自分の動物病院の認知度を上げたいと、広告出稿を計画する人は少なくありません。しかし、ただ広告を出せば来院者が増えるというわけではありません。
インターネット上には情報が溢れ、消費者の行動は複雑化しています。広告を見た人がすぐにアクションを起こすとは限らず、多くの病院と比較検討を重ねた末に、ようやく来院を決めるのが現状です。
限られた予算を無駄にしないためには、消費者の心を確実に動かす、戦略的な広告づくりが求められます。今回は、広告を出稿してから来院・予約につなげるまでの導線づくりにおいて、特に重要なポイントをお伝えします。
購入に至るまでに存在する関門とは
どんなに高い効果を期待できる商品であっても、金額が高すぎれば、購入を躊躇してしまうものですよね。また、機能性には惹かれるけど、デザインに魅力がなく、他社の商品が選ばれてしまうということも。どのような業界においても、購入に至るまでの関門はつきものです。
動物病院の場合はいかがでしょうか。来院者が増えない、商品が売れないという場合、どこに原因があるのか、考えてみたことはありますか?それを理解できていないのに広告を企画しても、的外れなものになってしまいます。なぜ思うような利益を上げられないのか、まずは理由を徹底的に考えましょう。
主な要素は以下の5つです。
- アクセスが悪い
- 料金設定が他の動物病院に比べて高い
- スタッフの接客態度や技術・知識量が他院に比べて劣る
- 外装や内装が古かったり、汚れていたりして清潔感がない
- 設備が古かったり、少なかったりする
このようにさまざまな関門となる課題があります。もし、今自分の動物病院の課題を可視化できないのであれば、一度動物病院の口コミサイトやGoogleレビューを参考にしていただくことをおすすめします。自分の動物病院の客観的な評価がわかるはずです。なかには耳が痛いものや、感情的に書かれていて参考にならないものもありますが、突破すべき関門のヒントをいくつか見つけられます。
なお、Web広告を出稿する際、購入導線を作るヒントについては、以下の記事で触れています。まずはこちらをお読みください。
関連記事:Web広告のボタンは”シンプル”がコツ!行動に導く設置方法を紹介
まずは広告の役割を理解しよう
多くの人は、「広告=来院・予約につなげるもの」と考えがちですが、現代のデジタルマーケティングでは、広告には複数の役割があります。
- 認知:そもそも動物病院の存在を知ってもらう
- 関心・興味:サービスや専門性に関心を持ってもらう
- 比較・検討:他院と比較する際に、あなたの病院の強みを理解してもらう
- 来院・予約:最終的な行動(来院、予約、問い合わせ)につなげる
それぞれのフェーズで最適な広告の種類やコンテンツが異なります。
たとえば、まだ病院の存在を知らない潜在層には、YouTubeやInstagramの動画広告で、病院の雰囲気やスタッフの温かさを伝えるのが効果的です。一方、すでに「ペットの歯周病治療」といった具体的なキーワードで探している顕在層には、リスティング広告で専門性や実績をアピールすることが有効です。
関門を見つけたら対策を考える
自分の動物病院の課題(関門)が把握できたら、それをどのように広告に反映させるかを考えてみましょう。おすすめの2つの方法を紹介します。
課題を解決する魅力を提示する
もし料金設定が課題だとわかれば、「初めてのご来院限定!健康診断キャンペーン」などのお得なプランを企画して広告に盛り込みましょう。
また、広告は欠点を魅力に変えることもできます。たとえば、建物が古いという課題は、「地域に根差して50年。経験豊富なベテラン獣医師が対応します」といった表現で、長年の実績と信頼に変えることができます。デメリットをあえて逆手にとってメリットとして打ち出すことで、見た人の印象は大きく変わります。
来院前の「小さな行動」を促す
広告を見た人がすぐに来院を決めるのは難しいものです。そのため、いきなり「予約」や「来院」を求めるのではなく、その手前にある「マイクロコンバージョン」を設定しましょう。以下に例を3つほど紹介します。
- 「獣医師が教える!ペットの歯磨き方法」といったお役立ち情報のダウンロード
- 「当院の獣医師にLINEで無料相談」といったLINE公式アカウントへの登録
- 「どんな雰囲気?院内ツアー動画」の視聴
これらの小さな行動を促すことで、潜在顧客との接点を増やし、時間をかけて信頼関係を築くことができるようになります。特に、LINEやメールで継続的に情報を提供することで、来院を検討してもらうきっかけを作れるでしょう。
購入導線を作るヒントについては、以下の記事でも紹介していますので、ぜひ一度目を通してみてください。
関連記事:広告では飼い主さんの行動を喚起する導線を設置しよう
広告を出稿したら必ず効果測定をする
広告を出稿したら、必ず効果を測定し、改善を繰り返しましょう。一度で完璧な広告を作ることは不可能です。プロの広告代理店でさえ、何度も試行錯誤を繰り返しています。
最低でも半年間は広告を出稿し続け、「どの広告が最もクリックされたか」「どの広告から予約につながったか」などを分析しましょう。Webサイトのアクセス解析ツール(Google Analyticsなど)や、広告媒体の管理画面を活用することで、詳細なデータを得ることができます。
効果が低いと判断した場合は、キャッチコピーを変えたり、写真を変えたり、広告を出す時間帯を変えたりするなど、さまざまな要素を少しずつ調整して再度テストします。このようにPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回すことで、より効果的な広告へと洗練させていくことができるのです。
また、効果測定から広告の改善方法を考える大切さについては以下の記事で触れていますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:広告出稿は一度で終わらせない!効果測定でベストな広告を探ろう
購入というゴールに行き着くのは想像以上に大変なことで、広告出稿時には数多くのトライ&エラーが求められます。しかし、一度コツがわかれば広告を出稿しやすくなり、来院者数の増加に伴って、動物病院の活性化を期待できるでしょう。これから広告を作成する方は、ぜひ参考にしてください。
効果的な広告を作るコツについては、以下の記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。