「ビジネスで大成功を収めるためにはチャレンジ精神を持つことが大切」ということはこれまで何度も言われてきました。
それにも関わらず、新しい試みを積極的に取り入れたり、大胆な施策を打ったりする人はさほど多くはありません。
その原因を考えてみると、「恥」という概念の存在が大きいのではないでしょうか。
「失敗して恥をかきたくない」という気持ちは誰もが持っているものですが、恥を怖れてばかりいると新しい取り組みにいつまで経ってもチャレンジできません。
現状維持に努めた結果、気が付いたら時代の流れに取り残されてしまっていた…ということがないように、チャレンジ精神を持つことの大切さと恥を怖れないコツを考えてみたいと思います。
「恥=失敗体験」はビジネスに必要不可欠
恥をかくことを「悪」と捉える人は多いですが、私は決してそうは思いません。もちろん基本的なマナーや社会人としてのルールを知らずに恥をかくことは極力なくしたいものですが、新しいことにチャレンジして失敗することは全く恥ずかしくないのです。
失敗すれば時間なりお金なりの損失が発生するでしょうし、仕事への自信を喪失してしまうこともあるでしょう。しかし、失うものばかりではありません。恥を味わったことと引き換えに、何かしらの反省や教訓が得られるはずです。自分自身が身をもって体験したことで得た情報は、本やネット、人から聞いた情報よりもずっと記憶に残るでしょう。「恥をかくのは恥ずかしい」という気持ちがあるからこそ、「次は失敗しないようにどうすべきか」ということを真剣に考えるはずです。この経験は間違いなくあなたにとってのステップアップとなるでしょう。
問題であるのは、失敗を失敗と自覚しないこと。恥を恥と認識せずに新しいチャレンジばかりしていても、同じ失敗を繰り返すだけです。それでは恥や失敗をどのように今後に生かしていけば良いのでしょうか。
恥をかいた後にはKPT法で反省しよう
前述の通り、恥をかくこと自体は悪いことではありませんが、反省をしないことには成長は望めません。反省をするときにはただ「これから気を付けよう」と思うのではなく、しっかりと失敗に向き合う必要があります。
失敗の向き合い方としては「KPT法」の活用がおすすめです。KPT法とは
K:Keep(維持)
P:Problem(問題点)
T:Try(これから取り組みたいこと)
の頭文字を取ったもので、それぞれの項目を整理することで、これから進む道を決められるというものです。
例を挙げて説明しましょう。あなたが新しいペット用のシャンプーを発売した場合、KPTの考え方は以下の通りになります。
K:飼い主さんに購入してもらいやすいように、シャンプーの効果や使い方などをわかりやすく説明した。
P:来院してくれた飼い主さんにしか商品PRをしなかったため、売上がさほど上がらなかった。
T:より多くの飼い主さんに商品の存在を知ってもらえるように、次からはダイレクトメールやチラシを使って大々的に商品をアピールする。キャンペーンも実施する。
このように課題や反省点を紙に書き出すなどして明確化すると、改善されやすくなります。何度も繰り返しますが、失敗自体は決して悪いことではありません。しかし、反省点を次に生かせないのはなんとも残念なことです。恥をかくのが嫌で失敗を失敗と認めない人も多くいますが、私はそれ自体が恥だと考えます。これと言って大きな失敗はなくても、小さな失敗や現状の課題を見つけ出したらすぐに反省する習慣を身に付けましょう。
チャレンジ精神を育むためのポイント
どうしても失敗が怖くて、一歩踏み出す勇気が出ないという人でも、取り組み方や気持ちの持ち方次第でチャレンジ精神を大いに育んでいくことができます。ここではチャレンジ精神の育み方を紹介します。
新しい取り組みは身内から始める
例えば新しい診療サービスを始める場合、まずは何度もあなたの動物病院に足を運んでくださるリピーターの飼い主さんから勧めてみてください。その結果、評判が良ければ新規の飼い主さんにも声掛けをするようにしましょう。気心の知れた飼い主さんは正直な感想を伝えてくれる存在であるため、反応を見て今後の展開を決めることができます。評判がイマイチなサービスでも、最小限の失敗に留められるのです。
小さな成功体験を積み重ねていく
チャレンジ精神がない人は、自己肯定感が低い傾向にあります。成功した経験が少ないために、新しいことにも消極的になってしまうのです。そのような人がいきなり無理難題にチャレンジしても、失敗したときに大きなショックを受けてしまうでしょう。そのようなことがないように、まずはひとつひとつ成功体験を積み重ねていく必要があります。「今月は前月比110%の飼い主さん獲得を目指す」「新商品を今週中に10個売る」など、小さな成功体験を設定・達成していくことで、少しずつ大きなことにもチャレンジできるようになります。
「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」ということわざのように、恥をかくのはほんの一瞬のことです。その一瞬のために大きなビジネスチャンスを逃してしまうのは大変もったいないものですよね。今回紹介したコツを参考に、チャレンジ精神を育んでいきましょう。