンペーン直前や開始直後に打つものですよね。しかし、私はキャンペーンの期限ギリギリにもう一度打つことをおすすめします。飼い主さんの頭からすっぽり抜け落ちていたキャンペーンの記憶を思い出させるとともに、期限が迫っていると知らせることで、飼い主さんの焦燥感を煽ることができるためです。どんなに良い商品を提供していても、キャンペーンの存在を認知してもらえなければ、売上の向上は期待できません。多少手間やコストがかかったとしても、複数回にわたってキャンペーンを告知してみると良いでしょう。
キャンペーンの終了直前に在庫の余裕や収益を確認できたら、締切直前キャンペーンと銘打って、キャンペーン対象商品をディスカウントしてはいかがでしょうか。「今購入しなければ損してしまう」と、飼い主さんの気持ちを揺り動かすことができます。売れ行きが芳しくない商品でも、このキャンペーンを実施することで、動きが出てくるかもしれません。反対に売れ行きが良い商品の場合は、「残り〇個」「最初で最後のキャンペーン」など、キャッチフレーズを全面に出すことで、飼い主さんの購買意欲がアップする可能性大です。
期限ギリギリの申し込みであっても、売上が立つことに変わりはありません。しかし、できれば最初の段階から安定した申し込みを期待したいものですよね。「キャンペーンに備えてたくさん在庫を確保したのに売り行きが良くなく、締切直前までハラハラした」という事態は避けたいものです。また「いつも売れ行きが良くないから少量の在庫しか確保していなかったのに、締切直前にたくさんの申し込みがあり、すべての飼い主さんに購入していただくことができなかった」という事態も良くありません。
安定的に申込者を確保するためには、「キャンペーン開始から1週間以内に申し込んでくださった方には〇%オフ」といった早期割引サービスを採用すると、早期申込者が増えるはずです。また、「大人気商品を限定〇個で発売」といったフレーズで飼い主さんの焦燥感を煽る手も常套手段です。
開始当初は大々的にキャンペーンを告知していても、次第に慣れてキャンペーンの存在を忘れてしまう動物病院もあります。しかし、締切直前は飼い主さんを獲得する絶好のタイミングです。「駆け込み需要」というフレーズを意識して、キャンペーン期限直前には追い込みをかけるようにしてください。