どんなに優れた人であっても、失敗をしたことがないという人はいません。仕事でもプライベートでもミスはつきものです。そんな失敗には、ちょっとしたケアレスミスから、大問題に発展しかねないトラブルまでさまざまですが、重要なのは失敗した時のマインドの持ち方だと私は考えています。ミスを正面から認め、適切な対処をして二度と繰り返さないように心がけていれば、大きな失敗も乗り越えられるはずです。反対に、小さなミスだからといってまったく反省しないで放置していると、ミスが日常的になり、いつか大事故を引き起こしかねません。失敗を繰り返さないようにするためには、ミスを認める姿勢が何よりも大切です。今回は失敗と向き合う方法についてお話ししたいと思います。
まずは失敗と向き合ってみよう
「失敗を人のせいにしてはいけない」という言葉を、誰しも一度は聞いたことがあるかと思います。両親や教師から言われたことがあるという人も多いでしょう。しかし、実際にすべての失敗を、自分の責任として受け止められている人はそう多くありません。
誰だって自分がかわいいものですし、責任を負いたくないと思うのはごく自然な感情です。しかし、間違いを認めずに言い訳や責任転嫁ばかりしていると、また同じミスを繰り返すことになります。そればかりではなく、周りからの信頼を失い、飼い主さんが離反したり、スタッフが辞めたりといった事態を引き起こすことも。
動物病院の経営者は、言ってみればその病院の顔です。その人物が人間的に尊敬できる人でなければ、飼い主さんもスタッフも離れていってしまいます。職場のコミュニケーションの改善や、新規顧客獲得のためにも、失敗と向き合う真摯な姿勢を改めて見直してみましょう。
思うようにいかなくて自信を失いかけている方、解決策を見つけられない方は以下の記事を読んでみてください。
プライドが高い人や優柔不断な人は要注意
失敗を人のせいにばかりする人には、いくつかの特徴があります。
- プライドが高い人
- 怒りっぽく、すぐに反論する人
- 責任力や決断力がない人
こういった人は、自分のミスを認めずに、人のせいにする傾向があります。人の上に立つ経営者は、仕事にプライドを持っている人がほとんどです。それ自体は悪いことではありませんが、時にはミスを認める潔さも必要です。「なんだか最近独りよがりになっている」と感じるようであれば、一度冷静になって物事に取り組んでみてください。仕事面の振り返りはとても重要であることは、以下の記事でも解説していますよ。
自分を責めすぎるのも問題
自分の失敗を人のせいにするのは、決して褒められたことではありません。しかし、そうかといって、自分を責めすぎるのも考えものです。最近はうつ病に悩まされる人が増えていますが、メンタルをやられてしまう人の多くは自己肯定感が低く、何でも自分を責める傾向にあると感じています。ミスを反省する時には、あくまでその誤りのみを追及し、 自分を責めるようなことはしないでください。「罪を憎んで人を憎まず」ということわざがありますが、自分自身にも言える言葉です。
そして、そのミスの原因を突き止めて、対策を考えたら、その対策をきちんと実行できているかどうか、フィードバックを行うようにします。きちんと改善できていれば、再び自信を持つことができ、自己肯定感の向上にもつながるでしょう。
これは自分だけではなく、スタッフの教育においても有効な手段です。自己肯定感が低そうなスタッフがミスを犯した場合、そのスタッフの人格ではなく、ミスについてのみ言及するようにしてください。今の時代、人格攻撃はパワハラ行為に当たりますし、そのスタッフとの仲だけではなく、職場全体の雰囲気がギスギスしてしまいます。
スタッフとの信頼関係の築き方については、以下の記事を参考にしてください。
経営者の6割は「心の不調」を抱えているとの調査も
2023年に全国の経営者を対象に行われた「メンタルケアに関するアンケート」によると、経営者になってから心の不調を感じた経験があると回答した人は約半数。さらに、6割以上が「心の不調」が起きて眠れなくなった経験があると回答しています。
その原因は「資金繰り」や「将来の見通し」「業績」など、仕事関連のものが圧倒的多数を占めていました。孤独を感じている経営者も全体の4割存在していて、経営者のメンタルケアの重要性がわかる結果となっています。
このアンケートの結果に同意する人も少なくはないかと思います。不安要素を多く抱えがちな経営者だからこそ、あまり考えこまずに周りにも自分にも余裕を持って接することができるような姿勢を意識したいものですね。
言い訳をよくするスタッフに取るべき態度とは?
動物病院の経営者にとっては、ペットの診療サービスだけではなく、スタッフの指導やケアも重要な仕事です。スタッフのなかにはミスをしてもなかなか認めず、他のスタッフや労働環境のせいにする人も少なくありません。このようなスタッフには、一言指導しただけでは、なかなかこちらの気持ちが伝わりません。厳しく指導しても、ふてくされてしまうおそれがあります。
そんなとき、まずは一度相手の言い分をすべて受け止めましょう。なかには正当な理由や事情があるのかもしれません。もしも、スタッフ側に問題があったとあなたが判断すれば、今後同じようなことが起こらないように自分の非を認めさせ、改善しないとと思えるように相手に指導しましょう。
しかし、ここで相手を責めるのはNGです。責められると、どうしても自分を守りたくなり、言い訳を始めてしまうのが人間ですので、冷静になってなぜミスが起きたか理由を論理的に説明し、集めておいたエビデンスを示します。ここで説得力が出るはずです。このときに「院長から追い詰められている」と取られないように、自分はスタッフの味方であることを態度で示しましょう。そして、起きてしまった問題をどのように対処するかを考え、実行することに専念します。
また、周りのスタッフも巻き込んでおくと、お互いにフォローしあったり、みんなで分業できたりして、良い雰囲気になります。相手の性格を見て、少しずつ対応を変えてみるのも有効な手段です。
何か問題が起きた時に、「すべての原因は自分にある」と考えることを「自己責任論」と呼びます。自分がミスをしたり、スタッフがトラブルを起こしたりすると、腹が立つこともあるでしょう。しかし、そこでミスが起きた理由を冷静に考えてみることで、現在の動物病院が抱える課題をあぶり出せるかもしれません。そして改善策を前向きに打ち出すことで、より良い動物病院へと成長していけます。
最後に、経営者のあなたにとって励みとなる記事を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。