動物病院を経営していく上では、時として新しい戦略を考えなければなりません。
目まぐるしく時代が移り変わる昨今にあって、いつまでも同じ施策を打っていては目新しさがなく、顧客離れを起こしてしまうためです。
しかし、流行に流されて次々と新しい施策を打ち出しては意味がないこともあります。
今回は施策を打ち出す時に押さえておきたい心構えと、自分の強みの確認方法についてお話ししたいと思います。
トレンドにのった戦略は時代遅れ
かつては動物病院でも、ひとつの診療や商品が流行れば、こぞって他の動物病院もそれを取り入れ、飼い主さんの取り合いをしていました。しかし、今はその戦略自体が時代遅れであるような気がしてなりません。ご存知の通り、インターネット上に情報があふれている昨今、トレンドの移り変わりはどんどんスピード感を増しています。今の時代、流行を後追いしようと思って新商品を打ち出しても、その時にはすでに流行遅れになってしまっているということも。また、流行にあわせて次から次へと戦略を変える動物病院は一貫性がなく、信頼性に欠けるところがあります。
「あの動物病院、前はこれがいいと言っていたのに、今度は全然違うこと言い出した」などと飼い主さんから指摘を受けることがないように、ブレない経営方針を打ち出すのが吉です。今はナンバーワンよりもオンリーワンの時代です。自分の動物病院にしかできない戦略を考えてみてはいかがでしょうか。
自分の動物病院の強みの見つけ方
自分の動物病院であっても、意外と実態を見えていないことが多いものです。自分の動物病院だからこそ、距離が近すぎて見えなくなるのかもしれませんね。しかし、経営者本人が動物病院の実態を把握できていなければ、いずれ経営にも行き詰ります。これから動物病院の施策を打ち出す際には、まず自分の動物病院の強みから考えてみると良いでしょう。
スタッフミーティングで内部からの情報を得る
最も手っ取り早いのは、自分の動物病院のスタッフから強みを教えてもらうところです。
内部のスタッフは、日常的に院内の奥深くにまで関わっているため、すぐに意見が出てくるでしょう。この時に大切なのは、強みだけではなく弱みや課題点も合わせて聞くことです。強みを活かした戦略や、反対に弱みをカバーする施策を思いつくかもしれません。
飼い主さんからアンケートをとる
これも非常に有効かつ簡単な施策です。自分たちスタッフが良いと思っていることが、患者さんの目から見れば欠点かもしれませんし、逆もありえます。自分の動物病院の思わぬ強みに気付けたら、それを強化していくと良いでしょう。Googleレビューなどで、評価を確認してみるのも有効な方法です。
効果測定をしてチェックする
飼い主さんやスタッフからリアルな意見を聞くことも重要です。しかし、資金面の強みや弱み、また広告が生み出す効果などは、実際に数字にしなければ可視化できません。BLやPLをチェックして、利益率の高いサービスや、ニーズの高い商品を把握しましょう。
極端に売上が低い商品や、儲からないのにランニングコストばかりかかる設備があれば、思い切って切るのもありです。「せっかく時間をかけて開発したのに」と思われるかもしれませんが、ビジネスの新しい施策に痛みはつきものです。切り捨てたことで生まれた資金を新しい戦略に回すと、また新しいビジネスの創出につながります。
強みを把握できたら新しいプランを考えよう
自分の動物病院の強みはどこにありましたか。資金力かもしれませんし、接客サービスの良さにあるかもしれません。新商品にあるかもしれませんね。強みを理解できたら、それを最大限に活かせる戦略を練りましょう。
例えばオリジナルシャンプーの販売に定評があるのであれば、在庫数を増やしたり、キャンペーンを開催したりして、より多くの人の手にとってもらえる工夫をしてみてください。さらに売り上げが上がっていくかもしれません。また、接客に定評があれば、そのことをスタッフと共有し、さらに喜んでもらえる接客体制を整えます。
人は苦手なところに対してはなかなか改善できないものですし、モチベーションも上がりにくいものです。しかし、それが得意なことであれば、どんどん伸ばしていこうと自発的に努力するようになります。その結果良い循環を生み出して、さらなる高い効果を生み出せるようになります。
どんなに良いと感じる施策でも、欠点はつきものです。「自分たちはこの点が強みだからずっとこのままで大丈夫」と安心するのではなく、定期的に見直して、欠点があれば改善しましょう。また、時代に合わなくなってきたり、客層が変わってきたりしたら、戦略の見直し時期です。強みは時代やスタッフに合わせて変わっていくものですので、定期的に見直すようにしてください。