動物病院の経営をするなかで、あなた自身やスタッフに課題を課す場面は多いと思います。
しかし、常に達成率100％ということはないですよね。
想定外のトラブルが生じて企画が頓挫してしまったり、予算未達になってしまったりということもあるはずです。
そのようなとき、ついスタッフや自分自身の努力不足が原因と考えてしまいがちです。
しかし、そもそも最初に決めた課題や目標自体に問題があるのでは？と立ち返ってみませんか。
あなたやスタッフに適した課題が設定できてなければいつまで経ってもうまくいかず、フラストレーションがたまるだけです。
そこで今回は課題の設定方法について考えてみたいと思います。
間違っている課題設定の特徴
「何度やってもうまくいかない」「スタッフたちのモチベーションが上がらない」という状態になっているときには、以下のような問題がないかどうかを一度チェックしてみましょう。
①自分本位になっている
自分だけにしかメリットを享受できない課題を設定しても、周りはついてきません。わかりやすく言えば、ノルマの設定です。過剰なノルマをスタッフに課しても、それに対する報奨がなければスタッフはやる気にはならないでしょう。また、利益率が高くても効果が今ひとつの商品を優先して飼い主さんに勧めると、顧客離れを起こしてしまうおそれがあります。課題を設定するときには、一人でも多くの人がメリットを感じられるものを意識しましょう。
②壮大かつ抽象的になっている
例えば「動物病院にとって良いと思うことをする」「エリア内でナンバーワンの動物病院を目指す」といった目標は、抽象的過ぎて何をすればいいのかわかりにくいとは思いませんか？何をもって「良い」とするのか、何がナンバーワンなのか、定義は人によって異なるでしょう。また、壮大すぎる目標は非現実的で、真剣には向き合いにくいものです。思い当たる節があるあなたは、まずは課題のハードルを下げることから始めてみましょう。
③課題自体がマンネリになっている
定期的に課題を設定している企業や動物病院が見られます。それ自体は悪いことではありませんが、どこかマンネリになってはいませんか？毎回同じような目標ではモチベーションの低下を招くものです。画一的な目標にならないように、ときにはスタッフ同士でペアを組ませ、お互いの課題を考え合ってみると課題設定が斬新になります。
④課題が優等生的過ぎる
これも課題のマンネリ化に近いものですが、「毎日院内の掃除をする」「毎月定例ミーティングを行う」など、無難で優等生的な課題は人の心に残りません。そのうち課題が形骸化してしまう可能性もゼロではないでしょう。たまには「〇〇の在庫をゼロにする」「クレームゼロの日を30日間連続させる」など、攻めた課題を設定してみてもいいかもしれません。
課題設定力を高める方法
現状を把握・分析し、適切な問題を設定できる能力を「課題設定力」とし、その能力を高める方法をここでは紹介します。
1.ゼロベース思考を持つ
まずは前提や思い込み、主観をすべてゼロにする、「ゼロベース思考」を意識しましょう。主観を交えるとどうしても自分本位な課題や、ありきたりな課題を設定するようになってしまいます。それもゼロベース思考を身に付けることによって本来の課題からずれることなく、目的に戻って適切な課題を設定できるようになるはずです。
2.クリティカルシンキングを意識する
クリティカルシンキングとは、意識的に自分の考えを批判的に見る思考法です。この方法を意識することによって、自分の思考の癖に気づくことができるでしょう。主観をまったく排除するのは難しいものですが、まずは自分の考えに主観が入っていないかどうかを考え、ときには他のスタッフに意見を仰ぐと良いでしょう。
3.現状を正しく把握する
適切な課題を設定できるようにするためには、まず現状を正しく把握しなければなりません。そのためには売上や利益、顧客数などを数字で表し、把握することです。そしてその数字をもとに目標値を設定しなければなりません。主観に走った目標設定は良くないと前述しましたが、数字という客観的な事実を目にすることによって、現実的かつ適切な課題を設定できるようになるでしょう。
4.理想的な自分たちの未来を想像する
理想の未来を描くことによって、その未来に向かって努力しようと思えるモチベーションが湧いてくるはずです。現実的な課題設定も大切ですが、それだけでは前向きに取り組めないことがあります。まずはスタッフ同士で理想的な動物病院の姿を共有し、そのために必要な課題を洗い出してみましょう。
課題設定力を高めることによって、自分達の中にある迷いを捨て去り、本当にすべきことに集中できるようになります。さらに目標を適切に定めることによって、施策の成功確率を上げることができます。
