パワハラやセクハラなど、職場のハラスメントが問題になることが多い現代は、スタッフを叱るよりも褒めて成長を促すほうが効果的です。
効果的にスタッフを褒めることが、動物病院という組織に多くの利点をもたらします。
今回は動物病院のスタッフをあなたが褒める大切さについてお話したいと思います。
経営者がスタッフを褒めるべき理由
動物病院の経営者であるあなた自身がスタッフを褒めることには、大きな意味があります。まずはスタッフを褒めたほうが良い理由について見ていきましょう。
スタッフのモチベーション向上のため
スタッフは経営者であり、上司であるあなたから直接褒められることによって、自分の仕事に対する自信と高いモチベーションを持てるようになります。仕事に対する積極的な姿勢を維持できるように、定期的な感謝と褒め言葉を忘れないようにしましょう。それが目標に向かって努力する刺激となるはずです。
仕事へのコミットメント向上のため
自分の仕事が評価されることで、スタッフは仕事に対して誇りを持つようになり、組織に対するコミットメントも高まります。自分の職場に対して愛着が湧くようになれば、離職率の低下にもつなげられます。
経営者であるあなたのリーダーシップを高めるため
経営者であり、動物病院のリーダーであるあなた自身がスタッフを褒めることによって、上司・部下間の信頼感を築けるようになります。リーダーシップと信頼性は優秀な経営者に欠かせない要素です。「褒める」というコミュニケーションをスタッフと取ることによって円満な関係が築かれ、動物病院全体にも穏やかな雰囲気が漂うようになります。
創造性とイノベーションを促進するため
あなたが褒めることでスタッフが自信を持つようになれば、自分のアイデアや提案を積極的に出すようになります。それに対して肯定的なフィードバックをしてあげると、スタッフはより前向きになって、画期的なアイデアを提案してくれるようになります。
動物病院全体の雰囲気を明るくするため
褒められて嫌な気分になる人はそうはいません。特に経営者であり、上司でもあるあなたからの褒め言葉は、スタッフの心に大きく響くものです。スタッフがストレスを抱えたり、失敗してしまったりしたときには、フォローとしてその人の良いところを褒めるのも良いでしょう。スタッフ一人ひとりが前向きな気持ちになることで、動物病院全体が明るい雰囲気になります。
スタッフを褒めることでポジティブな職場環境が醸成され、生産性や従業員の幸福感が各段に向上していきます。
スタッフを褒める前に気を付けたいポイント
スタッフへの褒め言葉の声掛けにはさまざまなメリットがありますが、闇雲に褒めれば良いわけではありません。言葉の選び方や褒め方によっては、かえってスタッフの気分を害してしまうことがあるのです。ここからは褒めるときに気を付けたいポイントを4つ紹介します。
スタッフが不適切な行動を取ったとき
スタッフがあなたの思惑とは異なる行動を取ったり、こちらが望むような成果を出せなかったりするときに、フォローのつもりで褒め言葉を投げかける方がいます。個人的にはこの行動には賛同できません。
結果を出せていないのに褒めることで、かえって誤解を生んだり、余計な自信を植え付けてしまったりする可能性があります。褒め言葉を使わない代わりにフィードバックを提供し、再チャレンジの機会を与えると、あなたの配慮が伝わるでしょう。
他の従業員と比較して褒めるのはNG
特定のスタッフを褒めるときに、他のスタッフをけなすのは絶対にやめましょう。各スタッフには個別の役割があり、一概に比較できるものではありません。けなされたスタッフは間違いなく不快な気持ちになりますし、褒められたスタッフとの関係がギクシャクする可能性もあります。
ただ、スタッフの見習うべき言動を院内で共有することは悪いことではありません。朝礼やミーティングの際には積極的に人前で褒めましょう。
褒め言葉の選び方には注意しよう
褒め言葉に不適切な表現が含まれている場合、褒められたスタッフがかえって不快に感じることがあります。褒める対象の性格や価値観を考慮し、適切な言葉選びを心がけるようにしてください。特に容姿やプライベートへの言及はセクハラとみなされるおそれがあるため、要注意です。
過剰な褒め言葉や過度な賞賛はトラブルの元
頻繁に褒めると、かえって褒め言葉が安っぽく感じられるようになります。「褒められて当然」と思われるようになると、褒め言葉のありがたみが薄くなってしまいます。
ポジティブなフィードバックは重要ですが、状況やスタッフの個性に合わせて、適切なタイミングと方法で行うことが大切です。今回紹介した注意点を参考に、褒め言葉を考えるようにしてください。あなたの誠意が伝わる褒め言葉は、スタッフのモチベーションを確実に高めてくれます。