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動物病院の年間の売上高は、「客数×客単価×購入頻度」で計算することができます。「そんなこと、誰でも知っているよ」と思う人もいるでしょう。しかし、客数、客単価、そして購入頻度のどれかひとつだけでも0であれば、売上は0になってしまうのです。

逆に、どれかひとつが低くても、他のふたつで補えば、十分な売上高を出せるといえるでしょう。そこで今回は、「客数×客単価×購入頻度」の計算式をもとに、十分な売上高を出す方法を考えていきましょう。

動物病院であれば客単価と購入頻度に注目すべき

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動物病院は、スーパーマーケットやドラッグストアのような、日常的に通う施設ではありません。ペットが元気であれば、足を運ばなくなる飼い主さんが一般的です。「ちょっと覗いてみようかな」と思われる場所でもありませんよね。それでも、キャンペーンの打ち出し方次第で、飼い主さんが来る頻度はある程度上げられます。

 

そのため、相当な投資を必要とする客数アップよりも、まずは客単価と購入頻度に注力すべきだと考えます。たとえ新規客の伸びが少なくても、それをカバーするくらいしっかりと商品やサービスを購入してもらうことで、十分な売り上げを期待できるはずです。その部分をしっかり作りこんだうえで、客数をアップするためにはどのような工夫をしたら良いのか考えます。

客単価はサービスや治療内容に見合ったものを

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意外と難しいのが、客単価の設定です。低すぎるといつまでたっても売上が伸びていきませんし、反対に高すぎると顧客離れを起こしてしまう可能性があります。また、サービスや商品の質と価格のバランスが取れていなければ、途端に信用を失ってしまいます。特に動物病院はなかなか値上げしにくいため、無理に診療内容の単価を上げる必要はないと考えます。それよりも、飼い主さんが来院したら、診療サービス以外のプラスアルファを提案してみてはいかがでしょうか。

 

例えば、ペットのシャンプーやサプリが定番でおすすめです。特にリピーターの患者さんは、自分の動物病院を信頼してくれていて、「先生がおすすめするなら、一回試してみようかしら」と思うかもしれません。決して無理をせずに、コツコツと客単価を上げる努力するのがコツです。私は予算に余裕のある飼い主さんには、より積極的に声をかけるようにしています。

 

また、シャンプーを勧めるときにはトリートメントを、サプリメントをおすすめするときには一緒に食べやすいペットフードなどを一緒に勧めてみましょう。「クロスセル」「ついで買い」と呼ばれるこの方法を用いることによって、客単価を上げやすくなります。

予防接種は 来院回数を増やす絶好のチャンス

前述の通り、動物病院への来院回数はある程度決まっています。ペットの体調が悪くなったとき以外だと、予防接種の時期は来院者が増えるシーズンです。種類によっても異なりますが、犬の場合は一年に何回か注射を打つ必要がありますよね。その時期は、キャンペーンを行う絶好のタイミングです。必ず来院してもらえるように、私が経営する動物病院ではお得な「予防セットチケット」を販売しています。これは、3回分の予防が1セットになっていて、初回に3回分を購入すると、次回の予防料金が3割引になるというものです。事前購入制度であるため、よほどのことがない限り、飼い主さんは来院してくれます。実際、このチケットは大成功をおさめていて、当動物病院では何年も続けています。セット販売のコツについては、以下の記事で触れています。

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イベントの開催で購入頻度を増やそう

こちらから待っているばかりでは、飼い主さんは来院しないばかりか、他の動物病院に移ってしまう可能性があります。「ペットが病気になったときでなければ利用してもらえない」という状況を打破するためには、意図的にイベントを開催してみてはいかがでしょうか。

例えば、懇意にしてくださっている飼い主さんだけを招待するイベントを企画すれば、特別感を覚える人が多いはずです。動物病院への忌憚ない意見をいただく座談会を実施すれば、あなたの病院の客観的な評価を得られて一石二鳥です。

動物病院のおすすめのイベントについては、以下の記事をぜひ参考にしてください。

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新規とリピーターのバランスを取りながら客数アップを

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客数を増やそうと考えたとき、多くの営業担当者や経営者は、まず新規の顧客獲得方法を考えます。 前回のブログで、「新規顧客獲得にかかるコストは、リピーター獲得にかかるコストの5倍」と紹介しましたが、そのことを理解していない方がまだまだ多いようです。

以前私が読んだことがある、ダイヤモンド社発行の『売上の8割を占める優良顧客を逃さない方法:利益を伸ばすリテンションマーケティング入門』(大坂祐希枝)によると、新規顧客獲得に重点を置いている企業は44%。それに対し、リテール(=既存顧客)の獲得に重点をおいている企業はわずか18%と書かれていました。

いかに日本企業が新規開拓営業に力を入れているのかが分かりますね。前回で詳しく説明しましたのでここでは端折りますが、リピーターの獲得も非常に重要です。定期的にリピーター向けのDMを送ったり、キャンペーンを打ち出したりして、リピーター獲得に努めましょう。一般的にリピーター率が6~7割程度になると収益が安定すると言われています。以下の記事を参考に、顧客リストを見直すのも有効です。

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関連記事:リテンション・マーケティングで1年以上音沙汰のない飼い主さんに声をかけよう

その一方で、新規顧客の獲得もやはり重要です。紹介キャンペーンや新規顧客限定の割引セールを打ち出すと、新しい飼い主さんが来院してくれるかもしれません。このように新規とリピーターのバランスをとりながら、客数アップに努めましょう。 

また、DMやチラシ以外の手段で言うと、最近はSNSを活用して宣伝する動物病院も増えてきています。アカウント自体はTwitterでも、Instagramでも簡単に作れますので、動物病院専用のアカウントを作って、スタッフと分担しながら投稿してみると、認知度が高まっていくでしょう。

 

客数と客単価、購入頻度のどこが弱いのかを、まずは考えてみることが重要です。動物病院によって、「ここは得意だけど、ここはイマイチ数字が伸びない」など、強みと弱みがわかってきます。弱点の原因を把握し、改善策を練ることで、おのずと売上高が伸びていくでしょう。スタッフと話し合いつつ、売上高を伸ばす施策をぜひ一度考えてみてください。

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