前回までのブログでは、動物病院内で行う会議のコツについて紹介してきました。
実際に会議を開くとなれば、発言者がプレゼンを行う機会も多いでしょう。
このプレゼンを苦手とする人は非常に多く、せっかくきれいにまとめた資料が何の意味もなさなくなってしまうことがあるほどです。「プレゼンが得意」という人のほうが少ないかもしれませんね。
しかし、ちょっとしたコツを身につけるだけで、あなたやあなたの動物病院のスタッフのプレゼン能力は劇的に向上します。
今回からはプレゼンのルールシリーズとして、いくつかのポイントを紹介します。
動物病院内の会議や獣医師学会など、さまざまなシーンで役立つでしょう。ぜひ参考にしてください。
プレゼンは言語以外の要素が非常に重要
まず知っておいていただきたいのは、プレゼンではパッと見の印象(視覚情報)や声のトーンや速さ(聴覚情報)が、ものをいうということです。
見た目の印象というのは、容姿や服装だけではありません。表情や姿勢そして立ち居振る舞いすべてです。以前このブログでも紹介した「メラビアンの法則」によると、人の印象の約6割は視覚情報、約3割は聴覚情報で決まります。この法則で言えば、話す内容はわずか1割しか重視されていないということになりますね。
プレゼン資料を一生懸命作るのはもちろん大切なことですが、まずは自分自身の立ち居振る舞いや話し方を見直しましょう。ちょっとした点に気を配るだけで、あなたのプレゼン能力は大きく変わるはずです。
プレゼンは「立ってやる」が基本!
いくら視覚情報や聴覚情報が大切といっても、そう簡単にすべての欠点を直せるわけではありません。大勢の前でのプレゼン時は、緊張してつい早口になってしまったり、表情がぎこちなくなってしまったりしても不思議ではありません。こういった短所は、気にすれば気にするほどおかしくなってしまうものです。
それならば、まずは簡単に直せるところから直していきましょう。私がもっとも意識しているのは、「プレゼンを必ず立ってする」ということです。気心知れた自分の動物病院での会議では、座ったまま発表するスタッフが少なくありません。しかし、座ると人はどうしてもリラックスしてしまい、声に張りがなくなりがちです。張りのない声は参加者にも届きません。
それも立ってプレゼンをすることで緊張感が出て、大きな声を出せるようになります。また、立つことのメリットはこれだけではありません。自分だけが立っていることで、周りに自分の表情をよく見せることができ、気持ちが伝わりやすくなります。ジェスチャーを交えることで、より想いが伝わりやすくなるでしょう。
資料を指差しする時にも、どこを読んでいるのかがわかりやすくなります。プレゼンターも話を聞いている相手の反応を確認できるため、その場でフォローしやすくなるはずです。絶対にプレゼンは立ってするようにしましょう。これはあなただけではなく、他のスタッフも同様です。
立つときの姿勢を見直そう
ただ立ってプレゼンをすれば良いわけではありません。猫背で人に背を向けて話す人は、自信がなさそうに見えますよね。これでは立ってプレゼンを行う意味がありません。
理想的なプレゼン中の姿勢とは、壁と背中が平行になるようなまっすぐな姿勢です。プレゼンの前には壁にかかととお尻、肩、後頭部をつけて、姿勢を確認しましょう。一歩前に出てその姿勢を記憶したら、プレゼン中にもこの姿勢を崩さないように心掛け、時々は意識するようにしてください。
また、プレゼン中に腕をぶらぶらさせる人がいますが、これは褒められた姿勢ではありません。手に資料を持っていない時には、パンツの縫い目に沿う位置に置くようにすると胸を張った状態になり、自信がありそうな印象を与えられます。背中と腕の位置は特に気をつけておきたいポイントです。
目線も重要なポイントです。相手に背を向けて話すと気持ちが全く伝わりませんので、必ず参加者のほうを見て話しましょう。パワーポイントなどの資料を見ながら話す時にも、体だけは参加者のほうに向けてください。目線が泳いでいると落ち着きのない印象になりますので、一点に集中しましょう。緊張する場合は、少し遠くを見つめながら話しても問題はありません。
落ち着きがない時に現れやすいクセにも要注意です。やたらと時計やベルトなどの小物を触ったり、頭や鼻、髪に触れたりするのは動揺している証拠とみなされます。片足に重心をかけた姿勢も不安定な印象になるためNGです。
クセはそう簡単に直るものではありませんが、今回指摘したポイントだけでもぜひ意識してみてください。プレゼンを立ってすることで堂々とした印象になり、自分自身にも多少自信がつくはずです。大勢の前で話す予行演習として、まずはあなたの動物病院内の会議で立って話してみると良いかもしれません。