今回は積極的なセールスが苦手という方向けのお話をしたいと思います。
「押し売りと思われたくない」「嫌がる人に商品を無理やり勧めたくない」という気持ちから、積極的に商品を勧められない獣医師は少なくありません。
むしろセールスのなかでも、そちらのほうが多数派かもしれません。
しかし、セールス自体は決して悪いことではないのです。
本当に良いと思える商品があれば、積極的に勧めて飼い主さんの購買意欲をそそるようにしましょう。
今回はつい弱気になってしまう営業のクセを直す方法をお話しします。
営業=押し売りの思い込みをまずは捨てましょう
「セールス」と言うと、どうしても欲しくない人に無理やりモノを買わせる、いわゆる「押し売り」を連想してしまう人が多いようです。しかし、その思い込みこそが控えめなセールストークを生むことになると私は考えています。「自分が押し売りをしている」という罪悪感から、積極的に商品を勧められなくなってしまうのですね。
何度も言いますが、セールス自体は決して悪いものではありません。まだあまり世に知られていない良質な商品を勧めてあげることで、飼い主さんもペットも幸せになるかもしれないのです。今自分のペットに合わないものを使っている飼い主さんも、見直すきっかけになるでしょう。「セールスは押し売りではなく、飼い主さんとペットの幸せな生活のサポートをする役割」と考え方を変えてみてください。そうすることによって、商品に自信を持って勧められるようになるはずです。
クロージングセールスを強化して購買につなげよう
営業活動におけるクロージングとは、顧客と契約するタイミングを指します。このときの押しが弱ければ、どんなに良い商品でも飼い主さんに逃げられてしまう可能性があります。特に「一度考えてみます」と言われてしまったときには要注意。後から他社をリサーチしたり、周りから意見を言われたりして、購買してもらえるチャンスを逃してしまいます。
セールスのラストチャンスであるクロージング時には、消極的な自分は一旦忘れてしっかりとプッシュするようにしましょう。そのためにおすすめのポイントを紹介します。
テストクロージングを試してみる
テストクロージングとは、「この商品のパンフレットを見ていただけましたか?」「販売期間は〇日までとなっていますがいかがでしょうか。」など、段階的な質問をして飼い主さんの合意を確認しながら契約を進めていく方法です。
ひとつひとつの質問で相手の反応を見ながら商品を勧めていくことで、ひとりよがりになることなく、購入までの道のりを辿ることができます。飼い主さんからの反応が良くなければセールスをストップすることができますし、前向きであればそのまま事務的に購入導線を引くことができます。
営業が苦手な人は大げさなセールストークや雑談からの購買促進を苦手に感じる傾向があります。それもテストクロージングを意識することで、スムーズに商品を販促できるようになります。
特別提案をして購入の意思を確認する
持って回ったようなセールストークが苦手な方は、思い切って直接購入の意思の有無を飼い主さんに聞いてみると良いです。相手の意思がわかることで、商品をこれ以上推すべきか、やめるべきかを判断することができます。
とは言っても言い方があります。「購入する気はあるのですか?」といった聞き方はあまりにも直接的過ぎて、飼い主さんを不快にさせてしまうおそれがあります。
そのようなことがないように、キャンペーン値引きなどの特別提案をしてあげると、迷っている飼い主さんの背中を押してあげることができます。「今なら〇%オフになりますがいかがですか?」「〇日までキャンペーンで特典をお付けしていますが、ひとつ購入してみませんか?」などの言葉と一緒に、商品を勧めてみましょう。
堂々とセールストークをする
控えめなセールストークを展開する獣医師は、自信のなさのあまり声が小さくなりがちです。飼い主さんの目を見なかったり、覇気のない声を出したりする人も少なくありません。こういった自信のなさを飼い主さんは見抜き、「あまり良い商品ではなさそう」と思ってしまいます。
商品を購入してもらうためには、まず商品とあなた自身を信頼してもらわなければいけません。その商品の魅力や、良いと言える根拠は堂々と話しましょう。セールストークが平凡なものでも、セールスマンの口調に自信が満ち溢れていれば、飼い主さんは欲しいと感じるようになります。
あなた自身が良いと思えない商品を推したところで、飼い主さんは購入しようと思いません。あなたの動物病院で扱っている商品に自信を持って、どんどん勧めていきましょう。謙虚は日本人の美徳とされていますが、セールスをするときには積極性が何よりも大切です。ぜひ今回紹介したテクニックを実践してみてください。