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みなさんは、「沈没船ジョーク」と呼ばれる有名なブラックジョークをご存知でしょうか。

知らない方のために説明しますと…

「世界各国の人が乗った豪華客船が沈没することになりました。乗客は海に飛び込まなければなりませんが、なかなか勇気が出ないようです。そんな時に、船長はなんと声をかけなければならないのでしょうか。

アメリカ人であれば「飛び込めばヒーローになれますよ」

イギリス人であれば「紳士たるもの、こういうときには飛び込むものです」

ドイツ人には「飛び込む規則になっています」

 

…そして日本人には、

「みんな飛び込んでいますよ」

というものです。

なるほど、確かに日本人の特性をついている、上手いジョークだなと思います。

このジョークからもわかるように、日本人は周りに合わせて動き、未知の体験へ一歩踏み出すことにためらいを覚える人種であるといえます。

セールス時にも同じことが言えます。これまでまったくなじみがなかった商品や新商品に対して、慎重になる飼い主さんは少なくありません。しかし、相手の心情の変化を待っていては、いつまでたっても動物病院の売上は伸びていきません。そこで背中を押してあげるのが、獣医師の役割です。

ここでは、未経験のことへ飼い主さんを上手に誘い、「よかった」と思ってもらえる方法を説明していきます。

未来を想起させるセールスマンは強い

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たとえば、ドッグフードを販売するとき。「このドッグフードは、ワンちゃんの食いつきがいいと評判ですよ」だけでは、セールストークとして少し弱いような気がします。ドッグフードの品質は年々高まっていて、ワンちゃんがまったく口にしないドッグフードはもはや希少だと言えるからです。「今のドッグフードで満足している」「新しいものにチャレンジして、失敗したらもったいない」と考える飼い主さんも多いでしょう。

「購入したことはないけれど、この商品を使うことで、自分のペットが良い方向に向かってくれそう」と思わせるためには、まずその飼い主さんのペットが抱える課題を的確に見抜き、最適な商品・サービスを提供することが重要です。

もし、栄養が偏っているワンちゃんであれば、栄養価の高いドッグフードを提案し、

「このドッグフードに変えることで食いつきが良くなるだけではなく、不足しがちな栄養もばっちり補えて、ワンちゃんも元気になれる。そうなれば頻繁に動物病院に通う必要もなくなって、自分にも時間的・経済的な余裕が生まれる」など、具体的な未来を想起させます。ややオーバーであっても、未知の体験に足を踏み込んでもらうためには、これくらいアピールすることをおすすめします。もちろん、誇大広告にはならないように注意をしてください。

飼い主さんの悩みを見抜くためには

 

飼い主さんに未来を見せるためには、飼い主さんやそのペットのことをよく知り、現在抱えている課題を把握しなければなりません。まったくワンちゃんの健康で悩んでいないのに、栄養満点のドッグフードを勧めても、あまり飼い主さんの心には響かないでしょう。「我が家のワンちゃんのことを理解していない…」と捉えられてしまうおそれがあります。

ワンちゃんの体調には悩んでいなくても、体臭が強くて悩んでいるかもしれませんし、吠え癖に困っている可能性もあります。飼い主さんの悩みもペットによって大きく異なるため、診療中にはペットや飼い主さんとしっかり向き合って、悩みを的確に把握しましょう。

商品・サービスは飼い主さんの悩みに合わせて見直そう

man and woman holding hands

どんなに飼い主さんやそのペットのことを理解しているつもりでも、悩みを解決できる商品・サービスの取り扱いがなければ意味はありません。診療サービスやトリミングサービス、またシャンプー・トリートメントといった商品の内容をまったく変えない動物病院は多いものですが、これは少々怠慢ではないでしょうか。時代や客層に合わせて、求められるサービスや商品は変わっていくものです。これは動物病院に限った話ではありません。

コロナ禍以降、ペットを飼う人は急増していると聞きます。しかし、「初めてペットを飼ってみたものの、上手な飼い方がわからない」「ペットの体調が悪そうだけど、原因がまったく見当つかない」という人もいるはずです。ペットの飼育初心者の助けになるようなサービスが今後は求められていくかもしれませんね。

こういった時代の流れに合わせて、魅力的な新商品やサービスの採用、また仕入れの見直しが、生き生きとした動物病院をつくるのではないか、と考えています。

動物病院は動物のことを理解していて当たり前、と飼い主さんは考えているものです。そこで定番の商品・サービスを提案するだけではなく、プラスアルファの情報を提供できる獣医師を目指したいものです。保守的な飼い主さんの心に寄り添って、背中を押してあげられるような動物病院は、きっと長きにわたって愛される存在となるでしょう。

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