ロジカルコミュニケーションのテクニックにまつわるブログは今回で一旦最終回を迎えます。
これまで3回にわたってロジカルコミュニケーションスキルを高める方法を紹介しましたが、実践してもなぜかうまくいかないという方がいるかもしれません。
その場合、あなたの仕事の段取りや心構えに何か問題がある可能性があります。
今回はロジカルコミュニケーションがうまく取れない人の特徴と、タイプ別の改善策をお話します。
ぜひ参考にしてください。
プライドが邪魔して質問できない
ロジカルコミュニケーションが上手ではない人の特徴として、素直ではない性格が挙げられます。プライドが高く、間違いを指摘されても素直に認めることができなかったり、わからないところを周りに質問できなかったりするのですね。その結果、周囲との認識をすり合わせられないまま一方的に仕事を進めてしまい、周りを振り回してしまうのです。
この状態では周囲の人望を得られませんし、ロジカルコミュニケーションもはかどりません。もしわからないところがあれば、周囲の反応を気にすることなく素直に聞くようにしましょう。また、少しでも認識のずれを感じるようであれば、その都度確認し、周りと足並みをそろえるようにしてください。些細な行き違いが、やがて大きなトラブルを生み出すことがあります。
ときには自分の質問が的外れであったり、批判されたりすることもあるかもしれません。しかし、きちんと確認したことで認識のずれを最小限にとどめることができたとポジティブに捉えるようにしてください。反対に的外れなことを聞いてきたスタッフがいたとしてもとがめず、むしろ質問してくれたことに感謝の意を示しましょう。質問が発生することで、前提が前提でなかったことに気づけ、ロジカルシンキングの方法を見直すことができます。
仕事の段取りが悪い
仕事の段取りをうまくつけられない人は、意外と多いものです。そのような人は往々にしてロジカルコミュニケーションが苦手なもの。以前ブログで説明したピラミッド構造を考える際にも、どこに何を置けばいいのかわからずに、結論を曖昧にしてしまいます。仕事の段取りをつける練習は、そのままロジカルシンキングの練習につながります。優先順位の高い仕事は何か、なぜその仕事が重要なのか、その仕事を終わらせるためにどのような働きをしたら良いのか、ひとつひとつじっくりと考えてみると、業務の効率化を実現できます。
積み上げ思考のクセがついている
積み上げ思考とは、そのときにできることから始めようとする考え方のことです。手当たり次第に仕事をしている人には、この積み上げ思考のクセが身についてしまっていると考えます。このような考えでは仕事が整理されず、本当にやるべき仕事が後回しになってしまったり、イレギュラーが発生したときに対応できなかったりして、追い詰められることになります。積み上げ思考の人は大抵その場その場で言っていることが変わるため、スタッフも振り回されて当然良いロジカルコミュニケーションを期待できません。
獣医師であるあなたは動物病院をまとめる存在です。日々の業務を行き当たりばったりでこなしていては、いつか経営は行き詰まるでしょう。そのようなことがないように、普段から逆算思考を身につけておくことをおすすめします。この逆算思考とは課題や目的を最初にはっきりさせたうえで、そのために必要な業務を洗い出し、実践していく方法です。業務が多く、忙しさに追われているときほど、この逆算思考を意識して、何から終わらせるべきかを考えてみましょう。
情報を鵜呑みにして深堀することができない
ロジカルシンキングのためには「前提」を認識し、周囲に共有することが重要だと、このブログではお伝えしてきました。しかし、この前提の設定が甘い人が少なくありません。例えば「このペットフードはペットの体に良い」と業者から勧められたとしましょう。ロジカルシンキングが上手な人はそこから「本当に体に良いのか」とWhyから入り、「何をもって体にいいとしているのか」「自分の動物病院にマッチしているのか」「価格とは釣り合っているのか」など、深堀りして考えるのものです。
しかし、ロジカルシンキングが苦手な方は、「業者が良いと言っていたから、販売しよう」と、安易に決めてしまうのです。これで飼い主さんへの説得力が生まれるはずがなく、販促したとしてもなかなか手には取ってもらえないでしょう。与えられた情報を鵜呑みにするのではなく、自分なりに根拠を調べ、本当に納得できる考えを取り入れるようにしましょう。この考え方のクセを身につけるだけで、ロジカルコミュニケーションテクニックは高まっていくはずです。
ロジカルコミュニケーションは、ひとりの獣医師として、そして経営者として必ず身につけておきたいスキルです。このスキルを要していれば、スタッフや取引業者、そして飼い主さんもあなたについてきてくれるはずです。自分自身のロジカルコミュニケーションテクニックをこの機会にぜひ見直してみてください。