動物病院の集客施策をいろいろと考えているのに、なかなか思うような成果が出ない…。 そんな時にはモチベーションも下がってしまいますよね。「もう、施策を考えるのはやめて、現状維持を貫こう」と思うことがあるかもしれません。
しかし、諦めるのは早計です。
自分の動物病院が取るべき方策がわからなくなった時には、一度原点回帰をして、今自院を懇意にしてくださる飼い主さんを大切にすることから始めてみましょう。
そうすることで、今まで気づかなかった自分の動物病院の強みや課題に気づけるかもしれません。
今回は飼い主さんとコミュニケーションをとることの大切さをお話ししたいと思います。
客観的な意見は飼い主さんから聞き出すのが一番
現在自分の動物病院の経営が良くなかったり、広告やDMなどの集客施策に効果が見られなかったりした場合、自分の動物病院の問題を可視化できていないのかもしれません。 自分の動物病院を評価する際にはどうしても主観が入ってしまうもので、周りから見た評価とは異なっている可能性があります。
これまで自院の強みだと思っていたものが弱点であったり、その逆だったりするのはよくある話です。その違いを理解できていないのに、見当違いの施策ばかり打っていても意味はありませんよね。もしかしたら自分達が取るべき施策の優先順位が間違っている可能性もあります。
問題を可視化するためには、まず飼い主さんとたくさん話をしてみることです。特にリピート率の高い飼い主さんというのは、ある意味では獣医師や他のスタッフ以上に自分の動物病院を理解してくれている存在です。なぜ毎回自分の動物病院に足を運んでくれるのかを聞くと自分の動物病院の強みを再認識できます。反対に飼い主さんが気にしているポイントを指摘していただくことで、改善点に気づけるようになるでしょう。
いつも来てくれているからと言って、その飼い主さんが今後もずっと通ってくださるとは限りません。飼い主さんの好意に甘えるのではなく、積極的にコミュニケーションを取って、自院への感想を定期的に聞き出しましょう。
アンケートではダメな理由
ここ最近の私のブログでは、アンケートの調査方法についてお伝えしてきました。確かに飼い主さんに対して行うアンケート調査は、自分の動物病院への評価がわかる、大変貴重なものです。しかし、アンケートの結果がすべてと思わずに、日々のコミュニケーションから聞き取った、飼い主さんの些細な声を逃さないようにしましょう。
アンケート用紙に記入する際、人はどうしても身構えてしまいがちです。ついつい甘く採点をしたり、批判を避けたりしてしまうこともあります。また、「面倒くさいから」と言って、感想の記入を省略したりする方も少なくありません。これでは、動物病院の課題を本当の意味で浮き彫りにすることはできないでしょう。
診療時には、まずしっかりと飼い主さんに向き合い、意見や要望、ペットの近況などをどんどんと聞き出しましょう。前回購入していただいた商品や診療サービスの感想も、必ず尋ねるようにしてください。コミュニケーションを取るときには話の内容はもちろん、相手の表情やトーンを意識して聞くと、内に秘めた飼い主さんの本音が見えてきます。
飼い主さんの心を満たすトークを意識する
「獣医師は営業マンではないのだから、お世辞を言ったり、セールストークを考えたりする必要はない」と考える院長は多いです。コミュニケーションが苦手で、飼い主さんを前にすると何を話せばいいのかがわからない、という獣医師も少なくありません。
結果として、事務的に治療や商品の説明をするだけ、という事態になってしまうのです。これでは、いつまで経っても飼い主さんとの絆を深めることはできません。いきなり自分の動物病院に対する想いを聞こうとしても、警戒されて本音を話してもらえない可能性大です。
飼い主さんと打ち解けるためには、まずは飼い主さんの気持ちを満たすことを考えましょう。ペットの毛並みが美しかったり、処方した薬を飼い主さんがきちんと飲ませていたりしたら、忘れずに褒めてあげてください。自分の存在が認知されたり、行動が褒められたりして、嫌な気持ちになる人はいません。飼い主さんの気持ちが良くなれば、自然と心を開いてもらえるでしょう。最初はぎこちなくても、毎回続けていくことでコミュニケーションが円滑化されます。
マーケティングと言うと難しいイメージがありますが、飼い主さんとのコミュニケーションであれば、そう難しくはないはずです。身構えて話す必要はなく、世間話の延長程度の感覚で、治療に対する感想や要望、新商品への期待度などをさりげなく聞いてみましょう。飼い主さんとの信頼関係が強いほど、有益な意見を期待できます。また、獣医師に対して身構えてしまう飼い主さんが多いようであれば、スタッフにインタビュアー役をお願いするのも良いです。