動物病院の経営をするなかでは、さまざまなビジネス施策を考えることがあるでしょう。その中に、たとえ良いと思える施策があったとしても、そのすべてを実践できている方は珍しいのではないのでしょうか。実践できていない原因は、お金だったり、時間だったり、人員不足だったりと、人によってさまざまでしょう。失敗を恐れてのことかもしれませんね。
しかし、基本的に思いついたアイデアは試してみるのが一番良いと私は考えます。確かにどんな施策であっても失敗する可能性はゼロではありません。それでもチャレンジしたという経験は、その後のあなたの経営に確実な変化をもたらしてくれるでしょう。
今回は打てる手はすべて打つ行動力の大切さについてお話したいと思います。
なぜ行動力は大切なのか
自分の気が向かないものに対して、ほとんどの人は積極的に動こうとはしません。それは仕事であってもプライベートであっても同じでしょう。自分の趣味や嗜好であれば、それでいいかもしれません。しかし、ビジネスにおいてこの姿勢は考えものです。自分の興味・関心だけで施策を選んでいると、どうしても偏りが生まれてしまいます。それによってあなたと飼い主さんやスタッフとの間にズレが生じてしまい、顧客離れやスタッフの退職が起きてしまう可能性があるのです。あなたの選り好みだけで経営がうまくいくほど、ビジネスの世界は甘いものではありません。
そこで行動力の大切さがモノを言うようになります。たとえ興味のないことでも、一度積極的に取り組んでみることで、新しい情報を得られます。結果的に施策が失敗に終わってしまっても、一度経験したことで得られる経験値が増え、その後の活動の幅が広がっていくのです。
それだけではありません。情報量が増えれば会話の引き出しも増え、飼い主さんやスタッフとのコミュニケーションが弾むようになります。あなたが「話が楽しい、魅力的な獣医師」と評価されれば院内の雰囲気も良くなり、来院してくださる飼い主さんは増えるでしょう。さらにあなた自身が積極的に行動する姿勢を示すことで、スタッフの仕事のモチベーションも上がるようになります。
このように、行動力の高さはすべてにおいて良い影響をもたらしてくれるのです。
行動力の大切さについては、以下の記事でも説明していますので、ぜひご一読ください。
関連記事:行動力なくして成功なし!動物病院の経営者は誰よりも動こう
行動を起こすときの注意点
ここまで行動力の大切さを説明しましたが、それは決して「闇雲に施策を試してみれば良い」というわけではありません。 特に失敗した時のリスクが大きい施策ほど慎重になる必要があります。 また 、手当たり次第に手を打つのではなく、ひとつの施策を完了させてから、新しいものに手を出すようにしましょう。 最後までやり遂げることや、効率性を意識することも行動力のひとつと言えます。
行動力を高めるためには①先延ばしにする癖をやめる
行動力を身につけるには、まず主体的に動こうとする意識付けが重要です。「これは良さそうだ」と感じたなら、あれこれ考え込まず、すぐに実行へ移すようにしましょう。
もちろん、時間や費用がかかる大規模な施策はハードルが高いかもしれません。そういった場合は、まずは心理的なハードルが低い小さな施策から着手してみてください。例えば、顧客アンケートの実施、SNSでの情報発信の強化、院内掲示物のリニューアルなど、今日からでも始められることはたくさんあります。
どんなに些細なことでも構いません。「1ヶ月に○個の新しい施策にチャレンジする」といった具体的な目標を設定し、それを着実に実行することで、あなたの行動力は着実に高まり、新しい挑戦が当たり前の習慣になっていくはずです。
小さなことから始める大切さは、こちらの記事で説明していますのでぜひ参考にしてください。
行動力を高めるためには②失敗を気にしすぎない
人が新しい行動を起こすことをためらってしまう最大の理由は、多くの場合「失敗への恐れ」にあります。万が一うまくいかなかったらどうしよう、という不安が頭をよぎり、行動への一歩が重くなってしまうのはよくあることです。しかし、失敗を気にしてばかりいては、いつまでたっても現状維持から抜け出せません。
例えば、動物病院の経営で新しい施策を考えている間に、同業他社が先にそのアイデアを実行し、成功を収めてしまうかもしれません。そうなれば、手遅れになってしまい、大きな機会を逃すことになります。実は、行動しないことによる機会損失は、目の前の小さな失敗よりもはるかに大きなリスクを伴います。
大切なのは「失敗を気にしない」という心構えを持つことです。もちろん、無謀な挑戦は避けるべきですが、もし結果としてうまくいかなかったとしても、「仕方がない」と割り切る潔さも必要です。失敗は、次に繋がる貴重な経験値であり、改善のためのヒントを与えてくれます。この経験を糧に、新たな施策へと前向きにチャレンジしていくマインドセットを持つことが、あなたの動物病院を成長させ、成功へと導く鍵となるでしょう。
失敗したときの気持ちの持ちようについては、こちらの記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
行動力を高めるためには③施策を明確に考える
行動することの重要性は強調しましたが、それは決して闇雲に施策を試せば良いという意味ではありません。特に失敗した時のリスクが大きい施策ほど、より慎重な検討が必要です。大切なのは、ただ行動するだけでなく、その質と効率を意識することです。
まず、手当たり次第に手を出すのではなく、施策に優先順位をつけ、具体的な計画を立てることが重要です。漠然としたアイデアではリスクも大きくなりがちですが、明確な行動計画があれば、結果がどうあれ次へと繋がる貴重な経験となります。
また、同時に多くの施策に手を広げるのではなく、一つの施策を確実に完了させる意識を持つことも大切です。あれこれ手を出しすぎて中途半端に終わってしまっては、時間も労力も無駄になりかねません。最後までやり遂げること自体も、行動力の一部と言えるでしょう。
さらに言えば、行動に伴う失敗を過度に恐れる必要はありません。失敗は誰にでも起こりえますが、それを恐れて行動しないことの方が、ビジネスにおいては大きな機会損失につながります。
重要なのは、失敗から何を学び、それを次の成功にどう繋げるかというマインドセットです。経験から得られた教訓を活かし、前向きに次の施策へと挑戦する姿勢が、動物病院経営を確実に前進させる力となるでしょう。
行動力を高めるためには④ポジティブな人を周りに置く
自分が良いと思った施策に対してネガティブな意見を言われると、どうしても人はモチベーションが下がってしまうものです。あなたが自信を持って行動できるように、ポジティブな意見を出してくれる人を協力者として周りに置きましょう。スタッフでも取引業者でも構いません。ただし、ネガティブな反応と有益な反対意見は別物です。ただのイエスマンで周りを固めるのではなく、あなたにとってためになる意見を言ってくれる人を選ぶようにしてください。
ポジティブの大切さについては、以下の記事で説明しています。ぜひ一度読んでみてください。
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「塵も積もれば山となる」という言葉がありますが、些細な行動でも何度も繰り返すことによって、かけがえのない経験値となっていくはずです。机上の空論に終わるのではなく、良いと思った手はすべて試してみるようにしましょう。「打てる手は全て打った」という経験が、あなたの自信につながってくるはずです。